そのコンビニの隣にある信号が赤に変わり、車は停止した。

「その信号は、結構長いんです。私も『まだ青にならないかな』と思いながら待っていました」

 すると突然、後ろにいた白いバンが動き出した。左折してコンビニの駐車場に入り、そのままショートカットして道路に出ようとしたのだ。

「信号待ちがイヤだったんだと思います。すごい勢いでコンビニに入って行きました」

 しかし、反対車線の信号は青。交通の流れは途切れず、白いバンはなかなか左折できなかったようだ。

 やがてこちらの信号が青になり、田中さんたちの車は先に交差点を曲がった。結果、ショートカットを試みた白いバンは、かえって後ろに取り残されるかたちになった。

「さっきまで乱暴な運転だったのに、気づいたら大人しくなっていましたね」

 バックミラーでその様子を見ながら、田中さんは少しだけ肩の力が抜けたと振り返る。

「急いでいたはずなのに、結果的には私たちよりずっと後ろになっていて……。因果応報ってこういうことなのかなと思いました」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。