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自動車耐久品質調査でレクサス独走を止めた

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

JDパワーは米国で1969年に創業した市場調査会社である。

自動車業界に関する調査から始まった会社だが、現在は様々な産業を対象としている。

ジェネシスG80(2017年モデル)    ジェネシス

日本にも支社があり、日本市場における日本車を対象とした各種の調査を行っている。

米国では自動車商品魅力度調査や初期品質調査、サービス満足度調査など多数の調査を行っている。

今年2月公表の「自動車耐久品質調査2020」(JD Power US Vehicle Dependability Study SM(VDS))にて信じがたい異変が起きた。

何と、1995年から2019年まで一度だけ2010年にポルシェにトップを譲った以外続いていたレクサスの1位が韓国車ブランドによって止まってしまったのだ。

2020年の調査では北米で販売されている32のブランド、222車種、合計3万6555台が参加し、ブランドのトップに立ったのは、韓国の自動車メーカー、ヒュンダイの高級車ブランド「ジェネシス」であった。

ジェネシスはかつてヒュンダイの中のひとつの車種だったが、2015年にプレミアムブランドとして独立を発表。

いわばトヨタにおけるレクサスのような存在で2016年8月に投入されたジェネシスG80が最初の米国市場進出車である。

米国の消費者評価メディア「コンシュマーレポート2018」では、「ベストブランド」の第1位を獲得し人気拡大。

現在米国ではG70/G80/G90の3車種を展開している。

何を対象に、誰が評価しているのか?

今回、ジェネシスが1位となった「自動車耐久品質調査」(米国)は30年以上の歴史がある。

対象となるのは購入から3年が経過した車両で、2020年発表の調査は2017年モデル(多くが2016年夏〜秋に発売されたクルマ)が対象となる。

自動車耐久品質調査 JD Power SM 2020 U.S. Vehicle Dependability Study    JDパワー

ブランドとしてのスコア評価は対象となるすべての車種の不具合値を平均した結果となる。

調査時期は2019年7〜11月の4か月。対象車両100台のオーナーに対し、177項目について詳細な調査が行われた。

スコアは◯◯PP100という形で出るが、◯◯の数字が小さいほど優秀で不具合などの問題が少ない車であることを表している。

なお、2020年はレクサスESが史上最高の高評価となる「52 PP100」を獲得した。

車種としてはレクサスESがダントツだったがブランドとしてはジェネシスがトップに立ったということだ。

他のカテゴリーで上位の日本車は?

参考までに他のカテゴリーで上位の日本車を見てみよう。

スモール:1位ホンダ・フィット
ミドルサイズ:3位トヨタ・カムリ
コンパクト:1位日産リーフ/3位トヨタ・カローラ
コンパクトスポーツ:1位マツダMX-5ミアータ(ロードスター)
ラージ:1位トヨタ・アヴァロン
コンパクトプレミアム:1位レクサスES/3位レクサスIS

各セグメントの上位3車種 JD Power SM 2020 U.S. Vehicle Dependability Study    JDパワー

トヨタ自動車はSUVやピックアップトラックのカテゴリーでも優秀な結果をおさめている。

レクサスGX(SUV)、トヨタ4ランナー(SUV)、トヨタ・シエナ(ミニバン)、トヨタ・タンドラ(ピックアップトラック)の各車種がセグメント1位の評価を獲得している。

ジェネシスが1位になったからくりは

今回の「自動車耐久品質調査」では1位がジェネシス(89)、2位がレクサス(100)という結果になった。

この結果を見た時、筆者は軽い、いや、かなりの衝撃を受けた。

2020年3月にフルモデルチェンジしたジェネシスG80    ジェネシス

「ジェネシスはレクサスよりも不具合が少なく、優秀なのか!?」

「いきなり1位ってどういうこと? 2019年にはブランド名すらなかったのに?」

アメリカのJDパワー本社に理由を聞いてみることにした。

回答するのはJDパワー米国本社のジーノ・エフラー氏だ。

「2019年において、ジェネシスブランドは3年経過したモデルが存在していなかったため、VDS調査の対象となるモデルがありませんでした」

「2020年調査では販売されてから3年以上のモデルがあったため調査対象となりジェネシスが最高ランクにランクインしました」

「なお、ジェネシスは、2018年モデルではG80という1モデルしなく、これが非常に高評価でした。対してレクサスは10以上の異なるモデルを販売しています」

つまり……ジェネシスブランドは2016年8月に立ち上がった高級車ブランドで、今回の調査対象(販売から3年以上)となったのはジェネシスG80一車種しかなかった、ということなのである。

ジェネシスG80、3月にフル刷新

では、そのジェネシスG80とはどんなクルマなのか?

米国では2017年モデル(2016年8月〜)に発売された「G80」が最初のジェネシス車となる。

ジェネシスG90(2018年モデル)    ジェネシス

それまでの「ジェネシスセダン」を改名したモデルで、G90(韓国でもっとも高額なクルマ)の次に位置するプレミアムセダンだ。

ライバル車はレクサスGSやBMW 5シリーズ、メルセデス・ベンツEクラスあたり。

ライバル車たちに比べて1〜2万ドルも安い価格設定。

JDパワーの新車品質調査でもポルシェと1点差で1位になっている。

安全性も高く、米国道路安全保険協会(IIHS)が評価する「2018年車両安全性テスト」でもG80 を含むヒュンダイ車6種が「最高安全プラス等級」を受けた。

最後にもう1つ興味深い結果を紹介しておこう。

新車を評価するための「JDパワー100ポイントスコア」は車両の品質、信頼性、パフォーマンス、減価償却、およびディーラー応対などの意見を総合したもの。

G80はレクサスGS F、リンカーン・コンチネンタル、アウディA7などに続いて9位という低い結果になっている。

データを見ると、品質と信頼性、運転性能は80点前後だが、ディーラーの応対が73点と低いのでこれが理由だろうか。

それでも3年経つとレクサスをしのぐほどの品質と高い満足を得られるのだろう。

日本でもかつて正規輸入されていたジェネシスにもう一度乗ってみたくなった。