記事のポイントクレイブビューティーは「少ない方がいい」を軸に、環境・社会への影響を考慮した製品開発を行っている。主力製品の原料タマヌオイル供給停止を機に、自ら現地コミュニティと提携し責任ある調達を開始した。調達過程や生物多様性をYouTubeやSNSで発信し、消費者に透明性とストーリーを伝えている。
「(我々のミッションは)『より多くがよりいい』というビューティ業界の物語にうんざりしている多くの人たちの共感を得ている」と、CEO兼共同創業者であるリア・ユ氏はGlossyに語った。ユ氏は韓国・ソウルでアモーレパシフィック(Amorepacific)に勤務したのち、YouTubeで自身の肌トラブルを発信し始めた。「20代半ばでニキビ肌の悩みを記録していた。文字通り何でも試したが、何も効果がなかった。すべてをリセットして、14ステップのスキンケアから、とてもミニマルな3ステップのケアに切り替えたことで、ようやく改善が見られた。そこには肌に優しく、最小限で、保湿力のある成分しか使っていなかった」と話す。現在、ユ氏のYouTubeチャンネルには120万人の登録者がおり、創業者としての歩みを追っている。

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環境配慮と倫理的調達で挑む成長戦略

ユ氏は2017年にクレイブビューティー(Krave Beauty)を立ち上げ、現在はD2CとAmazonを通じて販売している。製品の大半は韓国で処方・製造されており、ユ氏自身はソウルとニューヨークを行き来する生活を送っている。クレイブビューティーは年間1製品ほどのペースで新製品を発売しており、製品ライン全体は肌のバリア機能を強化することに基づいている。「『少ない方がいい』というスキンケアのアプローチは、もはやそれだけにとどまらず、もっと大きなものに発展している」とユ氏はGlossyに語った。「(我々は)『このミッションが、より広いステークホルダーや環境、地球にどのような影響を与えるのか?』を常に問いかけている。なぜなら、より多くの製品を量産すればするほど、環境面でも社会面でも、それだけのインパクトが生まれるからである」。つまり、1年に何度も新製品を発売したり、毎日大量の製品を使うよう促すことなく、ブランドはどうやって成功できるのか、という問いに向き合っている。ユ氏はここ数年、できる限り倫理的なサプライチェーンの構築に関心を持っている。つまり、関わるすべての人が公平に扱われ、正当な報酬を得られる仕組みのことであり、それには美容ブランドの多くが踏み込まないレベルの透明性と責任が求められる。今回のエピソードでは、クレイブビューティーのベストセラーである28ドル(約4300円)の「グレート・バリア・リリーフ・セラム(Great Barrier Relief Serum)」に使われている主要成分、タマヌオイルの調達プロセスについてユ氏が語っている。その前に、レクシー・レブサック氏がシニアリポーターのエミリー・ジェンセン氏とともに今週のビューティニュースを紹介する。内容は、レア・ビューティー(Rare Beauty)がフレグランス「レア・オー・ド・パルファム(Rare Eau de Parfum)」を発表したニュースからだ。これは著名調香師ジェローム・エピネット氏とともに開発された75ドル(約11500円)の香水で、8月7日にセフォラ(Sephora)で発売される予定である。また、ハービヴォア(Herbivore)やソルトエア(Saltair)などにおける新たな幹部人事の発表や、ロレアル(L’Oréal)の最新の決算報告、そしてオフィス内施術型の美容注射市場における変化にも触れている。

クレイブビューティーが経験した原材料調達の「気づき」とは

ユ氏:正直に言えば、業界のインサイダーであれば、ほとんどのブランドがオイルやエキスをどこの農場から仕入れているのか、直接アクセスすることはほぼないことを知っているはずである。通常は、原材料サプライヤーやディストリビューターがあいだに入り、我々の代わりに材料を調達してくれる。ただし、彼らは情報源にたどり着くまでのさらなるフィルターでもある。だからこそ、我々がマダガスカルから仕入れていたタマヌオイルが、原材料サプライヤーからの明確な説明もないまま突然供給停止となったとき、それは我々にとって「気づき」の瞬間だった。それは大きなビジネス上の問題だった。なぜなら、グレート・バリア・リリーフには10%のタマヌオイルが含まれており、この製品は我々の主力アイテムのひとつであるため、継続的に製造しなければならないが、原料の供給元が途絶えてしまった。そこで我々は自分たちの手で解決することにし、「ウィメンズ・アース・アライアンス(Women’s Earth Alliance)」という非営利団体と提携し、最も責任ある方法でタマヌオイルを栽培・収穫してくれる理想的なコミュニティを探すことになった。

調達ストーリーを消費者に伝えるには

ユ氏:YouTubeにかなり頼った。私がその地域とコミュニティを訪問した際に撮影したブイログ(Vlog)をまるごと公開した。とても素晴らしい体験だった。女性たちは自分たちの日常や活動を案内することにとても誇りを持っていて、我々は実際にタマヌの木が植えられている森の中を一緒に歩き回った。そこには本当に美しい生物多様性があった。タマヌの木だけが一面に広がっている単一作物の農地ではなく、ショウガ、キャッサバ、そのほかさまざまな木々や作物が共存していた。この風景を自分の目で見ると、オーディエンスにもこの話をできる限り伝えたいと強く思う。なぜなら、米国における「農場」のイメージといえば、延々と続くトウモロコシ畑のような風景が一般的だからである。一方で、地球の裏側にはこうした生物多様性が実際に存在している。そのことを視覚的に伝えるには、ソーシャルメディアほど効果的な手段はない。だから私は、YouTube動画、インスタグラム動画、TikTok動画など、あらゆる手段を使って、彼女たちの活動や、私が彼女たちから受け取った感情的なメッセージをできる限り鮮明に表現しようと努めた。[原文:K-beauty darling Krave Beauty’s Liah Yoo on building an ethical supply chain amid tariff pressure, plus industry news]Lexy Lebsack(翻訳・編集:坂本凪沙)