Mrs. GREEN APPLE、お茶の間にもハマる唯一のバンド? バラエティ番組でも発揮される存在感
現在の日本の音楽シーンにおいて名実ともに一線級と言えるバンド、Mrs. GREEN APPLE。そんな彼らの魅力は音楽面だけにとどまらず、バラエティ番組への出演時にも発揮されるようになってきた。
(関連:【動画あり】『突然ですが占ってもいいですか?』にも出演した大森元貴)
それにしてもなぜ、Mrs. GREEN APPLEはバラエティ番組でも強い印象を残すことができているのか。筆者はその大きな理由として、彼らの良い意味でのノリの軽さを挙げたい。
Mrs. GREEN APPLEは2015年のメジャーデビュー以降、テレビ番組に出演する機会が徐々に増加。しかし、2020年7月8日に「フェーズ1完結」として、活動休止を発表。そして、2022年3月に「フェーズ2」がスタートした。
フロントマンの大森元貴(Vo/Gt)は先日5月4日に放送されたバラエティ番組『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)で、「フェーズ1」時はテレビ出演に対して苦手意識があったと明かしていた。だが、休止中、各メンバーが“鍛錬”を積み、大森自身も「自分の中でGOサインが出た感覚っていうのが、本当に分かるんですよ」と、テレビ出演などメディア露出に対する考え方が前向きになったことを口にしていた。
そういった気持ちの変化が功を奏したのか、Mrs. GREEN APPLEはバラエティ番組で実に軽快な身のこなしを見せている。
■「やべっち寿司」でのナインティナインとの絡み
特に筆者の記憶に残っているのが、2024年1月放送の音楽特番『2024 FNS歌謡祭』のワンコーナー「やべっち寿司」でのナインティナインとの共演だ。同コーナーはもともとバラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』(ともにフジテレビ系)の人気企画で、ナインティナインの矢部浩之が寿司屋の大将、岡村隆史が常連客に扮し、さまざまなゲストを迎えて寿司をつまみながら本音トークなどを繰り広げるというもの。
そこに登場したMrs. GREEN APPLEは、ナインティナインと抜群に噛み合ったやり取りを展開した。JAM’S(Mrs. GREEN APPLEのファンの呼称)を自称する岡村が「Mrs. GREEN APPLEのことなら何でも知っている」とし、まず大森の好きなフルーツが何なのかを当てることにチャレンジ。もちろん、本当にJAM’Sであるかどうか怪しい岡村の挙動は不審そのもの。単独で答えることを嫌がり、大森と一緒に「いっせーの」で答えを口にする流れに。そして大森の口調に合わせて「みかん」と答えていた。
コーナーが進んでいき、JAM’Sではないことがバレバレになった岡村だったが、大森はそこでツッコミを入れなかった。逆に「セーフ!」と言って岡村とハイタッチするなどし、場を盛り上げた。そうやって“マジ”にならず、あえて軽いノリで岡村を受け入れるところがいかにもバラエティ向きのテンションだと感じられたのだ。また藤澤涼架(Key)にいたっては、そういう展開であることを察したのか、自身の嫌いな食べもの「しょうが」を当ててもらおうと、岡村の出方も窺って呼吸を合わせるように答えを発表。意識的か無意識的かは別として、いわゆる「バラエティのノリが分かっている」という流れを作っていたところが、実に見事だった。
さらに同企画では、ファンの間でも浸透している若井滉斗(Gt)の名前イジりがとてもおもしろく目立った。「若井」を「岩井」と間違えられやすい若井。スタッフが用意するカンペにも「若井」ではなく「岩井」と明記されていたことから、若井は「岩井やないか!」と関西弁で“ベタツッコミ”。バラエティ番組のノリとしては完壁で、百戦錬磨の矢部も「これ、めっちゃおもろなった」と合格点を出したほど。番組を見ていた筆者も、Mrs. GREEN APPLEのバラエティ力の高さに驚きを覚えた。
■トークスキルの大森元貴、名前イジりの若井滉斗、天然の藤澤涼架
若井の名前イジりは、番組出演時のエピソードトークや、俗に言う“くだり”として間違いなくウケるものとなっている。2024年2月放送『ニノさんとあそぼ』(日本テレビ系)で二宮和也らと東京ディズニーリゾートでロケを行った際も、「岩井」とイジられるたびに「若井ね!」とツッコミ。そのツッコミの間合いや反応がこれまたおもしろく、何度見ても飽きなかった。
さらに若井は、アトラクションがよほど楽しかったのか、感想がカタコトに。そこで共演者である陣内智則から「日本好き?」と尋ねられ、「ニホン、スキ」と対応。陣内の投げかけた「日本好き?」は、「アトラクションの感想」という本筋とは異なる角度の質問だ。それにもかかわらず陣内のフリの意図を読み取り、短いセンテンスと伝わりやすいボケを繰り出したところに、若井のセンスが光った。
一方、高いトークスキルでバラエティ番組に溶け込んでいるのが大森だ。先述の『突然ですが占ってもいいですか?』では、占い師から大森は音楽のこだわりについて「息をするようにやっている」と褒められ、共演していた中条あやみに「息をするようにミセスなんですね」と振られると、「僕が息していればミセスですから」と言って笑わせた。この返事には、大森のノリの軽さとニュアンス的なおもしろさがしっかり詰まっていると思う。
ほかにも「何年も歌い継がれる曲を作っている意識があるのではないか」と占い師から言われ、中条が「分かる」と同意すると、大森が「分かる? 一緒にやってたっけ、音楽」と冗談で返したところは、一つひとつの話題を聞き流さずにちゃんと受け止めた上で、ボケたり、ツッコミを入れたりする“芸人的感覚”に近いものを感じた。
藤澤はちょっと天然っぽいところに愛おしさを覚える。今年3月放送『秘密のケンミンSHOW 極 もうすぐ春!ディスカバ大満開SP』(読売テレビ/日本テレビ系)では、単独での番組出演について「おうちから連れ出してくださってありがとうございます」とコメント。ちなみに大森、若井がよく個人でテレビ出演していることに関しても「僕はおうちでいつも応援している」と発言。この「おうち」という言い方がいかにも藤澤の人柄を表しており、大森、若井とは異なるバラエティ的なポテンシャルが伝わってきた。
今、アーティストたちの自己ブランディングは多様になってきている。あえてメディア露出をしなかったり、素性を隠したりする“見せ方”が増えている印象だ。そんななか、バラエティ番組に積極的に出演してそれぞれのキャラクターを見せるMrs. GREEN APPLEは、今の時代においては珍しいタイプなのかもしれない。しかし、そうやって裏表なく楽しそうにバラエティ番組に臨んでいる姿があるからこそ、人気がどれだけ上がっても、親近感を持って応援できる理由になっているのかもしれない。
(文=田辺ユウキ)
