日産リーフからフィアット600eに乗り換え初めて迎えた冬 気になる航続距離と充電時間の変化
600eの航続距離を真冬の走行から推定執筆/撮影:Kaoru Kobayashi(小林薫)
3台乗った日産リーフから昨年乗り換え愛車となったフィアット600eによるEVライフは、本体色のターコイズブルーのように爽やかで快適な日々となっています。軽妙なステアリング、自然なままのアクセル反応、柔軟性のあるサスペンション、それに加え、絶妙にチューニングされた回生ブレーキが大きく貢献していると思われます。
【画像】真冬はどれくらい走れる?日産リーフから乗り換えたイタリアンEV『フィアット600e』 全3枚
600eの最大の魅力は、秀逸なEV性能です。バッテリー54kWhでWLTCの航続距離493kmと、コンパクトEVの中では群を抜いて優れています。

常磐ホテルで笹本健次総編集長のポルシェ・タイカンと並んだフィアット600e。 小林薫
その航続距離は真冬になってどうなのか、自宅のある山梨県甲府市から神奈川県の箱根に行く機会があり、実際の遠出で推定してみました。
真冬になると、バッテリー性能の低下だけでなく、エアコンの暖房を使うことによってどのメーカーのEVも航続距離は厳しくなります。甲府から箱根湯元へは、富士五湖、御殿場を経由して約90km。これまで乗っていた日産リーフでは追加充電が必要でしたが、600eなら自宅充電だけで余裕で往復できる距離です。
氷点下の朝、自宅を満充電でスタート
最低気温が氷点下の1月下旬の朝、自宅を満充電でスタートし、標高約1000mある御坂トンネルを越えて富士吉田ICから東富士五胡道路に乗り、御殿場と箱根の宮ノ下を通って箱根湯本へ向かいました。
一般道はノーマルモード、高速道路はスポーツモードで運転し、富士五湖方面の気温はこの日5度以下だったので、暖房は普通に使いました。箱根湯本駅周辺は、寒い冬にもかかわらず多くの観光客で賑わっていました。

真冬の1月下旬に訪れた箱根湯元でのフィアット600e。 小林薫
翌日、同じ道を走り、夕方自宅まで帰りましたが、走行距離185km、バッテリー残量50%、平均電費7.5kWh/kmとなっており、冬化粧の富士山を見ながらのいいドライブになりました。このデータから推測できる一充電の航続距離は370km、バッテリー容量の実効値は49.3kWhとなります。
昨年、秋の気候の良い時期に、エアコンを使わずに埼玉県の大宮と往復した時の一充電の推定値の航続距離は429kmでしたので、それより59km減となっています。
いろいろな走行条件や運転のしかたで航続距離は変わりますが、ほぼ予想通りで、一応の目安とはなります。ただ、この航続距離だと、真冬の都心への往復はなかなか厳しく、あまり余裕はないかもしれません。
なお、このような航続距離の推定をする場合、出発する地点と到着地点は同じであるか、標高が同じであることは必須です。
冬場の急速充電スポットでの性能を実測
日産リーフでは、冬場になると充電電流が減り、時間がかかるようになっていました。このフィアット600eではどうなのか、三菱自動車販売甲府店にある50kWhの急速充電で、エコQ電の充電カードを使って実測してみました。
その結果、残量50%から80%までの充電時間は約26分となり、充電量は約16kWh、料金は780円でした。昨年秋に、同じ50%からの充電を行っていますが、充電時間は約22分となっていました。充電時間は伸びましたが、増え方はそれほど多くなく、外気温6度にもかかわらず、ほぼ期待通りの結果です。

東日本三菱自動車販売の甲府店にある50kWhの急速充電。 小林薫
ちなみにリーフで同じ50%から80%の充電の充電量は約10kWhで、気候の良い時は20分位で終わりますが、真冬は30分以上かかっていました。
急速充電の性能もそれなりに改善されています。遠出した時、経路充電をすることはあまりなさそうですが、それでも使う可能性はあり、早いに越したことはありません。
バッテリーの温度調整システムがあり安心
フィアット600eの納車後に最初に探したのは、バッテリーの温度計ですが、見つかりませんでした。リーフでは、真夏になると急速充電でバッテリー温度が上がり、常に気にしながら運転していました。特に高速道路の連続走行では、走行が事実上出来なくなるような可能性もあり、夏に遠出することは避けていました。
しかし600eのリチウムイオン電池には温度調整システムがあり、ユーザーはそれを管理しなくても良く、作動に応じてバッテリーを最適な温度に制御しているようです。これも600eのEVとして大きく進化していた点で、真夏の遠乗りも安心して出かけることができます。

真冬の1月下旬に訪れた箱根湯元でのフィアット600e。 小林薫
これまで輸入車は、国産車に比べて品質において不安があり、修理部品なども高価であると聞いていました。600eの検討時も、いろいろな方からそのようなご指摘を頂きましたが、今のところ品質などに問題を感じるようなことはなく、意外にもクルマとしての完成度の高さを感じる日々となっています。
しかし、所有してまだ4ヵ月しか経っていなく、耐久性などについては何とも言えませんので、その評価にはもうしばらく時間が必要です。それなりの覚悟を持って望んでいますが、購入時に心配だったので、5年の延長保証には加入しています。
ヒョンデのインスターも魅力的だった
2024〜2025年は、輸入車で多くのEVが発売されており、フィアット以外にもBYD、ミニ、ボルボ、ヒョンデなどのコンパクトEVに試乗しました。特に、BYDについては恐るべきメーカーだと感じました。
また、昨年発売したヒョンデのインスターは、日産リーフの後継EVの有力な候補でした。車体重量は1400kg、バッテリー容量は49kWhで、WLTCの航続距離は458kmもあり、小型車であるにもかかわらず実用上十分な距離になっています。

カージャニーのサービスを利用し数日間試乗したヒョンデのインスター・ラウンジ。 小林薫
特に、高速道路での電費の実測値は、車体の軽さが大きく寄与しているようで、電費の優れている600eよりもさらに5%以上も良い数値になっていました。
回生ブレーキは、パドルスイッチで数段階に切り替えられるのが特徴で、高速道路でのコースティング走行は圧巻、滑空する感じはとても爽快でした。高級感は少なく5ナンバーですが、機能は盛り沢山で、いろいろと面白く楽しめそうなクルマになっていると思いました。
地元にヒョンデの販売店はありませんでしたが、試乗レンタル会社『カージャニー(Carjany)』で自由に試乗検討できます。店舗エリアはまだ関東圏だけですが、平日2750円と高くはなく、とても便利でした。
このインスターは、フィアット600eとは全く別次元の特徴のあるクルマになっており、どちらを後継EVにするか最後まで迷いました。600eはお洒落で楽しく、インスターは機能豊富で面白く、どちらも魅力的な良くできたEVであると思います。
2026年もさらに多くのEVが発売されそうで、どのようなクルマが出てくるのか、とても楽しみです。また、笹本総編集長のポルシェ・タイカンの次期EVの検討からも目がはなせません。
次回は、600eの感動をもたらした回生ブレーキについて報告する予定です。
