東京で1日の感染者数が100人を超えるなど、いまだ新型コロナウィルスに悩まされ続ける経済だが、世界を見渡せば感染拡大の第2波が本格的に始まる気配を見せている。とりわけ、我慢しきれずに経済を再開させた国や地域では、経済の回復を示唆する統計がいくつか出てきており、株価も大きく回復している。とはいえ、為替市場の動きは相変わらず鈍い。狭いレンジの中で動いても、結局は1ドル=107円台という「定位置」に戻ってしまう動きを見せている。今後の為替市場がどんな動きを見せていくのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に、7月の為替相場の行方をうかがった。

 ――株高が続いていますが、金融市場の7月相場のポイントは?

 大きく分けて3つのポイントがあると思います。第1のポイントは、新型コロナウィルスの感染拡大の第2波の行方がどうなるのか・・・。6月末の段階で、世界の感染者数は1000万人を超え、死亡者数も50万人を超えています。今後の行方次第で経済全体、金融市場全体が大きく動くため、目を離せない状況と言って良いでしょう。

 新型コロナウィルスのパンデミックが始まってすでに5カ月以上が経ち、トランプ米大統領の言うように、経済も止めることができない状況、と言っていいかもしれません。コロナの感染拡大と経済のバランスを上手にとることが今後は求められますが、感染症対策とのバランスを取りながらの経済成長は簡単にはいきません。

 そんな状況の中で、株価は想定外の値上がりを見せており、米ナスダック市場のように史上最高値を更新する市場も出てきました。日経平均株価も1日500円前後の動きをするなど、変動率の大きなマーケットになっています。ただ一方で、為替市場が1ドル=106〜108円のレンジ相場の中で大きな動きを見せていません。

 一言でいえば、「有事のドル買い」が続いているといって良いかもしれません。パンデミックが続いている限りは、大きなトレンドとしてはドル買いと言って良いでしょう。

 ――経済の見通しを判断しにくい状況ですが、これからの展望は?

 そこで第2のポイントになりますが、7月は様々な経済統計の分岐点に差し掛かってくるかもしれません。景気がさらに悪化してくるのか、それとも思ったほど悪化しないのか・・・。それが徐々に見えてくるのが7月と言って良いでしょう。

 とりあえずは7月の第1週は、7月3日が休日になるため、重要な指標が相次いで発表されました。たとえば7月1日の米ISM製造業景況感指数(6月)は、49.7の予想から予想外の52.6となり、約4カ月ぶりに活動拡大に転じ、2019年4月以降ほぼ1年ぶりの高水準となりました。パウエルFRB議長が語ったように、「米国は想定以上に景気回復が進んでいる」のかもしれません。

 7月2日に発表されせた米雇用統計でも、その傾向はさらに鮮明になりました。非農業者部門新規雇用者数は、前回はエコノミスト予想800万人減にたいして、250万人増のサプライズがありましたが、今回の6月は300万人増の予想に対して前月比480万人増となり、またしても予想を大きく上回るサプライズでした。同時に発表された家計調査に基づく失業率も12.5%の予想に対して11.1%と下回り、米国経済が急速に回復している状況を示し、ドルル買いが加速しました。

 米国の景気が予想以上に上向いていることを証明した形となり、株価もニューヨークダウ、ナスダック、S&Pともに1%以上の上昇となりました。ただ、為替市場は雇用統計がサプライズで上昇した割には、わずかな動きしか見せていません。米失業保険新規申請件数が事前予想の138万件を上回り142.7万人になるなど、やはりまだ楽観はできないとマーケットが判断しているようです。