コンプラなんてない昭和の自由が羨ましい……は半分正解で不正解! ドラレコも監視カメラもないから「クルマのトラブル」も想像を絶する悪質っぷりだった

この記事をまとめると
■昭和のころはクルマに関するイタズラや迷惑行為が絶えなかった
■10円パンチや落書きなどの行為は定番と化していた
■当たり屋のような詐欺師に近いような人も多かった
昭和はクルマにまつわるトラブルが多かった
昭和は遠くなりにけり、コンプライアンスがガバガバだったころを懐かしむ諸兄も大勢いらっしゃることでしょう。とりわけクルマ界隈はやりたい放題、乗り放題な楽しみも少なくなかったと記憶しております。
が、しかしながら一方では、いまとなっては考えられないようなトラブルも数多く発生していたこと、苦々しく思い出す方もいらっしゃるはず。10円パンチや当たり屋といった当時のトラブル事例を振り返り、若者への注意喚起となれば幸いです。
10円パンチは卑劣なイタズラとして、いまでも発生しているかと。10円玉やクルマのキーなどで車体にキズをつける行為ですが、監視カメラがそこそこ普及したいまならまだしも、昭和における監視カメラは夜間金庫くらいなもの。たいていは泣き寝入りするのがオチではなかったでしょうか。
筆者の場合は、剥離剤でもってトランクフードを滅茶苦茶にされた経験があります。イタズラ書きの定番として、卑猥な落書きを描いてくれたものですから、悔しさや驚き、そして愛車に申し訳ないと涙したものです。ほんと、許しがたい!

ところで、剥離剤をやられたのはカブリオレだったのですが、幌がビニール製だったためにタバコかなんかで穴を開けられたこともありました。ご承知のとおり、ポイ捨てされたタバコくらいではなかなか溶けるものでもなく、確実に悪意をもって押し付けられたことは明らか。違法駐車で誰かに迷惑をかけていたわけでもないのに、憤懣やるかたないとはこのことです。
また、カブリオレの幌が高級な布製だったとしても、オープン走行時は油断も隙もありませんでした。忘れもしない、表参道を走行中に食べかけのソフトクリームを投げ入れられたこともあります。その際は助手席のガールフレンドを直撃したので、車内はさほど汚れることがなくて助かったのですが、彼女は二度とオープン走行を許さなくなりました。もっとも、ソフトクリームだけでなく、火のついたタバコを投げ入れられたという話も聞きますので、まったくもって悪質としかいいようがありません。

悪質といえば、キレるドライバーというのも昭和のころからぶちかましていましたね。ヤカラなんて言葉が流行る前から、キレてるのか凶暴なのか、ゾッとするような出来事がいくつもありました。
ある日、筆者が渋滞を避けて朝早めに出勤しようと、住宅街の裏道をそこそこなペースで走っていると、工事機材を満載したトラックに追いついたのです。トラックは道に迷いでもしたのか、止まったり徐行したりの繰り返し。狭い一方通行の道で、こちらは遅刻スレスレで焦っているとなれば、クラクションのひとつも鳴らそうというもの。

で、若気の至りでホーンを軽く鳴らしたのですが、うっかりしていました。そのときに乗っていたのは代車で借りていたゴルフIIで、ボッシュのパワーホーンが付けられていることを知らなかったのです。パパーン! とけたたましい音は、墓場で眠るばあちゃんも目を覚ます勢い。
しまった、と思う間もなく前方のトラックからグラップラーみたいな男が降りてきたのです。手には特大のバールが握られており「ウッセーゴルァ」の声が早いか、大谷並みのフルスイングでもってサイドミラーを木っ端みじんに。朝の通勤時間、焦っているのは自分だけではなかったと、反省とともにヒヤリと背筋を凍らせた次第です。
当たり屋もあちこちに
ヒヤリといえば、あるデパートの地下駐車場から自動精算機のある出口に並んだときのこと。バーの前には先着のメルセデス・ベンツが止まっていて、筆者はその後ろに行儀よく並んだのです。で、前方に目を凝らすと、左ハンドルゆえに右側の精算機にマジックハンドでもって駐車券だか、お札だかを入れようとしているわけです。昔は左側に精算機がついている駐車場はいまより少なかったので、「ははぁ、ご苦労なさっている」と同情まじりの筆者。

ところが、前のドライバーがもそもそやっている間、コツンと小さな衝撃を感じました。その出口は急な上り坂になっていたので、ブレーキから足が離れでもしたのか、ベンツが下がってきていたのです。すると、マジックハンドをもったドライバーがこちらを振り向き、会釈でもするのかと思いきや、おもむろにクルマを降りてきたのでした。
最初に自分のクルマのリヤバンパーと、筆者のフロントバンパー双方に目を凝らす姿に邪気は見られませんでした。むしろ「やっちゃったぁ」的な苦笑いさえ浮かんで見えたもの。そのときには、いくらか車間をあけていて、こちらも「あれくらいなら、まあいいか」くらいの構えでいたのですが、ベンツのドライバーが発した言葉に唖然としました。

歪んだ笑みを浮かべながら「いいよ、いいよ、新しいのもってきてくれたら」と、ヤナセのキーホルダーごとベンツのキーを手渡してきたのです。その後のゴタゴタは省きますが、ヤツは名うての当たり屋というか詐欺師だったことがわかり、取り立てて被害はなかったものの、いまでも釈然としていません。当たり屋の手口も巧妙化しており、なかには天才的な悪知恵を発揮する者もいるようですので、令和のいまとなっても用心するに越したことはありません。
こうして思い返してみると、石川五右衛門の昔から、「浜の真砂は尽きるとも」クルマにまつわるトラブルや悪いやつというのは、一向に減らないのは世の摂理かと。コンプライアンスや監視カメラに頼ることなく、用心しなくてはならないのは昭和も令和も関係ないのです。

