浦和完敗、倒れ込んだMF橋岡と引き起こしたFW興梠 その行為に込められた思いとは?
ACL決勝第2戦でアル・ヒラルに0-2敗戦 橋岡「完敗を認めなければいけない」
浦和レッズのMF橋岡大樹は、AFCチャンピオンズリーグの決勝第2戦、アル・ヒラル(サウジアラビア)に0-2で敗れ、2戦合計での敗戦が決まった直後のピッチに倒れ込んだ。
そこに歩み寄ったFW興梠慎三は、橋岡を引き起こしたが、そこには一つの思いを込めていたと明かした。
浦和は初戦に敵地で0-1の敗戦を喫したところからの挽回を期してこのゲームに臨んだ。橋岡は右ウイングバックでスタメン出場し、FWファブリシオのヘディングシュートにつながるクロスも供給した。しかし、試合全体を通してみればチーム全体も、そして橋岡個人としても劣勢の評価は免れないものだった。
特に、JリーグやACLでも東アジア勢を相手にした時に一つの武器になってきた空中戦が、完全に封じ込まれた。浦和の攻撃パターンの一つが、最終ラインやGK西川周作のところにボールがある時に、橋岡が右サイドで高い位置を取ってそこにロングボールを供給し、そのヘディングから前方へ進んでいくことだ。しかし、この決勝戦ではDFヤシル・アルシャハラニにそのパターンを封じられた。
そして、地上戦でも攻守にわたって苦しんだ。特に、準決勝の広州恒大(中国)を破った原動力にもなった興梠へのクロスは、そもそも、その体勢にすらなかなか持ち込ませてもらえない。橋岡も「とても迫力があり、簡単にはやらせてもらえない。良い相手だったと思う。もっともっとできると思っていたけど、この完敗を認めなければいけない」と振り返った。
そして、試合終了を告げるホイッスルが鳴った時、橋岡はピッチに倒れ込んでいた。そこに歩み寄ったのは、キャプテンマークを巻いた興梠だった。興梠は橋岡に手を差し出すと、スッと引き起こした。
橋岡「言葉には出さなかったけど…」 興梠「悔しさはあるけど…」
橋岡はその時のことを「言葉には出さなかったけど、また前を向いてやっていこうという思いを込めてくれたと思う」と話す。一方で興梠は、ACL初出場のシーズンになった橋岡に対して、また少し違った思いを込めていたことを明かした。
「僕は鹿島(アントラーズ)の時からACLに出ていて、このファイナルまで来るのは簡単じゃないとずっと思っていたので。悔しさはあるけど、ここまで来られるのも奇跡的なことでもある。だから、負けてしまった悔しさはあるけど、胸を張れと。そういう思いで、『倒れるな』と起こしたんです」
20歳の橋岡は、来年に控える東京五輪のメンバー入りにも有力な存在だ。地元開催での躍進を大会のことは頭にあると話す。それは、この決勝戦を振り返って「半年後にはオリンピックもあるけど、そこでは個でもチームでも、もっと優れた相手とやることになるはず。もっと努力が必要だと感じさせられた。確かに素晴らしいチームが相手だったけど、だからといって打開できない選手では終われない」と、悔しさを次につなげる思いを口にしたことからもうかがわれる。
試合後に橋岡は、「サポーターが涙を流しているのを試合後に映像で見て、一緒の気持ちで戦ってくれているのを本当に感じたし、終わってから、悔しいのは僕たちだけじゃないのに、温かい声援をかけてくれた」のだと話した。だからこそ「成長して、その声援に応えたい」と、強い思いも口にした。あまりにも悔しい敗戦だったが、いつかこの日のゲームが糧になったと言える日まで、成長を続ける姿を見せてくれるはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)
