唯一無二の東京マラソン。ランナーが主役でいられる理由
今年で19回目。
走らない人でも耳にしたことがあるであろう「東京マラソン」。毎年3月に行われる世界的にも人気のマラソン大会です。興味深いのは日頃から走っているランナーではなくても、一度は走ってみたいと思える魅力が詰まっているところ。
新宿・都庁前をスタートし、雷門や東京スカイツリー、下町、銀座、皇居、東京タワー、そしてフィニッシュは東京駅前・行幸通り。コース上は観光スポットをはじめ見所が多いだけではなく、沿道からの途切れない声援など、他のレースとは違った雰囲気を味わえます。
編集部唯一のランナーであるハナサキが「東京マラソン2026」を走ってきました。
国内外から人気の東京マラソン
国内外から集まった約39,000人ものランナーたち(昨年より1,000人増員)。人数だけをみてもかなり大規模なレースです。
日本最大のマラソン大会なのは当然ながら、今回は新旧の日本記録保持者の大迫 傑選手や鈴木健吾選手をはじめ、人気の日本人選手も走るとあってより注目されていました。
トップアスリートとともに同じコースを走れるだけではなく、一般ランナーにとってうれしいのがほぼフラットなコース。なお、コース上には9つの関門がありますが、制限時間が7時間というところで、完走率が95〜97%で推移している点も人気の秘密です。
また海外からも人気の東京マラソンですが、昨今のインバウンドの増加の影響を受けさらに増えています。彼らの目的の多くはSix Star Finisherとしての称号。
これはアボット・ワールドマラソンメジャーズ(以降AbbottWMM)といって、東京のほかボストン、ロンドン、シドニー、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティマラソンで構成された世界的に大規模な7つのレースを完走すると各大会での記録が入った名前入りの完走証“AbbottWMM Six Star完走証”(6大会のレースディレクターの署名入り)と、Six Star Finisherメダルがもらえるというもの。そういった点においても東京マラソンは格式が高いレースなんですね。
実際、さまざまな外国人ランナーがたくさん走っていましたし、沿道にも多くの外国人の方々が声援を送っていました。自然発生的に生まれた非日常的な演出の中、アドレナリンも出まくり。スタートからフィニッシュまで楽しく走れたのは言うまでもありません。
安心・安全に走れる理由
終始楽しく、引いては東京マラソンという大イベントに参加できるには運営をはじめ、たくさんの協力があるからこそ。
先にも触れたように、多国籍のランナーやオーディエンスが集まり、しかも大人数が一度に都庁前やその近辺、そして沿道に集結するわけです。スタート前から滞りなく安心、そして安全にレースを終えるにはたくさんの方々の協力と理解が必要になりますが、39,000人ものランナーを支えてくれているのがおよそ1万人のボランティアの方々。
東京マラソンに出走するランナーは、「東京マラソンEXPO」というイベントにてランナー受付をします。ここで当日身につけるアスリートビブス(ゼッケン)を受け取って初めて、大会当日のスタートラインに整列できます。「東京マラソンEXPO」会場でのランナー受付はもちろん、大会当日のスタートに並ぶ際のオペレーションなどもスムーズにできるのは、ボランティアの方々のサポートなしには非常に難しい。
たとえば、ランナー受付は事前にわかっている自分のアスリートビブスの下一桁の番号の窓口に並びます。そこにスムーズに誘導してくれたり、受付時に必要なアスリートビブス引換証を事前に準備してなかった場合は、親切に取得方法を教えてくれるなど、我々のそばで親身になってくれる心強い味方です。
当然ながらボランティアにもいろいろな役割があります。EXPOでの誘導や対応、大会当日の運営やサポートなど、実にさまざま。大会当日にボランティアをする方に少しお話を伺いました。
今回で10回以上ボランティアとして東京マラソンに参加されている女性は、今回は給水を担当するとか。 大会当日を待ち遠しくもうれしそうに語っていました。
「この日のためにがんばっているみなさんを応援したい。沿道から声援を送るのもいいと思いますが、もっとランナーのみなさんにお役に立ちたいという思いで毎年ボランティアをしています」
また、今回が初めてのボランティアで、当日は沿道でコース整理をするという男性に伺ったところ、戸惑いも感じるようでしたが、楽しみにしているようでした。
「いつもランナーとして走っているんですが、気持ちよく走らせてくれるのはボランティアの方々のおかげだと思っていました。違う立ち位置で東京マラソンに関わってみたいという思いで初めてチャレンジします」
ボランティア経験がある方々が語っていたのはシステマチックにできるところもある一方で、当日はどんなことが起こるのか予測不可能とのこと。沿道で観戦する一般の方々や出走するランナーの困りごとに対して臨機応変に対応できることも、やりがいや醍醐味のひとつでもあるそうです。
また、お話しを聞いたボランティアのみなさんの共通点は、参加するランナーを全力でサポートしたいという思い。僕自身もランナーですが、彼らのサポートがなければ大会すら開催できないことを、お話を聞いてあらためて実感しました。本当に細かいところまでのサポートには脱帽です。本当にありがとうございます!!
毎年同じようで違う東京マラソン
東京マラソンは毎年1回。ここ数年コースは変わりませんが、同じ東京マラソンでも毎回少しずつアップデートを重ねています。大会前や当日のオペレーションのみならず、EXPOに出展するブランドや、大会に参加者する人数や国籍など、同じ大会でも違います。加えてランナーやボランティアの声に対してすぐさま対応し、ブラッシュアップしている稀有な大会です。
気温が上昇した昨年の東京マラソンでは、給水所での紙コップが不足。水やスポーツドリンクはあるのに、紙コップがないという事態に…。昨年も給水活動を担当したボランティアの女性は、暑い中がんばっているのに給水できないランナーのみなさんを気の毒に思いつつ、どうしようもできないジレンマもあったそうです。
そこで運営側は声を反映した対策を講じました。大会当日に携行できるソフトカップを出走するランナーに配布することで、紙コップ不足に対応。カップは折りたためるので、持ち運びにもかさばりません。ゴミが増えないという狙いもあったかもしれません。
これはあくまで一例ですが、さまざまなランナーの声やボランティアの声をすぐに活かすのも運営側の手腕と言えるでしょう。
ランナー一人ひとりが大会の主人公。ですが、運営と一致団結してあらゆる面でサポートをしてくれるボランティアの存在があってはじめて成立する大会のひとつです。
大会テーマは「東京がひとつになる日。」ですが、ランナーは走る喜びを感じ、ボランティアは支える誇りを胸に、そして沿道の方々は応援を楽しむ。その3つの柱がひとつになることで、シナリオがない感動が生まれます。出走したランナー約39,000人それぞれのストーリーが重なり、大会当日に大きな軌跡を残してくれる。そんな日本一、いえ、世界一の大会と言えるのではないでしょうか。
完走したランナーはフィニッシュ後にメダルを首に、そして完走タオルを肩から羽織る。そのまま家路につきたくなるほど、ランナーが誇りに思える大会って、そうはないんですよ。
Source: 東京マラソン ,Special Thanks: 東京マラソン財団
