AWSジャパンのMaaSは「使い慣れたシステム」で実現! モビリティサービス戦略に迫る
●AWSジャパンによるMaaSへの取り組み
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は8月19日、MaaS分野の最新動向に関する記者説明会をオンラインにて開催し、
小田急電鉄およびヴァル研究所が開発したMaaSアプリ「Emot」(エモット)のクラウド活用事例を紹介しました。
MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字を取ったものです。
電車やバス、タクシーといった複数の交通機関や移動サービスを組み合わせ、
・検索
・予約
・決済
これらを一括で行うサービスを指したものです。
MaaSの概念やサービスは2014年頃にフィンランドで提唱されたのが始まりとされており、比較的新しいサービスの考え方です。
例えば、自宅から病院まで行く場合、バスや電車に加え、タクシーなども利用することがあります。
これまでであれば、それぞれの交通手段ごとに待ち時間を調べ、料金も個別に支払っていました。
しかしMaaSでは、スマートフォン向けアプリなどを用いて一括で検索を行い、全ての交通手段を一括で予約し、決済を行うことができます。
MaaSは効率的な移動サービスの在り方として注目されている
MaaSを実現するには、各企業同士の連携や協力が不可欠です。
それは移動サービスを行っている企業だけではなく、スマートフォン向けアプリを開発する企業や、さらにそのアプリのバックグラウンドで動作するクラウドシステムを提供する企業なども含まれます。
AWSジャパンは、そういったクラウドシステムを開発する企業であり、世界で数万、日本では670社以上ものパートナー企業にクラウドシステムとそのサービスを提供しています。
AWSジャパン 執行役員 技術統括本部長 岡嵜禎氏
●MaaSとクラウドシステム
AWSジャパンは、同社のクラウドシステム(AWS)がMaaSの推進を支援できる理由として、
・エマージングビジネスを支える特性
・異業種連携を支える特性
この2つを挙げています。
エマージングビジネスを支える特性とは、
・クラウドシステムをAWSに任せることで事業のコア領域に集中できる
・使った分だけの料金で済むオンデマンドリソースでアイデアを実現しやすい
・高い拡張性によってアクリケーションの作り自体もスケーラブルにしやすい
こういったメリットを指します。
さらに異業種連携を支える特性では、
・権限管理、暗号化などの機能によるセキュアなデータ連携
・グローバルフットプリントの広さによる横展開の容易さ
・豊富な技術情報による学習コストの最小化
こういった安全性や導入のしやすさを強くアピールしています。
AWSは2006年よりサービスを行っており、その長年のノウハウと実績、そして事業規模が最大の武器だ
MaaSの実現には、
・エッジコンピューティング
・デバイスゲートウェイ
・ストリーム処理
・データレイク(データベース)
・機械学習
・モバイルアプリ開発
こういった、さまざまな技術や要素が必要となります。
AWSジャパンはこれらの要素に対するコア技術の多くを提供可能としており、例えばエッジコンピューティングでは「AWS IoT Greengrass」を、機械学習では「Amazon SageMaker」といったサービスを提供しています。
●実現に必要なのは「使い慣れたシステム」であること
今回紹介されたMaaSアプリ「Emot」を開発したヴァル研究所は、AWSを採用した理由について、
・ビジネスとしての速度を重視
・今後の仕様変更へ柔軟に対応できる
・サービススケールに合わせて容易にスケーリングできるプラットフォーム
こういったメリットを挙げ、さらに最も重要な点として、
「我々がもっとも使い慣れたクラウドシステムだから」
このように語っています。
ヴァル研究所 執行役員CTO 見川孝太氏
使い慣れたシステムである、という点は非常に大きなポイントです。
AWSジャパンもプレゼンで語っていたように、新たな知識の覚え直しや技術の習熟が不要であることは学習コストの低減につながる上、アプリの開発速度や完成度に直結します。
実際、Emotの開発では同社の代表的アプリ「駅すぱあと」の開発で培った経路検索システムやそのノウハウが活かされており、「作り慣れている」ことの重要性が実感できます。
駅すぱあとで培った経験と実績があればこそ、Emotは生まれた
駅すぱあとでもおなじみの経路検索機能。MaaSアプリらしく鉄道以外にバスの運行情報も検索される
MaaSでは交通サービスだけではなく、地域の観光サービスとの連携も期待されている
●MaaS普及へ積極性を見せるAWSジャパン
日本におけるMaaSの取り組みは、まだ途上であり、観光地や一部の郊外エリアで実証実験が散発的に行われている段階です。
そういった中で、今回の小田急電鉄とヴァル研究所によるEmotの開発やMaaSへの取り組みは、利用者の規模的にもかなり大規模なものであり、東京都と神奈川県をつなぐ重要路線でのMaaS導入事例として大きな注目を集めています。
大規模なMaaSになるほどリスクも大きくなるため、ここでも「使い慣れている」ことの重要性が増します。
AWSジャパンはMaaS事業への取り組みについて、
「これまでもコネクティッドカーなどで(クラウドシステムを)提供してきた。
MaaSはさまざまなターゲットの1つとして、よりよいサービスの提供を積極的に考えていく」
このように語り、AWSのフレキシブルな運用の容易さや大規模サービスへの積極的な展開をアピールしていました。
執筆 秋吉 健
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は8月19日、MaaS分野の最新動向に関する記者説明会をオンラインにて開催し、
小田急電鉄およびヴァル研究所が開発したMaaSアプリ「Emot」(エモット)のクラウド活用事例を紹介しました。
MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字を取ったものです。
電車やバス、タクシーといった複数の交通機関や移動サービスを組み合わせ、
・検索
・予約
・決済
これらを一括で行うサービスを指したものです。
MaaSの概念やサービスは2014年頃にフィンランドで提唱されたのが始まりとされており、比較的新しいサービスの考え方です。
例えば、自宅から病院まで行く場合、バスや電車に加え、タクシーなども利用することがあります。
これまでであれば、それぞれの交通手段ごとに待ち時間を調べ、料金も個別に支払っていました。
しかしMaaSでは、スマートフォン向けアプリなどを用いて一括で検索を行い、全ての交通手段を一括で予約し、決済を行うことができます。
MaaSは効率的な移動サービスの在り方として注目されている
MaaSを実現するには、各企業同士の連携や協力が不可欠です。
それは移動サービスを行っている企業だけではなく、スマートフォン向けアプリを開発する企業や、さらにそのアプリのバックグラウンドで動作するクラウドシステムを提供する企業なども含まれます。
AWSジャパンは、そういったクラウドシステムを開発する企業であり、世界で数万、日本では670社以上ものパートナー企業にクラウドシステムとそのサービスを提供しています。
AWSジャパン 執行役員 技術統括本部長 岡嵜禎氏
●MaaSとクラウドシステム
AWSジャパンは、同社のクラウドシステム(AWS)がMaaSの推進を支援できる理由として、
・エマージングビジネスを支える特性
・異業種連携を支える特性
この2つを挙げています。
エマージングビジネスを支える特性とは、
・クラウドシステムをAWSに任せることで事業のコア領域に集中できる
・使った分だけの料金で済むオンデマンドリソースでアイデアを実現しやすい
・高い拡張性によってアクリケーションの作り自体もスケーラブルにしやすい
こういったメリットを指します。
さらに異業種連携を支える特性では、
・権限管理、暗号化などの機能によるセキュアなデータ連携
・グローバルフットプリントの広さによる横展開の容易さ
・豊富な技術情報による学習コストの最小化
こういった安全性や導入のしやすさを強くアピールしています。
AWSは2006年よりサービスを行っており、その長年のノウハウと実績、そして事業規模が最大の武器だ
MaaSの実現には、
・エッジコンピューティング
・デバイスゲートウェイ
・ストリーム処理
・データレイク(データベース)
・機械学習
・モバイルアプリ開発
こういった、さまざまな技術や要素が必要となります。
AWSジャパンはこれらの要素に対するコア技術の多くを提供可能としており、例えばエッジコンピューティングでは「AWS IoT Greengrass」を、機械学習では「Amazon SageMaker」といったサービスを提供しています。
●実現に必要なのは「使い慣れたシステム」であること
今回紹介されたMaaSアプリ「Emot」を開発したヴァル研究所は、AWSを採用した理由について、
・ビジネスとしての速度を重視
・今後の仕様変更へ柔軟に対応できる
・サービススケールに合わせて容易にスケーリングできるプラットフォーム
こういったメリットを挙げ、さらに最も重要な点として、
「我々がもっとも使い慣れたクラウドシステムだから」
このように語っています。
ヴァル研究所 執行役員CTO 見川孝太氏
使い慣れたシステムである、という点は非常に大きなポイントです。
AWSジャパンもプレゼンで語っていたように、新たな知識の覚え直しや技術の習熟が不要であることは学習コストの低減につながる上、アプリの開発速度や完成度に直結します。
実際、Emotの開発では同社の代表的アプリ「駅すぱあと」の開発で培った経路検索システムやそのノウハウが活かされており、「作り慣れている」ことの重要性が実感できます。
駅すぱあとで培った経験と実績があればこそ、Emotは生まれた
駅すぱあとでもおなじみの経路検索機能。MaaSアプリらしく鉄道以外にバスの運行情報も検索される
MaaSでは交通サービスだけではなく、地域の観光サービスとの連携も期待されている
●MaaS普及へ積極性を見せるAWSジャパン
日本におけるMaaSの取り組みは、まだ途上であり、観光地や一部の郊外エリアで実証実験が散発的に行われている段階です。
そういった中で、今回の小田急電鉄とヴァル研究所によるEmotの開発やMaaSへの取り組みは、利用者の規模的にもかなり大規模なものであり、東京都と神奈川県をつなぐ重要路線でのMaaS導入事例として大きな注目を集めています。
大規模なMaaSになるほどリスクも大きくなるため、ここでも「使い慣れている」ことの重要性が増します。
AWSジャパンはMaaS事業への取り組みについて、
「これまでもコネクティッドカーなどで(クラウドシステムを)提供してきた。
MaaSはさまざまなターゲットの1つとして、よりよいサービスの提供を積極的に考えていく」
このように語り、AWSのフレキシブルな運用の容易さや大規模サービスへの積極的な展開をアピールしていました。
執筆 秋吉 健