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盗難FD 中古車販売店で発見

AUTOCAR JAPANにて2022年5月4日に報じた、「盗まれてトラックの中から発見されたマツダRX-7(FD)」の事件。

【画像】増える旧車盗【盗難車発見時の状況や見つかった「バラバラFD」】 全53枚

被害者や土地管理者、一緒に探した仲間、そして警察関係者など大勢が固唾をのんで見守るなか、パネルトラックのリアゲートが開き、中から盗まれたFDが現れるシーンは衝撃だった。


被害者AさんのRX-7(FD)は、茨城県内の中古車販売店に止められたトラックの中で見つかった。画像は返還されたAさんのFD。

ちなみにこのトラックは後ろのナンバープレートがなかった。

他のナンバー(おそらく盗んだか偽造か)を付けて運んできたが、その後ナンバーを外した可能性もある。

トラックは茨城県境町にある中古車販売会社ライオントレーディングの敷地内で発見されているが、同社がFD盗難に関係あるかは今のところ警察により明らかにされていない。

ちなみに同社から編集部あてに8月、「誹謗中傷」という題名で「名誉を傷つけられたので、記事削除を求める」という内容のメールが届いている。

また、FD(シルバー)がトラックの中から発見された日と同じタイミングでやはり同社の敷地内にある納屋? のような場所からは、バラバラになった別のFD(白)も発見されている。

どこかでバラしてこの場所に運ばれてきた、というよりはおそらくシルバーのFDと同様に完成車の状態で運ばれて、この場所でバラされたのだろう。

捜索に関わった関係者いわく、「車台番号の部分が焼かれているなど、明らかに証拠隠滅をはかった形跡がありますね。つまり完全なる盗難です」

「この白いFDが盗まれたのは2022年4月29日13時から4月30日13時の間でシルバーのFDは2022年5月1日の21時頃に最初の移動通知がありました」

「つまり、白いFDは盗まれてすぐこの場所に持ち込まれ、解体されたと考えられます。発見されたときは解体した直後だったのではないでしょうか?」

「オークションに出すなどして国内で販売する予定だったのかもしれませんが、トラックの中からシルバーのFDが発見され、白いFDも一緒に警察に押収されることになりました」

日本人のほうが逮捕しやすい?

この事件に関してはその後、窃盗容疑で2名の日本人KとYが逮捕されている。

8月に被害者Aさんのところに検察から「YとKに対する窃盗事件で地裁に公判請求をおこなった」旨の通知があったという。


AさんのFDが発見されたときの様子。

関係者によると、「埼玉県川口市で発生した別の自動車盗事件で逮捕されたことからFD盗難の件も発覚しました。川口で盗んだ際に使った工具から検出された成分と、破壊されたFDの一部から検出された成分が一致したことが決め手となりました」とのこと。

警察も逮捕に向けてちゃんと捜査はしているようだ。

なお、ネットで検索すると、逮捕されたKとYとみられる人物については、覚せい剤をはじめ過去の犯罪がいろいろと出てくる。

犯罪歴があれば逮捕も早いのだろうか。旧車を盗むのは外国人窃盗団というイメージが強いかもしれないが、最近では日本人が窃盗容疑で逮捕されるケースが増えている。

外国人グループでも、必ず中に1人は日本人が関わっており、暴力団関係者が旧車盗難の実行役として関わることも多い。

自動車盗難全体での検挙率は盗難が多くヤード条例を施行している千葉、茨城、埼玉、愛知などでは、20-30%台と全体的に低い。

さらにこれが旧車盗難となると検挙率はもっと下がる。

盗まれるとすぐにバラされて販売され(もちろん、足がつかないようエンジン番号、車台番号などを完全に消す)てしまうからだ。

来日外国人が犯人だとするとある程度まとまった盗みを終えると国へ帰ってしまう。

販売された先が海外の場合はなおさら、警察はそれ以上後追いすることはない。

犯人は逮捕 被害者の思いは?

話を最初のFDに戻そう。

大切なFDを盗まれて、発見されて、損傷したまま戻ってきた被害者のAさんに話を聞いた。AさんのFDは現在もまだ修理中。


AさんのFDが発見された中古車販売店の付近では、解体された別のFDも見つかった。

――逮捕されたという情報はどうやって届くのですか?

「捜査を担当していた刑事さんから、『朗報があります。逮捕しました』と電話で伝えられました。その後しばらくし検察から起訴が確定したという連絡を受け取りました」

――何が決め手となって逮捕されたのでしょう?

「川口の方で別の窃盗をやって、それですでに逮捕・拘留されていたそうです。調べている間にわたしのクルマの盗難、窃盗の件が上がってきたということですね」

「決め手の1つになったのが、犯人が自宅かどこかに持っていた『破壊に使った工具』から出てきた切片の成分とわたしのFDのキーシリンダーの成分が一致したことです」

――FDは今、どうなっていますか?

「今はショップに預けている状態です。修理としては盗難でやられた部分と、車検も近かったので個人的にお願いしていた修理の両方で預けています。今はクルマがないので電車かカーシェアリングなどを利用しています」

――逮捕されると思っていましたか?

「捕まるとは思っていませんでした。実行犯が捕まったのはありがたいことですが、ここから先をちゃんと追ってもらわないと……」

「最後、行きつくところまでしっかりと警察には頑張ってもらいたいですね」

増える旧車盗難 防犯対策は?

自動車盗難情報局に登録された旧車の盗難報告を見ていると、ほとんどが「盗難対策:なし(施錠のみ)」となっている。

盗む方が悪いのは当然だが、これだけ旧車の盗難が多く発生しているのだから、オーナーはもう少し盗難されない方法を考えるべきだろう(最近、防犯対策として効果を上げているGPSやアップル社エアタグ(忘れ物防止タグ)などは装着していても、あえて明記しない場合も少なくないが)。


返還されたAさんのFDは現在も修理中という。

また、それ1つでは数分で破壊されてしまうタイヤロックやハンドルロック、燃料カットなども3〜4個以上つけておくと効果が期待できる場合もある。

破壊、切断などに時間がかかるような場合は、窃盗団もあきらめることが多いからだ。

ただし、腹いせと証拠隠滅のために消火剤をまかれたりするケースも発生しているのでご注意を。

旧車の防犯対策としては、やはり個別のカーセキュリティ+後付けの移動検知式GPSやアップル社のエアタグなど位置を検知できるデバイス、この組み合わせが現在のところ最強ではないかと思う。

旧車窃盗犯は非常に綿密な下調べをしてオーナーの行動パターンや逃走経路の防犯カメラなども把握したうえで盗みにおよぶ。

精度の高い高級カーセキュリティを付けていても、調子が悪いので電源を切っていた、誤報が多いので近所迷惑になるから切っていた、しばらくクルマに乗らないうちにバッテリー保護のため電源がオフになっていた……などせっかくのセキュリティがいざというときに働かずに盗まれた例も少なくない。

なお、いままさに台風シーズンだが、強風、豪雨のシーズンは窃盗犯にとって(アラームが作動しても周囲に聞こえにくい)好都合なのでオーナーは十分注意してほしい。

今年6月半ば以降、約3か月にわたって神奈川県内で旧車盗難が急増した。

横浜市内での盗難も多く、車種としてはR32/R33スカイラインGT-Rや80スープラ、RX-7(FD3S)が大半を占めている。

それまでは1年に5台程度だった神奈川県内の旧車盗難が3か月で15台(自動車盗難情報局やSNS上で拡散された盗難)にもなったことで、いったい何が起こっているのかと取材を進めていたところ、9月12日に90年代国産スポーツカー20台を盗んだ容疑で暴力団関係者など2名が逮捕された。

これで神奈川の盗難も激減するだろうと思っていたが、実は逮捕されて10日もたたないうちにSNS上で拡散されただけでも、R32スカイラインなど3台が盗まれている(その後、解体ヤードの多い茨城県内で発見されたケースもある)。

神奈川県の旧車オーナーはまだまだ警戒を強めた方がよさそうだ。