Photo: ヤマダユウス型

音響技術企業のCearが2026年3月26日に開催した、Cear Technology Conference 2026。

同社といえば、手のひらサイズの高音質スピーカー「pavé」が真っ先に思い浮かびますが、今回のカンファレンスで提示されたのは、音響業界のOSを塗り替えるような壮大なビジョンでした。

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その中心となるのが、次世代音響制御プロトコル「Cear Connect」。

これは最大32台のデバイスをスマホ1台で一括制御できる仕組みですが、その強みはトランスポートを選ばない点にあります。USB、Bluetooth LE、LE Audio(Auracast)といった異なる規格を一つのAPIで統合管理できるんです。

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また、Cear Connect対応のOEMモジュールもあわせて発表されました。これはpavéの基板をモジュール化したもので、これを用いたデバイスならAuracastやBluetooth LEによる設定変更が可能となります。

そもそも、pavéが得意とするのは複数台を繋いだ空間音響の構築です。2025年万博のイギリスパビリオンの空間音響演出、さっぽろ雪まつり2026のザ・スノーラウンジでの空間音響インスタレーションなど、さまざまなイベントで活用されてきた実績があります。

こうした空間音響に関する仕組みをマーケットとして捉え、企業やコンテンツ、さらにエッジAIまで巻き込んで、単なるオーディオ体験に留まらない体験を、Cearは提案してきました。

「そういう場所で活用できたか!」の発見

こう言われてもピンと来にくいものがありますよね。会場にいくつかデモがあったので紹介します。

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例えばこちらは、AIとカメラを用いた音響システム。

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カメラが「今ここに何人いるか」を視覚的に検知し、人数に応じてBGMのボリュームを自動調整します。いわばマルチモーダルなサウンドシステムです。

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Persons Detectedの値がカメラが認識している人数。ここが小さい、つまりこの場にいる人数が少ない場合は、音量が小さくなります。逆に人数が多いと音量がアップ。人がいないときには音量を下げる仕組みを、AIを用いて実現したわけです。

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続いてこちらは、超低遅延かつ高い集音性をDSPを用いて実現したもの。サンプル基板での実行でしたが、完成すればワイヤレスイヤホンに入るほどのチップサイズになるそうな。

実際に音を聞いてみると、DSPを通した方はノイズがほとんどなく、離れた位置からの発声もクリアに聞き取れていました。ワイヤレスイヤホンやピンマイクなどと相性良さげな技術です。

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こちらも騒音下でクリアな集音を実現するデモですが、想定しているケースは120dbに達するようなタフな環境とのこと。建設現場や空港などですね。デモではノイズを鳴らしているスピーカーの数cm先で、確かな集音性能を体験できました。

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こちらは低消費電力での長期待機状態を実現しているデモ。デバイスによっては音声で呼び出せるものもありますが、音声に反応するためには常に電力が入っていなければなりません。となると、省エネ性能がとても大事。

Cearは、この領域で特に強いfemtoAIと協力。具体的なバッテリー寿命や待機時間は伺えませんでしたが、エッジAIが身近になるためにはいかに省電力で動かせるかもカギとなるでしょう。

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また、32台のpavéを壇上に並べて遅延なく再生するデモも披露されました。あちこち歩いて聞いてみましたが、遅延は一切なし! 目をつむると「巨大なスピーカーが鳴ってる?」と思っちゃうほどの一体感でした。

気づかないうちに、Cear由来の体験に出会うかも

空間音響と言われると、ステレオオーディオの立体化や、映画などのゴージャスなサウンド体験を連想するかもしれません(僕はそうでした)。でも、それだけじゃあない。

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施設やエンタメに留まらず、空間音響で彩れる場はもっとある。じゃあ色んな場所で使えるようにするために、モジュール化して他メーカーがエコシステムに参加しやすくなるようにしよう、制御のためのプロトコルも共通化しよう。

一見すると壮大なビジョンにも思えますが、とても面白い戦略です。現実的な例を出すと、本格的な音響システムは施工の難易度や費用が課題ですが、pavéなら設置の自由度も高く、スマホとの連携や一括制御のハードルもクリアできます。Cearは2ch音源をアップミキシングしてくれるので、立体化も自然です。

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聴覚体験を拡張し、空間を彩り、さらにAIとつながる。もしかしたら僕たちがカフェで過ごす時間も、Cearの心地良い音響が気づかないうちに彩ってくれるようになるかもしれません。

Source: Cear