東京Vチームダイレクターに就任したラモス瑠偉氏【写真:Football ZONE web】

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ラモス氏、日本代表が抱える問題点を指摘「森保が今いろいろ言われていますけど…」

 元日本代表MFラモス瑠偉氏は、10日にJ2東京ヴェルディのチームダイレクターに就任した。

 就任会見とその後の囲み取材では、自身も背負った日の丸について言及。東京五輪を迎えるU-23日本代表には「戦う姿勢が足りない」と喝を注入した。

 ブラジル出身のラモス氏は19歳で来日し、読売クラブ(東京Vの前身)に加入。1993年のJリーグ開幕後もヴェルディ川崎(現・東京V)の中心選手としてクラブの黄金期を支えた。代表シーンでは1989年に帰化し、トップ下として攻撃を牽引。1993年のワールドカップ最終予選では「ドーハの悲劇」を経験するなど、日の丸への思いは人一倍強い。

 そんなラモス氏は1998年の現役引退後も、Jクラブやビーチサッカー日本代表の監督を務め、日本のサッカーに深く携わってきた。全国を回るなかで、育成年代に“物足りなさ”を感じたという。それがオリンピック代表やA代表の現状に影響していると持論を説く。

「森保(一監督)が今いろいろ言われていますけど、短い代表活動のなかで戦い方を教えられるか。大人になってからでは難しい。育成から甘やかしているのかな、と。上から見ていると、オリンピック代表には戦う姿勢が足りないように思います」

 現代では、過去の教育や叱咤激励の方法がパワーハラスメントとしてみなされるなど、スポーツ界のみならず、社会全体で問題視されている風潮になる。時代は常に移り変わっていくものだが、ラモス氏は激しさ、厳しさを含めて闘争心を蘇らせてほしいと訴える。

「日本語を勉強不足かもしれないけど……、例えば『ラモス、このクラブの監督にならなかったら、Jリーグの監督を絶対にやらせないぞ』、これはパワハラです。汚い言葉を使うのはどうかと思うけど、『戦え』『ボールを奪え』『こらっ、行け!』『やらなきゃダメだ』なんてパワハラじゃない。厳しいことを言うのはパワハラじゃないです。私たちにはプライドがあった。弱いなんて言わせないって。時代が時代かもしれないですけどね」

「1対1に勝たなかったら、どんな戦術をやっても勝てるはずがない」

「違う時代に生まれて良かった」と笑いを誘ったラモス氏は、日本全体に浸透するパスサッカー趣向よりも、1対1を重視するべきだと語る。

「今はボール回しは上手いけど、いざ1対1になると弱いし、カバーリングのタイミングとか、何のためにプレーしているのか、誰のために戦っているのか考えないと。パスサッカーをやっているけど、私はただの“カニサッカー”だと思っている。サッカーは1対1。1対1に勝たなかったら、どんな戦術をやっても勝てるはずがない。森保を見ていると、彼が苦しんでいるのは育成のところ、全国に起きている問題じゃないかなと。

 センターバック、ボランチ、前(FW)、チーム(A代表)の背骨の部分を見ると、センターバックは井原(正巳)の後、秋田(豊)と来て、吉田(麻也/サンプドリア)は今少しずつ良くなっている。ボランチは橋本(拳人/FC東京)くらいでちょっと薄くなった。あとは大迫(勇也/ブレーメン)くらいかな」

 レジェンドであるラモス氏が厳しい言葉を発するのも、日本サッカーの発展を願ってのこと。東京五輪、2022年のカタール・ワールドカップに向けて、代表チームがどのような成長曲線を描いていくのか、気になるところだ。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)