「プレゼントがもらえるかも」とついていった少女を待ち受けていたのは…「拒否すれば売春婦」今も続く女子割礼の“想像を絶する施術”
〈「前の夫はつけていたから、あなたもつけて」妻にリクエストされ亀頭に穴を開ける…ボルネオ島に伝わる“衝撃の性具”とは?〉から続く
麻酔なし、使い回しのカミソリによる施術--アフリカなどで今も行われる女子割礼/女性器切除は、少女たちに想像を絶する苦痛を与える。それでも今も伝統が続いているのはなぜか『人類学者が教える性の授業』(ハヤカワ新書)より一部抜粋してお届けする。
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少女が「プレゼントがもらえるかも」とついていくと…
女子割礼/女性器切除を行う施術者の多くは、「伝統的産婆」と呼ばれる高齢の女性たちで、代々、出産介助とともに女子割礼/女性器切除を生業としている人々です。マリなどの西アフリカでは、男性による施術者も確認されています。施術の日には、母親や親戚の女性が、「今日は記念すべきお祝いの日だから」などと言って、少女を施術者のもとへと連れて行きます。少女は緊張と不安のなかで、「自分がほしいものがもらえるのかも」と期待を抱きますが、それは裏切られます。
女性たちによって手足を押さえつけられ、施術者によって、外陰部を切除されるのです。多くの場合には麻酔は使われず、得物にはカミソリの刃やハサミ、ガラス片などが用いられます。刃は洗うだけで同じものが繰り返し使われるため、保健衛生的な観点からも大きな問題とされます。

写真はイメージ ©︎AFLO
縫合する場合には、小さな穴が残るよう、木の枝などの異物を入れ、アカシアの棘などで縫い合わされます。消毒には、灰や生卵、ニンニク、薬草などが用いられます。施術後には足首から腰まで、両足を揃えてぐるぐる巻きにされ、排尿があるまで放置されるのです。
施術を受けなかった女性は「売春婦」と呼ばれ…
実際に女子割礼/女性器切除を施術するのは女性たちですが、その施術自体を決定しているのは、村の長老や宗教的指導者、一家の家長である男性たちだとされます。医師の若杉なおみは、2004年に医学・医療・公衆衛生の観点からまとめた報告において、女性器切除が本人の意思によるものではなく、男性たちの判断によって決定されるものだと指摘しています。
女子割礼/女性器切除を受けようとしない女性は、当該社会では「売春婦」と呼ばれて、結婚はまず期待できなくなると言います。家長である父親にとっては、家族の名誉が傷つけられるのです。そのため、女性には女子割礼/女性器切除を受けるようプレッシャーがかかります。なかには、その義務から逃れて、女子割礼/女性器切除を拒否しようとした娘を、陰ながらに援助しようとした母親もいます。自分の経験から娘にはその苦痛を味わってほしくないという母親が増えているとされます。
部族全体のアイデンティティに関わる女子割礼/女性器切除
他方、父親が娘の女子割礼/女性器切除に反対したため、村の人々から非難された例もあります。父親は娘を守ろうとしましたが、女子割礼/女性器切除を受けさせようとする親戚の女性たちと激しく対立しました。
つまり、女子割礼/女性器切除は部族全体のアイデンティティに関わるものであり、男性と女性のそのどちらが主導なのかは一概に言えないものなのだとも考えられるのです。近年では伝統的産婆だけでなく、近代医療のトレーニングを受けた助産師や外科医が施術者を引き受け、衛生的な医療施設で女子割礼/女性器切除が行われる場合も増えています。
(奥野 克巳)
