記事のポイント
Z世代のヴィンテージ消費行動を捉え、スタイリスト主導で日常着として再構築したコレクションである
単品ではなく全身のスタイリングを提案し、SNSや店舗イベントを通じて物語を伝える戦略をとる
エアリーの好調な業績を背景に、全カテゴリーでの需要を取り込みさらなる成長をめざす動きである


エアリーは昨年12月22日、エミリー・アンド・メリット(Emily + Meritt)とのコラボレーションを発表した。全64点からなるこのカプセルコレクションは、スタイル数ベースでエアリー史上最大規模のコラボレーションである。

これはブランド内部で「リミックスドヴィンテージ(remixed vintage)」と呼ぶ、ノスタルジックな美意識を現代的で着やすく、繰り返し着用できる製品へと落とし込む、スタイリング主導のアプローチとなっている。

エアリーはこのパートナーシップを通じて、Z世代の顧客のあいだでみられる行動を明確化しようとしている。若年層の消費者は、セレブリティやSNSの投稿で見られるスタイリストの仕事を通じてヴィンテージスタイルを学び、そのうえで、快適さ、一貫性、価格面での手頃さを提供できるブランドから、同様のルックを購入する傾向があるという。

エミリー・アンド・メリットのコレクションは、Aerie.comおよび一部のエアリー店舗で展開され、ソーホー地区にあるエアリー店舗では大規模な実店舗展開も行われる。

インティメイツは約18ドル(約2700円)から、ブラレットは30〜40ドル(約4500〜6000円)、サテンのスリップドレスやストライプパンツ、ニットカーディガンといったスリープおよびラウンジアイテムは48〜88ドル(約7200〜1万3200円)で販売される。今回のローンチは、店舗内イベントによっても後押しされる。

実店舗イベントとSNSで伝える「スタイリングの物語」



ソーホー店では、コラボレーターであるスタイリストのエミリー・カレント氏とメリット・エリオット氏によるミートアンドグリートイベントが予定されている。また、エアリーのSNSおよびデジタルチャネル全体では、2人のスタイリングプロセスを可視化し、友情やノスタルジア、そして日常使いしやすいといったテーマを強調するコンテンツが展開される。

長年のクリエイティブパートナーであるカレント氏とエリオット氏は、スタイリストとして名声を築き上げ、2008年にプレミアムデニムブランドのカレント/エリオット(Current/Elliott)を共同設立した。同ブランドはヴィンテージウォッシュデニムの普及に貢献し、その後、投資運用会社スプルース・ハウス・パートナーシップ(Spruce House Partnership)に過半数株式を売却した際には、時価総額が約2億ドル(約300億円)に達した。

2025年12月には、ブランド開発会社リパブリック・ブランズ・グループ(Republic Brands Group)に買収され、現在は創業者による運営ではない。カレント氏とエリオット氏は2015年以降、オフデューティ向けファッションブランドのザ・グレート(The Great)の構築に注力している。

スタイリング起点で再構築された「リアルライフ向けヴィンテージ」



「我々の仕事は常にスタイリングからはじまってきた。身に着けたときにどう感じるか、どう動くか、そしてそれが誰かの日常の一部になっていくか、という点である」とカレント氏は語る。エアリーのコレクションにおけるヴィンテージの要素、すなわちウォッシュ加工の生地やレトロなトリム、ゆったりしたシルエットは、「柔らかくされ」「実生活向けに再構築された」ものだという。

2人は「ノスタルジックでありながら気負わない」印象を与えるシルエットや、「形や意図を失うことなく快適さを優先する」フィット感に注力した。その結果、「重ね着でも単体でも、着慣れたように感じられ、着やすく、スタイリングしやすいアイテムになっている」とエリオット氏は述べている。

単品ではなく「全身像」を想起させるコレクション設計



エアリーのCMOであるステイシー・マコーミック氏は、同ブランドがカレント氏とエリオット氏に声をかけた際、スタイリングを起点としたコレクションをめざしていたと語る。「彼女たちはスタイリストだ。意外性のある組み合わせでコーディネートを完成させることを重視している」と同氏は述べる。

このアプローチは、単品購入ではなく、顧客が全体のルックを思い描けるようにすることを目的としている。マコーミック氏は今回のコラボレーションを、エアリーのインティメイツ分野での専門性と、2人のヴィンテージ主導の視点が交差するものだと表現した。

「我々は、何度も手に取るようになり、着続けることで自分のワードローブのなかでヴィンテージのような存在になるアイテムが必要だ、という点で意見が一致した」と同氏は語る。この考えには、ヴィンテージアイテムにありがちな「何度も着て洗うと壊れてしまうのではないか」という不安を伴わないノスタルジアを提供する狙いもある。

Googleトレンドのデータによると、「vintage inspired(ヴィンテージ風)」に対する世界的な検索関心は過去3年間で2倍以上に増加しており、この美意識が主流へと移行していることを示している。さらにマコーミック氏は、このコラボレーションが世代を超えて通用する点を強調し、エアリーがアルファ世代およびZ世代の獲得と定着に注力していると述べた。

2025年には、カテゴリーを問わず多くのブランドがリミックスドヴィンテージに傾倒した。7月にはホリスター(Hollister)が25周年を記念したY2Kリイシューを展開し、2月にはリフォーメーション(Reformation)がナラ・スミスと20型のヴィンテージ風カプセルコレクションを発表した。

また、ハドソン・ジーンズ(Hudson Jeans)は、2025年春にブルックス・ネイダーとのコラボレーションを行い、1990年代のスーパーモデルスタイルに言及した。

好調な業績が裏付けるエアリーのブランド戦略



「エアリーが女性の着心地を重視している点を評価している」とエリオット氏は語る。「すべてのアイテムが親しみやすく、快適で、エンパワーメントを感じられるものであってほしかった。これは、女性が実際にどのように生活し、どのように服を着ているかに根ざした、正直でパーソナルなものを作る試みだった」。

カレント氏はさらに、「我々はもともと自分たちでエアリーの服を買っていて、今では娘たちと一緒に買えるようになった。そのため、このコレクションを作るプロセスはとても自然に感じられた」と付け加えた。

今回のタイミングは、エアリーの事業面での勢いとも一致している。アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)の12月2日の決算説明会で、CEOのジェイ・ショッテンスタイン氏は、同社が第3四半期に売上高14億ドル(約2100億円)と過去最高を記録し、前年同期比6%増、営業利益はガイダンスを上回る1億1300万ドル(約170億円)だったと述べた。

同氏はエアリーの業績を「際立った存在」と評し、既存店売上高11%増と、「全カテゴリーにわたる強い需要」を挙げたうえで、その成長が第4四半期にも「非常に強い需要」として継続していると語った。CFOのマイク・マシアス氏はその後、第4四半期のガイダンスについて、エアリーの既存店売上高が10%台後半になることを示唆していると述べた。

AEOのプレジデント兼エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターであるジェン・フォイル氏は、この勢いをカテゴリーの広がりと結びつけた。エアリーの第3四半期の業績は、「アンダーウェア、アパレル、スリープウェア、そしてオフラインを含む、すべてのカテゴリーにおける強さ」によって支えられていたという。

同氏はアンダーウェアブランド、インティメイツの回復を「非常に心強い」とし、スリープウェアについては「強力な成長カテゴリー」だと表現した。エミリー・アンド・メリットのカプセルコレクションもまた、アンダーウェア、スリープウェア、ラウンジウェア、アクセサリーにまたがる構成となっており、そのバランスを反映している。

[原文:Aerie launches largest collaboration yet, focused on ‘remixed vintage’ and styling inspiration]

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)