さて、中学受験本番が近づいてきた。そこで気になるのが、最終的な受験校・志望校の話だ。御三家を目指して突っ走るのも良いものの、一部の家庭は戦略的に早慶附属校を第一志望にして「利確」している。

 教育投資ジャーナリストの戦記氏は「実は、一部のエリート職業一家は、戦略的に早慶附属校を最初から選ぶ傾向にあることが取材でわかりました」という。また、「早慶に特化した逆算戦略をとれば、御三家レベルの偏差値がなくても逆転合格が可能」とも。同氏が綴るーー。

 みんかぶプレミアム連載「受験とキャリアの不都合な真実」


中学受験クラスタにはお馴染みの「早慶利確」の選択肢


 教育投資ジャーナリストの戦記(@SenkiWork)と申します。

 第二次トランプ政権に振り回された2025年は終わり、2026年1月になりました。中学受験シーズンが本格開始するこのタイミングにて、中学受験プロセスにおいて一度は頭をよぎるであろう「早慶利確」について考察してみたいと思います。

「少子化による子供への教育投資の集中化により、東大や国立大学医学部(以下、東大国医)受験のタイパとコスパが悪化しており、中学高校の6年間を親子で苦しみぬいての東大不合格で早慶に落ち着くならば、最初から中学受験で早慶に進学した方が民間企業キャリア形成の上では良いのではないか」

 そんな悩みをお持ちの方に本稿が参考になれば嬉しく思います。

早慶利確とは何か


 Twitter教育界においては一般的に用いられている用語ですが、僕の言葉で「早慶利確」を定義するならば以下の通りになります。

1. 狭義の早慶利確

 中学受験において御三家などの難関校に合格できる実力がありながら、(問題傾向の違いがあるので単純比較は難しいが)難易度が相対的に低い早慶を受験して合格し、実際に進学することで、大学の最終学歴を早慶で利益確定すること。利確することの代償として、東大や国立大学医学部受験等のアップサイドの選択肢を実質的に断念することを意味します。

2. 広義の早慶利確

 尚、中学受験においてギリギリ早慶附属校・系属校に合格可能なお子さんは、そもそも東大国医市場にいない可能性がありますので、早慶利確という概念からは少し外れることになります。大学受験に挑戦しても、東大国医レベルに到達せず、順当に早慶に進学する可能性があるからです。とはいえ、将来の成長鈍化を見込んで現時点で利確するという教育投資判断も合理性がありますので、広義の早慶利確と定義して良いと考えます。

 そんな早慶利確組の選択肢ですが、高校基準で考えると以下の通りになります。早稲田のみ、附属校(大学と同じ法人が経営)と系属校(別法人にて経営)という概念があります。

(1a)早稲田附属校

1. 早稲田大学高等学院中学部・高等学院

2. 早稲田大学本庄高等学院

(1b)早稲田系属校

3. 早稲田実業初等部・中等部・高等部

4. 早稲田中学校・高等学校(※鉄緑会指定校15校の1つであり異色の存在)

5. 早稲田渋谷シンガポール

6. 早稲田大阪高等学校

7. 早稲田佐賀中学校・高等学校

(2)慶應義塾大学附属校

1. 慶應義塾高校

2. 慶應義塾女子高校

3. 慶應義塾湘南藤沢高等部

4. 慶應義塾志木高校

5. 慶應義塾ニューヨーク学院

 このうち、中学受験で進学できる先は、以下の通りです。

(1a)早稲田附属校

1. 早稲田大学高等学院中学部(男子120名)

(1b)早稲田系属校

3. 早稲田実業中等部(男子70名、女子40名)

4. 早稲田中学校(男子120名)

7. 早稲田佐賀中学校(男女120名、男女比は概ね2:1)

(2)慶應義塾大学附属校

a) 慶應義塾普通部(男子180名)

b) 慶應義塾中等部(男子120名、女子50名)

c) 慶應義塾湘南藤沢中等部(男女100名)

 つまり、早稲田利確は470名(うち女子は概ね80名)、慶應利確は450名(うち女子は概ね100名)となります。920名が早慶利確をしていることになります。日能研の調査によれば、2025年の首都圏中学受験人口62,200名でしたので、おおむね1.5%が早慶利確を達成していることになります。

 数字から分かる通り、女子においては中学受験での早慶利確は門戸が狭く、男子に開かれた選択肢であることが分かるかと考えます。

次のテーマでは早慶利確する家庭の特徴を解説