CATレディースに出場した櫻井心那【写真:スポーツ報知/アフロ】

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CATレディース最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・CATレディース最終日が24日、神奈川県の大根CC(6652ヤード、パー72)で開催された。2位と1打差の首位から出た21歳の櫻井心那(ニトリ)が3バーディー、3ボギーの72で回り、通算9アンダーで約2年ぶりの通算5勝目を飾った。2022年にステップ・アップ・ツアー5勝、23年にツアー4勝を飾ったが、24年は一転して不調に。会見では、その間の苦悩、今後への思いなどを語った。

 最終組が18番に入った段階で、6人が首位に並んでいた大混戦。櫻井は第1打を270ヤード地点まで、第2打でグリーン左横のバンカーまで運んだ。そして、クラブヘッドを巧みに操作して第3打をピンそばにつけた。

「ティーショットを打つ前から、このホールで決めるつもりでいました。弓美子さんから、大人数でプレーオフになったら大変。『私、早く帰りたいから、分かってるよな』と圧もかけられていたんで(笑)」

 キャディーを務めてくれたツアー7勝の吉田弓美子からの鼓舞もあり、最大限の集中力を発揮。同組で同スコアだった木戸愛がバーディーを奪えなかったことで、櫻井の短い第4打がウィニングパットに。両目からすぐに涙があふれた。

「優勝して泣いたのは初めてです。こんなはずじゃなかったんですけど(笑)、また、時間が動き出した感じです」

 2021年11月の最終プロテストに一発合格。ルーキーイヤーの22年はステップ・アップ・ツアーを主戦場にして5勝を飾った。翌23年は、7月の資生堂レディスを皮切りに10月の富士通レディースまでに約3か月で4勝を飾った。同世代には、川崎春花、竹田麗央、尾関彩美悠がいるが、瞬く間に優勝回数をしのぐ世代No.1プロになった。

「あの頃は何も考えずにプレーしていました。スイングのこととかもよく分かっていなかったです。今、考えると何であんなに上手かったのか不思議です。アプローチもヘッドが下から入っていたのに、結構、寄っていましたし」

 だが、24年の第3戦で「スイングがおかしくなった」ことを自覚。そこから「迷走が始まった」と言い、持ち前のフェードボールが打てなくなり、仕方なく「ドロー」で数試合を戦っていたという。

「ドローの期間でシード権までは獲れましたが、自分はやっぱりフェードヒッターだという思いはありました」

転機となったコーチとの出会い

 優勝争いに絡む機会も少なくなり、悩みが深くなった頃の昨年10月、松山英樹らのコーチを務めてきた目澤秀憲氏と出会い、状況が変化。持ち球もフェードに戻し、スイング理論を学び、トレーニングやケアの大切さも教えられていた。

「私、ゴルフに詳しくなかったのでスイング理論を言われても、よく分かりませんでした。でも、何度も教えていただき、今は理解できています。アプローチもヘッドを上から入れられるようになり、スピンコントロールが効くようになりました」

 そして、今週は目澤氏の「高校時代にもらったパター」を借りて出場。自身が求めていたフィーリングが出始め、バーディーを量産していった。

 勝てなかった24年シーズンには、同世代の竹田麗央が一気に8勝を飾って米ツアー出場権を獲得した。櫻井は23年シーズン終了時点で「早く海外でプレーしたい」と公言していたが、24年にはそれを言える状況ではなくなった。当時の感情を問われると、隠さずに言った。

「悔しい、苦しい、焦りとかがありました。このままでは海外でするのに『時間がない』とも思いましたし、今も思っています。もっと、『うまくならないとな』と」

 早く海を渡りたい気持ちは今もある。そして、「長く辛かった時間」を乗り越えての1勝。これを機に来年の米女子ツアー予選会を受けるかを問われると、「え〜っ、あっ、フフ、考えときます」と言い含みを持たせた。

 その前に達成したいこともある。9月以降のソニー日本女子プロ選手権、日本女子オープンといった国内メジャー戦のタイトルを獲得することだ。

「来週は所属のニトリレディスもありますし、これから私にとって大きな試合が続きます。また、優勝したいです」

「感覚重視」で勝ちまくっていた天才は、大きな壁に当たって、悩み、学んで新たな1勝を手にした。自身も「この優勝の価値は大きい」と言った。まだ21歳。櫻井はこれから竹田の背中を追うべく、エンジンを全開にしていく。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)