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FFセダン・ベースで「高級」路線

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

2022年12月、トヨタ・ハリアーは初代が誕生してから25周年を迎えた。

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ハリアーの系譜に関しては後述するが、いまやトヨタのミドルクラスSUVというだけでなく、「乗用車ベースのラグジュアリー・クロスオーバーSUV」というジャンルのパイオニア的モデルとして君臨し続けている。


初代ハリアー。顔だけライオンの二枚目が登場するCM、鮮烈に覚えている方も多いはず。    トヨタ

それまでのクロスカントリー4WDのような本格的なアウトドア用モデルではなく、乗用車(とくにFFセダン)のプラットフォームをベースにクロスオーバーSUVを作る、という手法は日本では1994年に発表されたトヨタRAV4が先駆的モデルだろう。それにホンダCR-Vなどが続いた。

だが、ハリアーがそうしたクロスオーバーSUVと違っていたのは、「都会が似合うクロスオーバーSUV」として、アウトドアはもちろん都会の街中やホテルのエントランスなどでも映えるオシャレなスタイリングと高級感、そしてV6エンジンによる余裕の走りなどをセールスポイントにしたことだった。

ご存じのようにハリアーは日本仕様の名称で、海外では当時レクサスRXとして販売され、レクサスならではのプレミアム・ブランドらしい高級クロスオーバーSUVとして人気を博した。

ハリアーとほぼ同時期にメルセデス・ベンツはMクラスを、やや遅れてBMWはX5を、ポルシェはカイエンを登場させるなど、プレミアム・ブランドも続々とクロスオーバーSUVを世に送り出す。

つまり、ハリアーの歴史は、まさに高級クロスオーバーSUVの歴史そのものと言えるのかもしれない。

頭がライオンの紳士 覚えてる?

1997年、初代のハリアーは6代目カムリのプラットフォームをベースに生まれた。

エンジンは3L V6と2.2L直4が搭載され、トランスミッションは4速AT。駆動方式はFFと4WDが選べた。


2代目ハリアー。クーペSUV的な姿は現在のトレンドを先取りしていたか。    トヨタ

都会的なアカ抜けたスタイリングに「ワイルド but フォーマル」というキャッチコピー、そして“ライオンの頭を持つ紳士”がキャラクターというユニークなCMも話題を呼び、一躍人気モデルとなった。

2003年にフルモデルチェンジされた2代目は、初代のイメージを進化させながらリアウインドウを寝かせた、いまでいう「クーペSUV」的なフォルムを採用。

SUVというと実用的な、いわゆる箱型的なスタイルになりがちだが、ハリアーはSUVであってもスタイリッシュなモデルを目指したのだった。パワートレインにはV6とモーターを組み合わせた、ハイブリッドも追加された。

なお、ハリアーは初代と2代目はレクサスブランドの「RX」として輸出され、3代目からは日本仕様もレクサスRXとなって、ハリアーは一時消滅する。

3代目のキーは日本専用モデル化

だが、2013年にレクサスRXとは別の国内専用車種としてハリアーが復活した。

国内専用としたことで、サイズを従来型のレクサスRXよりダウンサイズして取り回しを良くし、しかもフロントは長く、リアは短い独特のプロポーションがダイナミックな動きを表現した。もちろん、クーペSUV的なスタイルは踏襲されている。


HARRIERとはタカ科の「チョウヒ」という鳥の英名であり、画像の3代目まではこれをシンボライズしたエンブレムを採用。モデル末期でも販売ランキング上位に食い込んでいたのが記憶に新しい。    トヨタ

木目調パネルや静電式スイッチを採用したインテリアは、安全&快適装備も充実し、高級クロスオーバーSUVとしての地位を確立した。なお、パワーウインドウの「巻き込み防止機能」は、3代目ハリアーが世界で初めて採用したものだ。

2020年にフルモデルチェンジされた4代目(現行型)は、インテリアには鞍をイメージしたセンターコンソールや調光パノラマルーフなども採用し、より上質な空間を生み出している。

2022年9月にはプラグインハイブリッド車も設定。カーボンニュートラルな時代に向け、ハリアーは進化を続ける。

4代目は、そのスタイリッシュな外観や高級感のあるインテリア、快適な走りと静粛性などにより評価が高い。

とはいえ、このクラスのクロスオーバーSUVを購入しようとする層には、アウトドアでのレジャーを楽しむために「荷物をしっかり積みたい」とか、実用的なスタイルを好む人もいるはず。

そこでトヨタは、同じプラットフォームやパワートレインを採用したRAV4もラインナップしている。このあたりは、トヨタの商売上手さがうかがえる。

レクサスじゃない人 ミニバン卒業の人

また、“高級”クロスオーバーSUVといえば、レクサスと競合しそうだ。レクサスではRXの弟分、「NX」がじつは「ハリアー」「RAV4」と基本的に同じプラットフォームを採用している。

だが、この3モデルはパワートレインのスペック・装備などが微妙に違い、それゆえ価格も異なる。


4代目となる現行型ハリアー。志向が異なる顧客には同じプラットフォームのRAV4、新型レクサスNXで囲えるのがトヨタ・グループのSUV戦略の強み。    池之平昌信

そうなると、予算や好きなデザイン、そして使い方で選ぶことになるが、「レクサス」ではなく「トヨタ」で買える高級クロスオーバーSUVというのはハリアーのセールスポイントの1つ。世の中には案外、“アンチ レクサス派”も少なからずいるのだ。

さらに、アルファード/ヴェルファイアといったLクラス・ミニバンからハリアーに乗り換える人もいる。これは、子育てが落ち着いて多人数乗車の機会は減ったものの、家族でアウトドアを楽しみたいという人が、アルヴェルのような存在感のあるスタイリングのSUVを求めて、ハリアーという選択肢にたどり着いているようだ。

レッドカーペットに横付けできるような高級SUV。こうして見ると、トヨタの巧みな市場分析とSUVブームの後押しが25年間の成功を導いているように思える。

もっとも、これはハリアーだけの話ではないが、相変わらず新車を購入しようとすると納車までの時間はかかる。

ハリアーでは、ガソリン車は約1年、ハイブリッド車は約1年3か月、PHEVは約1年半以上(!)も待つことになるという。購入を検討している人は、まずはディーラーに相談してみることだ。