このコラムでは過去にも書いてきたが、僕はフィギュアオタクだ。ゴジラ、ウルトラ怪獣、そしてモビルスーツ。こういったものを欲して欲して止まらないのである。

で、主にバンダイがこうした立体物を発売してくれるんだけども、最近はいちいち売り場に出向くことは滅多にない。なぜなら転売ヤーに既に狩られてるってことが多いからだ。転売目的で、興味がない商品も買い占めて自分でメルカリなんかで売ってしまう人たちのことを、僕らオタクは転売ヤーと呼んでいる。

このようなひとたちは自分を「せどりで稼いでいるのだ」と言う。まあ転売でもせどりでもどっちでもいいんだけど、毎回このような人と店頭で鉢合わせするのも、割としんどい。だって、そもそもコンテンツに対しての知識がないから、店頭でスマホを眺めながら長時間地蔵になる。「もういっそ、俺に聞いてくれれば答えを教えてやるぞ」と思わないこともない。見ててじれったい。

こっちは蒐集欲を満たそうとして買い物に行き、あっちはお金のために商品を買い占める。お店にしてみればどちらも同じ客なんだろうけど、とにかく同じ空間にいるのがしんどい。だからAmazonでさっさと予約して自宅で受け取るようにしている。

こういうことはもう何年も前からオタクにとっては日常茶飯事なんだけど、ここ最近SNSを中心に、ガンプラのせどりに関する話が盛り上がっていた。今日はその話をしてみたいと思う。(文:松本ミゾレ)

せどり、転売は思った以上に既に世間に浸透しているのかも

先ごろTwitterをぼんやり眺めてると、やたらとガンプラオタクがせどりで小銭を稼いでいる人に対して立て続けに怒りを表明するツイートを投稿していた。

曰く「こんな奴らがいるから最新キットがプレ値になるんだよ」「ガンプラせどりという迷惑行為をYouTubeで解説している人がいて唖然」とか。僕としてはせどりだとか転売ヤーとかち合うのが時間の無駄と感じているので、予約をして手に入れるというスタンスだが、僕もまたああいった人たちのことを邪魔な存在だと思っている。多分、邪魔と思ってないオタクなんぞいないだろう。

でも、憎まれっ子は世にはばかるものだ。少し前にもマスクやトイレットペーパーが特需になって、多くの転売ヤーがこれらを買い占めて市場では一時期枯渇状態だった。そしてヤフオクやメルカリでは、高額で出品されて、それを買う人も出てしまった。あそこまで行くと明確に社会問題であるが、それだけ転売で稼ごうと能動的に動く人がいるのかと驚いたものである。

今の時代、一般の人がサイドビジネス感覚でせどり、転売をするのも珍しくないのかもしれない。そういう人たち、時間があっても金がないんだろう。

市場から消えても金型は破棄しないので再販がかかる

さて、話をガンプラに戻す。僕はガンプラに触れるようになって30年経つんだけど、その間に絶販になったキットなんて数えるほどしか思い浮かばない。旧HGのガンダム。BB戦士の斉胡、それから綺羅鋼シリーズ。パッと思いつくのはその程度。

あとはプレミアムバンダイというレーベルで短期間に完全受注生産によって提供されるキット。イベントで限定販売される、一般版と色だの武装だのが違うだけの、リデコ品。大体そのぐらいか。

一般の市場に出回るキットについては、基本的に何年かに一度の割合で再販されるというのが、ガンプラの特徴なのだ。一時的に市場から消えても金型は破棄していないので、いずれ出るのである。

もっとも、品数が多いので一度の再販ラッシュで目的のキットが再販されるかどうかは運任せなんだけども、発売したての新製品なんて全国津々浦々どこにでも置かれる。それらすべてを転売する人たちが買い占めてしまうってのは物理的に不可能だ。

せいぜい「自分の住む地域になかったので、悔しいけど転売屋から買うか」と思う人がでるかどうかである。つまり、こんなの全然もうからないでしょ、ということを僕は言いたいのだ。

言ってみりゃ趣味の範疇である。そんな趣味レベルの小銭稼ぎにあくせく右往左往するぐらいなら、キットの一つでも買って組むか、ガンプラの歴史を調べて再販が基本であることを学ぶかすればいいのに。

まあ、あの手の人たちはせどりや転売をビジネスとかっこつけて言う傾向があるみたいなので(その割には店頭にやってきてスマホをいじりながら物色する様子は小汚い)、僕なんぞの言葉なんて相手にしないだろうが。そもそもせどりや転売をしてる人たち、収入は税務署に毎年申告してんだろうか(笑)。