石原さとみも悲鳴…「寝られない」「物忘れがひどい」産後のマミーブレインは想像以上に深刻だった
セリフを覚えられるのか……
女優・石原さとみ(39)の率直な告白が共感と驚きを呼んでいる。
CREA WEBが3月21日にアップしたインタビュー「『夜泣きと闘いながら…』石原さとみが明かす育児と舞台の両立」で、赤ちゃんの夜泣きが始まって「とにかく寝られない」、産後は「記憶力もなくなってきちゃって。物忘れがひどいんです」と明かし、「マミーブレイン」という言葉を発したのである。
華やかな芸能界の第一線で活躍し続けるあの石原が「あれ、今何しようと思ってたんだっけ」と戸惑う、というのだ。
セリフを覚えられるのか、自分をきちんとコントロールできるのか……そんな切実な本音は、多くの母親たちの胸に刺さったはずだ。
マミーブレインは医学的な正式名称ではない。だが、産後の“脳の不調”が及ぼす影響は決して小さくない。日常生活や仕事にも影響しかねない切実な問題だ。
三軒茶屋Artクリニック理事長の坂口健一朗医師が解説する。
「産後は、出産によるホルモンバランスの急激な変化に加え、夜間授乳や夜泣きで睡眠が細切れになりやすい。赤ちゃんの小さな変化にも絶えず注意を払うため、心身の緊張が続きます。その結果、『物忘れが増えた』『集中できない』『頭が回らない』といった不調が出やすくなります。不調がありながらも『母親だから』と無理をしてしまい、さらに症状が深刻になるケースもあります」(以下、コメントは坂口医師)
「とにかく寝たい」と率直に語っていた石原の言葉に、産後の現実が凝縮されている。眠れない日々が続けば、注意力や判断力は落ち、物事を整理する余裕もなくなっていく。にもかかわらず、母親たちは「自分がしっかりしなければ」と無理を重ねがちだ。
家事や育児の段取りがうまくいかず、自分を責める。仕事に復帰した後も「前のように頭が回らない」「ミスが増えた気がする」と焦る。それら積み重ねが、自信の低下や不安感につながっていくケースが少なくないのだ。
坂口医師は周囲の理解の乏しさに言及する。
「産後の変化は外から見えにくいため、本人の努力不足や気の持ちようの問題と受け取られてしまうことがあります。しかし、実際は身体的な変化と睡眠不足、育児による負担が重なって起きています」
「産後うつ」が隠れている可能性も
厄介なのは、産後の不調が「母親なら当たり前」として処理されやすいところにある。特に日本では母親が疲れていても、眠れていなくても、「みんなそうだから」と我慢を強いられやすい。
だが、我慢が長引けばマミーブレインは心の不調へとつながっていく危険がある。
「産後の心身の変化には個人差がありますが、つらいのに無理をする方が少なくありません。涙が止まらない、不安が強い、気分の落ち込みが続く、眠りたいのに眠れない、赤ちゃんをかわいいと思えないといった状態がみられる場合は、産後うつなど別の問題が隠れている可能性もあります。早めに産婦人科などで相談することが大切です」
石原はマミーブレインに苦しみながら、なんとか自分を整えようとしている。妊娠前から続けていたピラティスの再開を目標にし、漢方やサプリを取り入れ、少しでも睡眠を確保しようと努めているという。
なかでも、美容院でシャンプーをしてもらった際に「久しぶりに深呼吸できた」と感じたエピソードは印象的だった。子どもと一緒の入浴では自分をいたわる余裕などなく、たったそれだけの時間が心身を癒やす特別なひとときになったのだ。
このエピソードは、産後の母親がどれほど自分のための時間を失っているかを物語っている。ゆっくり髪を洗うこと、深呼吸すること、静かに座ること。そんな当たり前のことすら「ぜいたく」になってしまうのが、産後の現実なのである。
家族や身近な人が「大丈夫? 少し休んで」と声をかけること。ほんのわずかな時間でも、母親がひと息つける環境をつくること。その積み重ねが、産後の心と体を守ることにつながる。
石原さとみの告白は、人気女優の意外な弱音として消費していい話ではない。産後の女性たちは過酷な日々のなかにいる。
マミーブレインというやわらかな言葉の陰で、母親たちの心と脳は静かにすり減っている。その現実を、「仕方ない」で済ませてはいけない。

