吉田麻也は試合後にうつむき加減に歩いていた 写真・JMPA

 11月27日、「FIFAワールドカップ カタール2022」のグループリーグ第2戦で、日本代表はコスタリカに0対1で敗れた。

 W杯優勝4回の強豪国・ドイツとの初戦を2対1で逆転勝利した日本代表にとっては、勝てばグループリーグ突破の可能性もある一戦だった。

 日本代表の森保一監督(54)はスタメンを5人変更して挑んだが、前半は互いに決め手がない膠着状態に。

 後半に入って、森保監督はFWの浅野拓磨(28)、MFの三笘薫(25)ら攻撃的な選手を投入。しかし、36分に日本代表のキャプテンでDFの吉田麻也(34)のクリアミスから、コスタリカDFのケイセル・フレールにシュートを決められ、これが決勝点になった。

 失点シーンで吉田は、足先でちょこんと蹴り出す中途半端なクリアを見せたが、試合後に「(味方にボールを)つなげると思った」と話していた。

 この敗戦によって、日本代表はグループリーグ突破の強い期待から一転、突破が危機的状況に。そのため、吉田のミスには、サッカー界を含めて大きな批判が起きている。

 しかし、長年、日本代表のサッカーを見てきたベテラン記者にとっては、この吉田の “やらかし” はさほど驚くようなものではなかったという。

「もともとボランチをやっていただけに、足元の技術もあるし、フィードもうまい。身長も189cmと、これまでの代表レギュラー陣では最長クラスで、ヘディングも強い。ただ、瞬発力に難があり、ここ最近は裏をとられたときのスピードや反応の衰えが、顕著だったんです」

 大会前から指摘されていた吉田の衰え。コスタリカ戦で124試合めの代表戦出場となったベテランとはいえ、年齢には抗えない。ただ、このベテラン記者の “思い当たる節” はこれだけではなかったという。

「昔から吉田にポカが多いのは有名です。本当に最初のころ、2011年のアジアカップ準々決勝のカタール戦では、同点で迎えた後半の勝負どころで、無理にボールを奪いに行って、2枚めのイエローカードをもらい、退場になりました。

 そのファールで相手が得たフリーキックを直接決められ、勝ち越されたんです。その後、奇跡的に日本が逆転したので “戦犯” にはならずに済みましたが、あの “やらかし” にも相当な反響がありました。

 2022年6月、キリンカップのチュニジア戦でも、吉田が相手を倒したことによるPKで1点めを献上し、2点めも吉田とゴールキーパーがボールをお見合いしたところ、相手に奪われシュートを決められた。最後に、吉田が相手陣地までボールを奪いに行ったところを簡単にかわされ、3点めを献上して完全に “戦犯” に。この3失点だけで敗れました。

 このころから吉田は “お役御免” にして、冨安健洋と板倉滉の若手2人にセンターバックを任せたほうがいい、という意見が多かったんです。しかし、冨安がケガ明けで、ドイツ戦でさらに負傷してしまったのが運が悪いところです」

 ちなみに、2011年アジアカップのミスのあと、吉田が当時、頻繁に更新していたブログで「みんなに救われました」と綴ると、コメントが殺到する騒動もあった。その際は意外にも激励の声が多かったというが……。

 そこから、吉田は日本代表のキャプテンまで登りつめた。今回のミスの反省点を生かし、スペイン戦に臨んでもらいたい。