知らぬ間に損してる?ガソリンに発生する二重課税の仕組み!問題点や減税の可能性を解説
ガソリンは二重課税されている?
ガソリンの価格には複数の税金が含まれており、購入時には消費税も課税されます。税金を含めた価格全体に消費税が課されることから、ガソリンは二重課税されているのではないか、と考える方は少なくありません。
また、ガソリン価格に含まれる税金が高いと感じているドライバーは多く、税制の見直しを求める声も頻繁に聞かれます。一般ドライバーにとって、ガソリン代は生活を左右するコストです。そのコストに含まれる税金が高いとなれば、不満を持つのも無理はないでしょう。
実際問題として、ガソリン価格に占める税金の割合は小さくありませんし、ガソリンに課される税率が高めであることも事実です。ガソリンに課される税金や、二重課税の問題について知っておくことは、カーライフを送るうえで重要だといえます。
ガソリンにかかる税金の種類とは?
ガソリンに課税される消費税以外の税金には、「揮発油税」「地方揮発油税」「石油石炭税」の3つがあります。二重課税や税制の問題を理解するために、各種の税金について順番に詳しく見ていきましょう。
■揮発油税
揮発油税とは、ガソリンの製造者および輸入者に対して課される税金です。ガソリンの取引量に応じて課される個別消費税であり、2022年5月現在の税率は1kL(キロリットル)あたり48,600円(48.6円/L)となっています。
なお、上記の税率は本則税率(本来の税率)ではありません。本則税率はガソリン1kLあたり24,300円(24.3円/L)であるものの、「当分の間税率」により、現行の税率は本則の2倍となっています。
・当分の間税率とは?
当分の間税率とは、「租税特別措置法」に基づき定められた、本則税率に上乗せ税率を加える特例措置です。1974年(昭和49年)に設けられた「暫定税率」を引き継ぐものであり、有効期限は定められていません。
暫定税率とは、石油消費の抑制や財源確保などを目的とする特例措置です。第一次オイルショックを機に考案され、当初は2年間の時限措置として導入されたものの、期限を迎えるたびに延長が繰り返されました。同制度は2010年(平成22年)に廃止されたものの、その際にほぼ同内容の当分の間税率が導入されて現在に至っています。
・揮発油税の使いみち
揮発油税は一般財源(用途を問わない財源)として、1949年(昭和24年)に導入された税金です。施行から4年後の1953年(昭和28年)には、「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」に基づき目的税(道路特定財源)に変更されました。2008年(平成20年)の閣議決定を経て、2009年度からは一般財源に戻っています。
■地方揮発油税
地方揮発油税とは、地方自治体に財源を譲与するために設けられた税金です。地方譲与税の1つであり、揮発油税と同様に、ガソリンの製造者および輸入者を納税義務者としています。
現在の地方揮発油税の税率は、ガソリン1kLあたり5,200円(5.2円/L)です。この税率は当分の間税率が適用されたものであり、本則税率は4,400円(4.4円/L)となっています。なお、揮発油税と地方揮発油税を総称して「ガソリン税」と呼ぶ場合があります。
■石油石炭税
石油石炭税とは、石油の開発や備蓄、新エネルギー対策、地球温暖化対策などの財源に当てられる税金です。ガソリン税とは使いみちが異なる税金であり、石油製品や液化天然ガス、石炭などの採集者および輸入者を納税義務者としています。
石油石炭税の税率は課税物件により異なり、ガソリンの場合は1kLあたり2,800円(2.8円/L)となっています。この税率は「地球温暖化対策のための税」による課税760円が上乗せされたものであり、本則税率ではありません(本則税率は2,040円/kL)。
・地球温暖化対策のための税とは?
地球温暖化対策のための税とは、エネルギー利用で生じるCO2排出の抑制強化を目的とする税金制度です。租税特別措置法に基づき2012年(平成24年)に創設され、2016年(平成28年)までに3段階に分けて税率が引き上げられてきました。現在の税率は最終税率になります。
■ガソリン車の税負担は大きい
ここまでに見てきたように、ガソリンに課される各種税金には、租税特別措置法に基づく税率が上乗せされています。本則より高い税率が無期限で課せられ、かつ10%の消費税も課税されているのですから、多くのドライバーが税制に不満を持つのも無理はありません。
ちなみに、ディーゼル車の燃料である軽油には、揮発油税と地方揮発油税が課税されません。代わりに「軽油引取税」が課税されるものの、税率は1kLあたり32,100円(32.1円/L)とガソリン税より低めです。また、軽油引取税には消費税が課されません。軽油がガソリンより安いのは、税制で優遇されているためといえるでしょう。
ガソリン価格に占める税金の割合はどのぐらい?
資源エネルギー庁の発表によると、2022年5月23日現在のレギュラーガソリンの全国平均価格は約169円でした。この価格を元に、ガソリン価格に占める税金の割合を算出してみましょう。
まず、レギュラー価格169円の内訳は、本体価格が95.5円、ガソリン税と石油石炭税の合計が56.6円、消費税が16.9円となります。これを割合に直すと、約56.51%が本体価格となり、残りの約43.49%が税金になります。ガソリン価格の40%以上が税金と聞くと、まるで納税のために給油しているような気分になるかもしれません。
■年間にいくら払うかシミュレーション
ガソリン価格の約4割が税金であるなら、日常的にマイカーに乗るドライバーは、給油により毎年かなりの金額を納税していると考えられます。実燃費が17km/Lのレギュラー仕様車を例に、1年間に1万km走った場合の、年間ガソリン代に占める税額を試算してみましょう。
年間に入れるガソリンの量=約588L 年間のガソリン代=約99,372円(169円/Lで計算) 年間ガソリン代に占める税金=約43,217円ガソリン価格を169円/Lとした場合、給油によって年間に納税する額は43,217円にのぼります。排気量2Lの車の自動車税が36,000円(または39,500円)であることを考えると、給油により支払う税金は安くないといえるでしょう。
ガソリンが安くなる可能性はある?
前節までを読んで、「ガソリンの税金は高すぎる」「せめて二重課税はやめてほしい」と感じた方は多いことでしょう。こうしたガソリンの税金に対する問題意識を持つのは、一般ドライバーだけではありません。
JAFではかねてより、当分の間税率の廃止と二重課税の解消を政府に要望しており、2022年2月7日にも同件についての声明を改めて発表しています。では、こうした声に対して、政府はどのような見解を持っているのか。ガソリンの税金や価格が下がる可能性について見ていきましょう。
■二重課税に対する政府の見解
ガソリン税や石油石炭税に消費税がかかることについて、政府では二重課税にあたらないとの見解を示しています。各種税金はガソリン製造にかかるコストであり、そのコストを転嫁した販売価格への消費税の課税は違法ではない、というのが政府の見方です。
こうした見解に納得できるか否かは、個人の考え方により異なるでしょう。一般的な商品の価格にも、法人税や固定資産税などが転嫁されていることから、政府の見方も一理あるといえます。ただ、ガソリンの場合は課税額が大きいため、一般的な商品と同様には考えにくいかもしれません。
■ガソリン高騰に対する政府の取り組み
二重課税を否定している政府も、昨今のガソリン高騰には問題意識を持っています。具体的な対策を打つために「トリガー条項」発動が議論されているほか、「燃料油価格激変緩和対策」が実施されています。
・トリガー条項とは?
トリガー条項とは、レギュラーガソリンの価格高騰が続いた場合に、特例措置による上乗せ税率25.1円を免除する制度です。同制度は2010年に導入されたものの、2011年に施行された「震災特例法」により凍結されており、法改正して発動するか否かが議論されています。
2022年4月19日時点では、トリガー条項の凍結解除は見送られており、引き続き検討はされるものの先行きは不透明です。条項発動により年間の税収が1兆5,700億円ほど減ると試算されていることから、減収の補填策なしには凍結解除は難しいと考えられます。
・燃料油価格激変緩和対策とは?
燃料油価格激変緩和対策とは、ガソリンや軽油などの価格が一定額を超えた場合に、各種燃料の元売り会社に補助金を支給する制度です。期間限定で実施されている制度であり、2022年5月28日現在の、ガソリンへの支給ルールは次のようになっています。
レギュラーガソリンの全国平均価格が168円以上になった場合に発動 基準値(168円/L)超過分を対象に最大35円の補助金を支給 35円でまかなえない超過分は1/2を支援なお、燃料油価格激変緩和対策は、燃料価格の高騰を抑制する制度であり、ガソリン価格を値引きする制度ではありません。レギュラーガソリン価格が168円を超えにくくなる制度、ぐらいに捉えておくとよいでしょう。
■ガソリン税を下げるために個人ができることはある?
二重課税が是正される可能性は低く、ガソリン税やガソリン価格が大きく下がる見込みも今のところありません。ただ、これら問題に対して、一般ドライバーには何もできないと考えるのは間違いです。
政府に意見を寄せることは誰にでもできますし、インターネットで署名を集めることも可能です。これら活動で成果を得られるとはかぎりませんが、チャレンジする価値は高いといえるでしょう。
また、税制度を変えることは難しくても、ガソリン価格比較アプリの使用や低燃費走行などにより、ガソリン代を減らすことは可能です。消費者としてできることに取り組みつつ、ガソリン高騰の時期を乗り切りましょう。
