映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』©ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie

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 9月最終週の動員ランキングは、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が週末3日間で動員52万3000人、興収7億9970万円をあげて2週連続1位。公開から10日間の累計動員は196万7500人、興収は29億9000万円。2位は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。週末3日間の動員は27万1000人、興収は4億4700万円。公開2週目と公開11週目なので普通に考えれば当然のことなのだが(しかしあらゆる「普通」が通用しないのが今年の『鬼滅』興行だった)、1位の『チェンソーマン』とは意外なほど大差がついた。さすがの『鬼滅』もそろそろ息切れ気味か。

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 暦は早くも10月。映連が発表する年間の全国映画概況の区切りは前年の12月公開作から当年の11月末公開作までなので、2025年の映画興行も事実上あと2ヶ月ということになった。年間トップ3は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、『国宝』、『名探偵コナン 隻眼の残像』でどう考えても決まりだろうが、現在も公開中、この時点で約24億円(年間16位)もの興収を稼ぎながら、本コラムで取り上げる機会を逸してきた作品がある。『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』のことだ。

 2025年2月21日に全国85スクリーンで公開された『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』は動員ランキングで初週8位。その後、何度もトップ10圏外になりながら公開3週目に9位、5週目に10位、6週目も10位、7週目に6位、8週目に5位、9週目に8位と異例の推移(他の作品の数字に影響されているだけで1スクリーン当たりの動員ではずっと高水準をキープ)をしながら、本稿執筆時点で実に225日間のロングラン上映中。同作は、数年前までだったら映連の年間ランキングには含まれなかったODS作品で、チケット代は特別興行扱いの一律2500円ということも、累計興収に有利に働いている。

 劇場用映画としては日本初となる観客参加型のインタラクティブ映画となる『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』では、スクリーン上で描かれるディビジョン・ラップバトルの勝敗が映画館内の観客の投票によって決まる。投票は上映中にスマホアプリを通じてリアルタイムで行われ、投票数の多かった選択肢に従ってストーリーが進行するため、上映回ごとに物語の展開や結末が変わる。上映スクリーンには専用のインタラクティブ用機材が必要で、公開スクリーンの数が限られきたのはそれが理由だ。

 「投票は上映中にスマホアプリを通じてリアルタイムで行われ」あたりから、古いタイプの映画ファンからしてみれば、一体何のことを言ってるのかわからないかもしれないが、これが2025年の映画興行の最前線であることは間違いない。そして、その配給をしているのもやっぱり東宝(かつての東宝映像事業部から発展したTOHO NEXT)なのである。

(文=宇野維正)