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ボーイングが開発する有人宇宙船の「スターライナー」は、2019年12月の打ち上げテストで国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに失敗しました。テスト終了後、ボーイングは「設定以上の燃料を過剰に消費してしまった」と問題を報告しましたが、実は「打ち上げ直後に重大なソフトウェアのバグが発見され、地球に帰還する直前にバグが修正されていた」ことも判明しました。

Starliner faced “catastrophic” failure before software bug found | Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2020/02/starliner-faced-catastrophic-failure-before-software-bug-found/

NASA panel recommends Boeing software process reviews after revealing second Starliner issue | TechCrunch

https://techcrunch.com/2020/02/06/nasa-panel-recommends-boeing-software-process-reviews-after-revealing-second-starliner-issue/



NASAはISSへの物資補給や宇宙飛行士の輸送を民間に委託する計画を進めており、この業務を受託したボーイング社が開発したのが、有人宇宙船のスターライナーです。スターライナーは最大で7人の人員をのせることが可能であり、最大で10回の再使用ができるとのこと。

2019年12月20日に、ボーイングはスターライナーの無人打ち上げテストを実施。このテストではISSとのドッキングが計画されており、ドッキング後には再び地球へ帰還する予定となっていました。

NASAの新型宇宙船「スターライナー」が国際宇宙ステーションに到達失敗、地上への帰還は成功 - GIGAZINE



しかし、スターライナーは打ち上げには成功したものの、機体のミッション経過時間タイマー(MET)と実際のミッション経過時間にズレがあったため、予定よりも長くエンジン噴射が行われてしまったそうです。その結果、スターライナーにはISSとドッキングできるだけの燃料が残らなかったとのことで、ISSとのドッキングを中止して地球へと帰還することになりました。

スターライナーは2019年12月22日、アメリカ・ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場に帰還。パラシュートやエアバッグも正常に作動し、落下時の衝撃による破損なども確認されなかったと報告されました。



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ところが、NASAが2020年2月6日に行った会議に出席した、航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)は「スターライナーは2019年12月の打ち上げが行われた直後に、重大なソフトウェアのバグが発見されていた」と指摘。最悪の場合、スターライナーが無事に地球へ戻ってこなかった可能性もあると主張しています。

ボーイングはスターライナーを打ち上げた後でソフトウェアのバグに気づき、飛行中にバグを修正したとのこと。大気圏へ再突入する2時間前に修正済みのコードを送信したそうで、間一髪のところでスターライナーの破損を免れたということになります。

スターライナーでは、宇宙飛行士が乗り込む部分が「クルー・モジュール」、推進システム(スラスター)や燃料タンク、バッテリーなどが納められた部分が「サービス・モジュール」と呼ばれています。ASAPのメンバーであるポール・ヒル氏は、「バグは飛行中に修正されましたが、もし修正されなかった場合、サービス・モジュールの分離中にスラスターが制御できず、壊滅的な宇宙船の故障につながる可能性がありました」と述べました。



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ASAPは一連の問題について深刻に捉えており、「委員会はボーイングの検証プロセスの厳密さに懸念を抱いています」とヒル氏はコメント。単に今回発見されたソフトウェアのバグに関する根本原因を特定するだけでなく、ボーイングが開発する飛行ソフトウェアの統合およびテストプロセス自体についても、さらに広範に評価および是正することを推奨しているとのこと。

スターライナーに関する再評価が行われた後で、NASAは宇宙飛行士がスターライナーに搭乗する前に、再びスターライナーが2回目の無人打ち上げテストを実施するかどうかを判断する必要があると、ヒル氏は述べました。