徳島が生んだ「日本SFの父」海野十三 徳島市で企画展【徳島】
みなさんは、徳島が生んだ小説家・海野十三をご存じでしょうか。
後に「日本SFの父」と呼ばれるようになった人物です。
海野が描いた空想科学の世界や、作家との交友関係なども分かる企画展を取材しました。
(記者)
「緑が輝く季節になってきました。気持ちが良いですね」
(天の声)
「お~い」
(記者)
「ん?どこからか声が聞こえる、あっ!あれかな~」
(天の声)
「ここだよ~」
「何ですか~」
(天の声)
「違う違う、こっちこっち~」
(記者)
「あれか~、何かお呼びですか?うわっ」
(天の声)
「佐々木さん、私のことは知っているかい?そこに名前が書いてあるんだけど」
(記者)
「うみのじゅうさんさんですか?」
(天の声)
「違~う!『うんのじゅうざ』じゃ、まったくも~」
(天の声)
「ほれっ」
(記者)
「海野十三と日本SF」
(天の声)
「ここへ行っておくれ」
(記者)
「わかりました」
こうして訪れたのは、徳島市の県立文学書道館、4月18日から海野十三の企画展が始まりました。
2025年に東京で開かれた企画展では、2万人以上が訪れる大反響。
「徳島でも開催してほしい」という声に応え、今回の開催が実現しました。
案内してくれるのは、文学担当の和田輝さんです。
(記者)
「たくさん資料がありますね」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「当時の書籍や海野の海野原稿、愛用品など200点以上が展示されている会場」
海野十三。
後に、「日本SFの父」と呼ばれる小説家です。
海野は1897年、徳島市徳島本町に生まれました。
早稲田大学理工科を卒業後は、現在の総務省にあたる逓信省電気試験所に勤務する傍ら小説家を志し、1928年「電気風呂の怪死事件」で文壇デビュー。
その後、戦前から戦後にかけて、数々の空想科学小説を手がけました。
(朗読)
「ちょうど十八時のタイム・シグナルが厳かに百万人の住民の心臓を揺すぶりはじめた」
「ほう、十八時だ、十八時の音楽浴だ」
「さあ誰もみな、遅れないように早く座席についた」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「これは十八時の音楽浴という作品で、十八時になると、すごい音量の音楽が毎日毎日流れてきて」
「音楽によって体の働きが活性化されて、寝ずに働けるようになる」
「それによって国民の生産力をあげてやるっていう、政府の施策なんですけど」
真空管の開発に携わるなど、科学の知識に長けていた海野。
本のあとがきでは「人間の意志というものが、将来こうした科学手段によって監理される日が来るであろうことを、示唆したもの」と述べています。
ここで海野十三の豆知識。
(記者)
「海野十三って、本名ですか?」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「本名は全然違う名前で、本人もいろんな説を言っていて定かではないんですけど」
「麻雀をしている時に、麻雀っていうのは運が十だ、実力とかではなく運が十だというところで」
「それをもじって、海野十三にしたと聞いています」
(記者)
「そんな簡単に決めていいんですかね」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「どうなんだろう…ハハハ」
(記者)
「幅広いジャンルで想像力豊かな海野の作品たちは、後の偉大な作家たちの作品作りに影響を与えました」
「筒井康隆、海野の創造した名探偵・帆村荘六を小説に登場させました」
(記者)
「手塚治虫、海野の作品は『ボクが空想科学マンガをかくきっかけや、アイデアをつくってくれた』と語ります」
「そんな、海野のデビューを手伝ったのは横溝正史という人物でした」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「横溝正史は、金田一耕助シリーズでも知られている推理小説の作家ですけど、(海野が)書いている一編を知り合いに見せたところ」
「知り合い伝いに、横溝正史の所まで行きまして、これは良い作家、良い作品だ」
「横溝正史が、自分が編集長をつとめている雑誌に作品をのせてほしいと依頼して、海野がデビューを飾ることになった」
ささいな日常の出来事も共有していたようで…。
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「海野の徳島の親せきから、味噌焼きにつかう器具を持ってきてくれて、それでごはん食べられていいなって手紙にしている後に」
「横溝に、味噌焼き機を送ったと書いてて」
(記者)
「このイラストは何ですか」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「歯肉炎を起こして腫れちゃった、このように頬っぺたが膨らんでしまいました。日常の何気ないことをやり取りする間柄だった」
(来場者)
「横溝正史なんか、特に手紙のやり取り長い間続いていたみたいで、ますますここに来て感心した」
(来場者)
「タイトルとか表紙の絵がワクワクする感じで、子どもの時にこれ読んで衝撃を受けたことを思い出してね」
(県立文学書道館 文学担当・和田輝さん)
「海野十三と聞いても、なかなかピンとこない方も多いと思いますので、徳島出身でこれだけ偉大な作家がいたって知っていただけたらと思う」
(記者)
「いや~海野さん、あなたのことがよく分かりました」
「ユーモアがあって、ワクワクドキドキする作品たちばかりでした、もう説明できますよ」
「こちらは、1993年に徳島中央公園に建てられた海野十三の文学碑です」
「碑には、江戸川乱歩による彼を称える言葉が刻まれています」
デビューから90年以上の時を経てもなお、古びていない彼の作品は今も多くの人を魅了しています。
みなさんも、徳島が生んだ作家の世界に触れてみてはいかがですか。
