ロッテ「パイの実」大改革 発売48年目でありそうでなかった物語付与 キャラクター初めて動き出しブランドロイヤルティ徹底強化

写真拡大 (全6枚)

 ロッテは、チョコレート菓子ブランド「パイの実」の大改革に踏み切った。初の試みとしてキャラクターが動き出すなどのストーリーを付与してブランドロイヤルティを徹底強化していく。

 「パイの実」は1979年9月、ロッテのチョコレート菓子の先駆的ブランドとして誕生した。

 パッケージは、64層のパイ生地からなる形状やネーミングから着想を得て「パイの実」が次々と実る木々を描き、それに付随してリスや建物をデザイン。だがデザインの背後にあるストーリーなどは設定されていなかった。

 「恥ずかしながらストーリーはこれまでありそうでなかった。お客様からも『世界観があるようでない』『リアルなリスと絵本はあるけど世界観はよくわからない』などのお声を一部頂戴していた」と振り返るのは、マーケティング本部第一ブランド戦略部焼き菓子企画課主査の久保田祐揮さん。

「パイル」(左)と「ロクシー」(右)と名付けられた2匹のリス

 こうした声を受けて、2024年、久保田さんが最初に手掛けたのはパッケージに描かれた2匹のリスに「パイル」と「ロクシー」と名づけたことだった。ともに64層のパイ生地から連想し「パイル」はpile(積み重ねる)、「ロクシー」は64の意味合いを持たせた。

 キャラクターへの愛着を持ってもらいたいとの想いから、約1年前にプロジェクトを発足して世界観の解像度を上げることを模索。その結果、「パイル」と「ロクシー」を含む14のキャラクターと舞台を編み出し物語が動き始める。

 それぞれにキャラクターには個性が吹き込まれる。例えば「パイル」は「パイの実でてっぺんをとることを夢見る熱血リス。語りだすと早口になり、24時間パイの実のことだけを考えている布教担当」とった具合になる。

 舞台は「おしの森」。お菓子と推しの要素を掛け合わせて「おかし」から「か」を外して命名された。森の中で「パイの実」の普及を巡ってストーリーが展開される。

内蓋にはパッケージ限定の4コマ漫画

 その第一弾として、「パイの実 おしの森」の4コマ漫画を毎週2本、水曜日と金曜日の17時に公式Xで公開。全64話・32週連続発信を予定している。

 店頭でも世界観を伝えるべく、新パッケージを春から順次導入している。新パッケージの種類は計8種類。「パイの実〈深みショコラ〉」でも計8種類を取り揃える。

 実にもキャラクターを登場させて、内蓋にはパッケージ限定の4コマ漫画が記載されている。

「(ブランク)の実」

 3月と4月は、卒業式・入学式など出会いと別れの季節となりコミュニケーションが活発化するとの見立てのもと、贈答需要も狙い、実の裏面は「パイの実」の部分が「ありがとうの実」や「感謝いっぱいの実」とデザインされているほか、「(ブランク)の実」とメッセージが書き込めるようになっている。

 その意図について「『パイの実』はも大袋も誰かとい一緒に食べるというようなコミュニケーション菓子としての需要が高いという調査結果がある。ブランドとしてはこの点を強みに話題化を図っていく」と説明する。

 主要購買層は40代女性。

 同層について「お子さまやパートナーの方などご家族での喫食シーンが多い。デプスインタビューすると『食べれば食べるほど小さな幸せが積み重なっていく感じがする』『をビリビリと開けるときは宝を開けるような感覚』というお声が寄せられ、単なるお菓子に留まらない価値がある」とみている。

マーケティング本部第一ブランド戦略部焼き菓子企画課主査の久保田祐揮さん

 今回の「パイの実」の世界観醸成の取り組みでは、ユーザーの若返りを図るべく10代後半から20代の女性をメインのコミュニケーションターゲットに設定する。

 若年層を意識して、新パッケージでは推し色も採用。推し活にも活用してもらうことも想定して8色のリボンデザインを用意している。

 「若年層にも楽しんでもらえるようなブランドに進化させてターゲット層を拡大していきたい。キャラクター化は、IP(知的財産)ビジネスも意識しながら、ライフスタイルの中にブランドを浸透させていくことが目的。IPビジネスにより普段の生活の中で『パイの実』に触れる機会を増やせることがキャラクターの愛着度を高める一番のメリットだと考えている」との考えを明らかにする。

 この考えのもと、外部の協力企業からアクリルキーホルダーやパスケースなどの推しグッズや新しくなった「パイの実」キャラクターのスマホケースが販売されている。

 約1年前に立ち上げたのは、「パイの実 おしの森プロジェクト」。

 社員がやりたいことを実現する「クリエっていくプロジェクト」の一環で、「パイの実」では第一弾以降も施策を繰り広げて中長期的にブランドを育成していく。

 「クリエっていくプロジェクト」は、マーケティング本部が主導する。一般的な手法とされる代理店や外部への完全委託の手法ではなく、マーケティング担当者がクリエイティブの最前線に立ち外部の協力者を探しながら企画の原流から創り上げていく。

 これにより「通常のお菓子メーカーの業務では得られない圧倒的なクリエイティブな経験貯金をメンバー内に蓄積し、そこで得た知見やスキルを部署全体に還元していく」と力を込める。

キャラクター相関図

 「パイの実」のキャラクターや世界観の構築にあたっては、シンエイ動画とタッグを組み、第一線のクリエイターが集結。

 監督は、「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を大ヒットに導いた、まんきゅう氏。
 脚本は、「薬屋のひとりごと」「ちはやぶる」「はたらく細胞」など70本以上のシリーズ構成・脚本を担当してきた柳原優子氏が手掛けている。
 キャラクター原案とイラストには、「たまごっち」や「いないいないばあっ」などを創作してきた、まついあや氏を起用した。

ソース