年間300杯を食す“氷活”の達人が厳選!東京で今注目の「かき氷店」6選
冷たいひと皿が、体だけでなく、心まで整えてくれることを、私たちは経験的に知っている。
つるりと喉を通る涼麺に、かき氷が舌の上で儚く溶ける瞬間に心ほどける。“食べて涼をとる”という、夏ならではの贅沢。
この季節にこそ食したい、涼感グルメを厳選してご紹介。今回は「かき氷編」。
かき氷を選んでくれたのは…
Karinko
かき氷愛好家のクリエイティブディレクター。2018年から年間300杯以上を食べ歩いている“氷活”の達人。実在するかき氷の名店を紹介するオリジナル漫画を企画し、自身のinstagram(@karinko_____)で連載中。
1.フレンチのかき氷
『DÉGUSTATION』の「紫陽花」

ジューシーかつしっかりとした食感の小夏と、ヨーグルトのエスプーマのふわっとした口当たりの対比を楽しむことができる「紫陽花」¥2,300
初夏の青と、果実のきらめき。ひと匙ごとに“食べる紫陽花”が咲いていく
成城学園前に店を構える『DÉGUSTATION』は、フレンチの感性が息づくかき氷で話題の一軒。
シェフ・小鮒博明さんと、奥さまのKUMIKOさんが二人三脚で営んでおり、フルーツのカット、ソースの仕立て、食材の組み合わせに至るまで、料理人ならではの美意識が料理に宿っている。
「もはや芸術です。生ハムや牛肉などを使った“お食事系氷”も感動的ですよ」と絶賛する。
この夏の限定メニュー「紫陽花」では、土佐の小夏が主役。みずみずしい果実の甘さに寄り添うのは、色鮮やかなバタフライピーティーのシロップと、ヨーグルトのエスプーマ。甘さを抑えたシロップが、素材本来の輪郭をくっきりと際立たせる。
ほんのりと酸味をまとい、青い花びらのように儚く広がる味わい。ひと匙ごとに、涼やかな余韻が残る珠玉の一杯。

2.日本料理のかき氷
『廚 くろぎ』の「みたらしみるく」

「みたらしみるく」通常サイズ¥1,950。“しろくま”で有名な宮崎県出身の黒木さんが作るかき氷は基本練乳ベース。食べ飽きないように3層構造にしている
かき氷界の横綱と呼ばれるほどの堂々たる姿。和の粋を感じる圧巻の一杯
日本一予約が取れない和食店とも称される『くろぎ』。主人の黒木 純さんが手掛けるかき氷専門店が『廚 くろぎ』だ。ここでいただけるのは、和の職人技とモダンな感性が融合した贅沢な涼スイーツ。
人気メニューの「みたらしみるく」は練乳みるくが染みこんだふわふわの氷に特製のみたらし蜜、濃厚なチーズクリームがたっぷり。食べ進めると中には甘さの違うこしあん、カリッとした食感が楽しいクルミが顔をのぞかせ、和食的アプローチからなる甘じょっぱさが夏のカラダに染みわたる。
そしてなんといっても驚くのが、その大きさ。Karinkoさんいわく「かき氷界の横綱と呼ばれるほどのボリュームと風格あり。初めての方は小さめサイズがあるので、そちらもオススメ」とのこと。
甘さの奥に感じる職人の矜持と遊び心に、気付けば夢中になっているはずだ。

3.専門店のかき氷
『Parlor Vinefru 銀座』の「苺とピスタチオエスプーマのかき氷」

食べ進めると、中にはミックスベリーのコンフィチュールやローストアーモンドなどが入っており、味や食感の違いを堪能できる。¥1,980
研究熱心な店主が生み出す味わいの掛け算が楽しいかき氷
「定番系から好奇心をそそる変わり種まで、選ぶのに迷うほどメニューが多彩」とKarinkoさん。
手掛けるのは、年間100品以上を生み出す『Parlor Vinefru 銀座』の店主・西ヶ谷佳則さんだ。「かき氷は、自分の発想をすぐに形にできる“瞬間のアート”」という言葉どおり、訪れるたびに新たな驚きが待つ。
人気の「苺とピスタチオエスプーマのかき氷」は、自家製フルーツビネガーで甘酸っぱく仕上げた苺ソースに、エスプーマのコクが重なる、大人好みの一杯だ。
行列回避するなら平日昼とテイクアウト!
平日のオープン11〜13時と土日の12時前は比較的余裕あり。
夏場は100人ほど並ぶこともあるそうだが、すぐにでもかき氷を食べたい!という人は、並ばずに買えるテイクアウトもオススメ。

4.専門店のかき氷
『Tonarino』の「生スイカ デラックス」

あんこやマスカルポーネが入ったスペシャルな仕様(¥2,000)。シンプルな「生スイカ」(¥1,800)も通に人気のメニューなのだとか
季節限定から専門店へ。“たいやき店”が仕掛けた新章
吉祥寺にある『たいやき そら』。夏はかき氷屋として営業し、マニアが足繁く通う店として噂になっていた同店が、今年6月にかき氷専門店として店主の森 洋二さんがオープンしたのがここ『Tonarino』だ。
旬の果物を使用し、注文が入ってから作るシロップはフレッシュそのもの。中でもスイカ氷は「スイカは水分量が多くて“かき氷には不向き”とされるなか、こちらのスイカ氷は“スイカ以上にスイカ”」。最後の一滴まで味わいたい。
予約は前日からOK!ねらい目は平日午後
平日の13時半〜16時は比較的空きが出ることが多いそう。
完全予約制でInstagram(@tonarino.sora)のDMから予約可能。一般予約の場合は、基本的に営業日の1日前から予約を受け付けている。

5.専門店のかき氷
『目白 志むら』の「白玉」

自家製のこしあんシロップは、ペロリと完食できるほど、甘さは控えめ。高さ20センチほどに盛られた氷は圧巻のビジュアル!
むちむち白玉とあんこの海へ。老舗が手掛ける名物“がけ氷”
まるで崖。そんな大胆な造形から“がけ氷”の名で親しまれる一杯が、1939年創業の老舗和菓子店『志むら』の2、3階にある『目白 志むら』だ。
甘味処として通年かき氷がいただける、こちらの隠れた人気メニューが「白玉」¥1,600。高く盛られた氷に、滑らかなこしあんシロップをたっぷりと。脇を固める白玉は、口当たりつるんと、歯ごたえはもちっとしている。
「特にあんこが食べたい日には、迷わずこれです」とかき氷愛好家の折り紙付きの逸品だ。
朝イチの来店が◎。当日の予約もアリ!
午前中、特にオープンの9時直後が一番席に余裕がある。お店としては、基本的に予約しておくことをオススメしている。
当日でも朝9時半から電話予約可能なので、来店前に確認するのがベター。

6.専門店のかき氷
『イタリアンかき氷 リコッタ』の「さくらピスタチオ」

桜の味が染みた氷に、ベリーの赤ワイン煮、ピスタチオソース、削りかけられたグラナ・パダーノが重なっている一杯。¥1,700
“甘い”の常識を覆す、コース仕立てのドルチェ氷
『イタリアンかき氷 リコッタ』の店主である内田 圭さんは、かつての東麻布『カメレオン』でスーシェフを務めた人物だ。同店は“一杯の氷でフルコースを”という斬新な世界観を味わえる。
名物「さくらピスタチオ」は、トップのチーズが前菜のような衝撃を与え、桜ソースが染み込んだ氷へと導く。中のベリーがメインの力強さを生み、最下層のミルク氷で、コースのドルチェのように、穏やかな余韻で幕を閉じる。
Karinkoさんも「一度食べれば中毒になります」と絶賛だ。
毎朝8時の予約開放にスタンバイを!
昼と夜で完全予約の二部制で、ねらい目は平日の14時前後。
当日朝8時からInstagram(@ricotta_shavedice)に記載のURLから予約を受け付ける。予約開放まで朝から待機しておくと良し!
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