テーパリングに向けて米金利高、円安傾向強まるか? 外為オンライン佐藤正和氏
最大の要因は、何といっても米長期金利の上昇があります。10年債利回りは一時1.565%台まで上昇し2カ月半ぶりの高水準をつけました。その影響もあって、ドル円相場は1ドル=112円の大台を1年7カ月ぶりにつけることになりました。
2020年2月に付けた112円23銭には届きませんでしたが、ドル円相場は112円08銭まで上昇。その後、金利はやや下落してドル円相場も112円を挟んで上下する形で推移しています(日本時間9月30日現在)。この円安傾向がいつまで続くかが問題になりますが、とりあえずは2018年12月に付けた113円台という円安の水準を意識することになると思います。
金利上昇の背景には、やはり米国の金利上昇をイメージさせる「テーパリング(資産購入縮小)」があります。10月は、「FRB(米連邦準備制度理事会)」の金融政策を決定する「FOMC(連邦公開市場委員会)」がなく、次回の11月2−3日に予定されているFOMCでテーパリングの実施がアナウンスされ、そのスケジュールが発表されると考えられています。現在の金利高は、そのテーパリング開始を先取りした動きとみられます。
――円安は今後も続くということでしょうか?
早ければ年内にもテーパリングが開始される可能性も出てきたいま、1ドル=112円台、113円台へと徐々に円安が進んでいくことが予想されます。問題は、どこまで円安が進むかですが、ここからさらにドルが買われて115円台まで円安が進むためには、テーパリングの実施に加えて、長期金利の「利上げ」が不可欠になるだろうと予想されます。
金融正常化への第一歩を踏み出したものの、急速に利上げまで突き進むとは考えにくいものがあります。実際、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「利上げに至るには2022年遅く、もしくは2023年の早い時期まで利上げを見込んでいない」と語っています。
そう簡単には、急速な円安が進むとは考えにくく、ここ数カ月のドル円相場がそうであったように、穏やかなスピードでドルが買われていく相場になると考えられます。
――10月の金融相場は、どんな動きになるのでしょうか?
ゆっくりとしたドル高円安が進むとはいえ、様々な経済指標によって相場が動くことは当然想定されます。たとえば10月8日の米雇用統計では、ある程度のサプライズがあれば為替相場も動くことになります。
実際に、9月に発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数で23万5000人の増加となり大きく予想を下回りました。10月8日に発表予定の9月の非農業部門雇用者数は50万人の増加と予想されていますが、予想を大きく下回るようなことがあれば、一時的な動きとはいえ相場が大きく動くかもしれません。
アメリカではこのところ新型コロナウイルスのデルタ株による新規感染者数が増え続けており、バイデン大統領も自身が3度目のワクチン接種、いわゆるブースター接種を受けたことがニュースになりました。新型コロナウイルスの影響はまだ根強く残っており、収束の域には達していない。つまり一直線でのドル高円安は、可能性が低いと言うことです。
