「タバコ吸う人多すぎ」喫煙所1か所=家一軒分!一等地に税金で3000万円超…路上喫煙全面禁止の方針横浜市が悩む罰則と「守ってくれない人」とのいたちごっこ

横浜市が路上喫煙全面禁止へ向けて動き出している。しかし、喫煙所の数がまだ十分ではないため罰則は限定的なものだという。
ニュース番組『わたしとニュース』では、路上喫煙全面禁止に向けて動き出した横浜市の現状や条例案を取材し、弁護士の三輪記子氏とともに深掘りした。
■横浜市が目指す「市内全域での路上喫煙禁止」
横浜市ではこれまで、市内の公共の場所での歩行喫煙を禁止していたが、立ち止まっての喫煙については規制がなかった。
横浜市家庭系廃棄物対策部 街の美化推進課長の津島邦宏氏は「どうしても駅前や広場でタバコを吸う方、立ち止まって・座ってタバコを吸う方に規制ができなかった」と語る。
非喫煙者からは「駅周辺でタバコを吸っている人が多すぎる。受動喫煙の対策を強めてほしい」と喫煙対策の強化を求める声が上がっていた。
そこで横浜市では、2027年3月に開幕する国際園芸博覧会に向けて、市内全域での路上喫煙の禁止を検討し、2027年1月頃の施行を目指している。
「今回条例を改正して、歩行喫煙や立ち止まった喫煙も含めて、路上での喫煙を規制していこうと条例の改正を予定しています」(津島氏)
■パトロールに密着…指導で「吸い殻は減っている」
では、横浜市の喫煙の現状はどうなっているのか。タバコを吸うと罰則が科される喫煙禁止地区を巡回するパトロールに密着取材した。
開始からわずか10分後、早くも路上喫煙をしている男性がいた。指導員の横山邦俊氏が「こちらタバコ禁止エリアなので、加熱式もご遠慮願います」と声をかけると男性は「失礼しました」とタバコを消していた。
横山氏は「立ち止まっている人間は全部見ます。歩きながら(吸っている人)もいますけど、立ち止まってる人がいたら、なんで立ち止まっているのかなと。よく見れば大体吸っています。中にはタバコを投げ捨てて走って逃げちゃう方はいますけど、あまり面倒臭い人を扱ったことは私はありません」と話す。
横山氏は続けて、路上喫煙者に「すみません、タバコを吸われるのは…。歩きタバコは困っちゃうんですよ」と注意を促した。男性は「わかりました。すみません、お騒がせしています」と言いながら、携帯灰皿を使ってタバコを消した。
密着した3時間で指導した件数は11件だった。横山氏は「吸い殻の数が全然違うので、減っていると思う。昔は吸い殻が多かった。喫煙禁止場所に指定されて、指導員が入るようになってからどんどん減っていったので効果はあると思う」と話し、やりがいについては「街がキレイになればいいかなと」と明かした。さらに「吸い殻を捨てないで、喫煙所で吸ってほしい。ポイ捨てはよくない」と要望した。
横浜市が目指す市内全域での路上喫煙の禁止が実現すれば、より根拠を持って注意や指導ができるようになるという。
「今の喫煙禁止地区の指導はこれまで通り続けていく。そこには過料処分が科せられるので、違反して指導に従わない場合には2000円の過料がで取ることができます。それがかからないエリアについても、条例が改正されれば『ここでタバコを吸わないでください』と、タバコの火を消すまでの指導ができる」(津島氏)
■“罰則なし”条例案の背景に「喫煙所を十分に設置できていない」
改正予定の条例では、一部の重点エリアを除いて、違反しても罰則はなしとする方針だ。しかし、タバコに関する政策に詳しい近畿大学経済学部の村中洋介准教授は、条例制定の意味はあるとしつつも、次のように指摘する。
「罰則はなくても、啓発や注意みたいなレベルで言うことを聞いて、路上喫煙をやめる人なのかどうかが問題。『ペナルティがあるんだ』と見せていかないと、守ってくれない人が結局残ってしまう」
横浜市は罰則を限定的とした背景について、喫煙所を十分に設置できていないことも理由として挙げている。吸う場所がないのに罰則までつけるのは喫煙者にとって厳しすぎるのだろうか。一方で、実際の取り締まりは行政の裁量次第であることから、罰則を作っても状況に応じた対応は可能だという指摘もある。
「『罰則も市内全域です』『ただ、取り締まりに関しては、喫煙所を設置しながら、順次中心部から広げていきます』と、運用で柔軟な対応をした方がいい。喫煙所の設置はもちろん大事だけど、喫煙所の設置と取り締まりをセットにして、きちんと罰則を適用していくことが大事」(村中氏)
こうした状況について、三輪氏は「この指導でだいぶ減っているというのは、指導が効果があるということ。ただ、なかなかゼロにはならないことも予想されるので、ひとまずは罰則なしのエリアもあるけれども、順次罰則規定を作っていく、条例を改正していくやり方もあるのかなと思う」と語った。
■罰則が甘い?過料2万円へ「引き上げ案」も
他の自治体の例を見ると、去年1月に全域で路上喫煙禁止となった大阪市では、罰則も全域で適用され、違反すると過料1000円となっている。開始以降、過料支払いとなった件数は去年11月末までで1万2000件あった。
一部が路上喫煙禁止区域となっている姫路市では、2月、違反した場合の過料を1000円から2万円に引き上げる案が出された。一気に20倍に引き上げしようとした背景には、路上喫煙やポイ捨てがなかなか減らない事情があるという。
■1か所3000万円超 喫煙所の設置費は「家1軒分」
横浜市が設置しようとしているのが、「密閉型」と呼ばれる、煙が外に漏れない構造の喫煙所だ。市によると、その設置費用は、1か所あたり3000万円から4000万円と高額で、さらに維持費もかかる。
横浜市内全域でどれくらい喫煙所が必要なのかは調整中ということだが、喫煙対策も含め、街の清掃・美化に関する事業の予算は3億4400万円。直ちに全域に設置するのは、難しいのが現状だ。
(『わたしとニュース』より)
