インフレから資産を守る! ピクテ日本オフィス開設40周年記念セミナーで徹底した分散投資の必要性を力説
そして、セミナーでは、現状を理解するために同社が注目している様々な経済指標等について過去の推移を紹介していった。たとえば、円の価値は、1971年8月15日の「ニクソンショック(ドルと金の兌換停止)」によって当時1ドル=360円という固定相場が終了し、1995年8月の1ドル=80円割れの水準へと円高が続いた。そして、この95年を円高のピークとして緩やかな円安の時代に入った。物価水準を考慮した実質的なドル円の水準は95年8月が1ドル=100円程度だったが、2021年8月には約250円程度の円安水準にまで下落している。
この間、日本の1人当たりGDPは95年には米国をも上回る4万4210ドルだったが、その後は概ね横ばいで、米国やシンガポール、香港などに次々に抜かれていった。2020年の日本の1人当たりGDPは4万146ドルであり、25年を経過してマイナス成長になっている。これは、日本人が相対的に貧しくなっていることを示している。また、1人当たり平均賃金を見ても日本が相対的に貧しくなっていることはわかる、米国は1990年の4万6975ドルから2020年には6万9392ドルになったが、日本は1990年の3万6879ドルが20年には3万8515ドルと微増にとどまっている。1990年当時には日本よりも平均賃金が低かった英国が3万2675ドルから4万7147ドル、韓国が2万1830ドルから4万1960ドルとなり、日本を追い抜いて行った。
一方、世界各国の通貨価値の下落は、金(ゴールド)に対する各国通貨の相対価値の推移をみると明らかだ。1900年を100とすると、独マルクが1920年早々にゼロの水準に下落した。次いで、仏フランが1929年の大恐慌前に20の水準に下落し、大恐慌を機に、米ドル、英ポンド、日本円が下落し、第二次世界大戦後には日本円と仏フランがゼロ水準に落ち込んでいる。その後、71年のニクソンショックを経て米ドルと英ポンドも価値を減じていく。結果的に2020年には、米ドルが1.16、英ポンドが0.31、日本円が0.01、仏フランが0.01、独マルクが0.00になった。金は、通貨として最も強かった米ドルに対しても120年間で86倍に値上がりしている。それほど各国の通貨の価値が下落した。これは、今回のコロナ・ショックで各国の中央銀行が「量的金融緩和」を実施して市場に大量の通貨を供給するなど、必要に応じて各国が通貨供給量を増量することによる結果だ。政府が通貨を発行し、その結果として通貨の価値が減価する傾向は、これからも続いていくだろう。
