初競りで5億円! 「すしざんまい」は毎年のように億で競り落としていますが、採算が合っているということでしょうか? 普通のすし屋との違いとは?

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毎年お正月の恒例ニュースとして注目を集めるのが、豊洲市場で行われる「初競り」です。特に話題になるのは、その年の“一番マグロ”と呼ばれる本マグロの最高額落札。2026年も例に漏れず、すしチェーンの「すしざんまい」が約5億円という高額で落札し、世間を驚かせました。 それを見た多くの人が、「こんな高いマグロを仕入れて、ちゃんと採算は合うの?」「どうして普通のすし屋ではなく、毎年すしざんまいが落札しているの?」と思ったことでしょう。実はこの“初競り”には、単なる仕入れ以上の意味があるのです。本記事で、見ていきましょう。

初競りの高額マグロは仕入れではなく「広告塔」

まず押さえておきたいのは、初競りで落札されるマグロは、普通の仕入れとは少し違うということです。確かに実際の魚を手に入れているわけですが、その主な目的は販売して利益を得ることではありません。
5億円という価格は、通常の相場から見ても極端に高額です。そのまま店で販売しても、その金額を回収するのはほぼ不可能でしょう。しかし、すしざんまいはあえて高額を支払ってでも、このマグロを落札し続けています。
なぜかというと、それだけの金額を払ってでも得たいものがあるからと考えられます。それは、「話題性」と「ブランドの印象づけ」です。
ニュースやテレビ、SNSなどで大きく取り上げられ、「今年もすしざんまいが一番マグロを競り落とした!」という情報が、全国の幅広い層にまで一気に広がります。これは高額な広告宣伝費のようなもので、テレビCMよりもインパクトがあり、人々の記憶に強く残るのです。

高額マグロはどうやって提供されている?

では、競り落とされたマグロはどうなるのでしょうか。すしざんまいでは、落札直後に店舗で「解体ショー」を行い、全国の店舗でこのマグロを提供します。驚くべきはその価格で、特別な高値ではなく、普段のメニューと同じ価格帯で提供されていることです。
つまり、来店したお客さまは、5億円のマグロを気軽に楽しむことができるのです。「あのニュースで見たマグロが今、目の前に!」という非日常的な体験は、確実に来店の動機になり、お客さんにとって強い印象を残します。
この高級体験を日常価格で楽しめる仕組みは、多くの人にとって魅力的であり、口コミやSNSでの拡散にもつながります。ただの広告ではなく、「実際に食べて、体感できる宣伝」という点で、他の飲食店にはまねしづらい方法です。

普通のすし屋にはできない、すしざんまいの戦略

すしざんまいがこうした戦略を取れるのは、全国に多数の店舗を展開しているからこそです。特に個人経営のすし屋や規模の小さな店舗では、すしざんまいと同じことはできないでしょう。
また、社長自らが現場に出てマグロを競り落とす姿や、明るいキャラクターも相まって、企業のイメージを大きく印象づけています。「すしざんまい=勢いがあり、楽しいすし屋」というイメージが定着しているのも、この戦略の成果といえます。
このように、初競りでの高額マグロは単なる魚の仕入れではなく、ブランディングやマーケティングの一環です。利益は目先の売り上げからではなく、長期的な集客効果や企業イメージの定着によって生まれるのです。

本当の狙いは「記憶に残るすし屋」になること

結論からいえば、5億円のマグロ単体で利益を出すことは難しいでしょう。しかし、すしざんまいにとっては、そのマグロを通じて得られる広告効果が何よりの価値なのです。
話題になることで新規の来店客が増え、常連客の満足度も高まります。そして「すしざんまいといえば、初競りのマグロ」と連想されるようになれば、他のすしチェーンとの差別化にもつながります。派手なニュースの裏には、しっかりとした戦略と、長期的な視点でのブランディングがある…… それが、すしざんまいの強さの秘密だといえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー