とんかつ店には、もうひとつのご馳走として“海老フライ”がある。

猴箸〞を追求するとんかつ店だからこそ、使う海老のサイズから衣、油の温度まで海老フライへのこだわりも満載。

今回は人気とんかつ店の二軒による、究極の海老フライを紹介する。




ジューシーな特大車海老は贅沢感しかない
『大五』の「特大海老フライ」

実直な人柄の店主、田中五郎さんは何事にも手を抜かない主義で、海老フライも例外ではない。

仲卸から直接仕入れる特大の車海老は丁寧な仕事を施し、繊細な旨みを花開かせる。1本から頼めるので、とんかつ定食にトッピングしても、贅沢なビールのお供にも良し。

とんかつ以外のメニューも豊富かつ絶品だと評判。大ぶりの海老2本で¥2,700。




【素材】濃厚な甘みがほとばしる、特大サイズの車海老

長さ15センチ以上はある特大の車海老は注文を受けてから下処理をする。頭は落として内臓を取り除き、丁寧に筋を切ってから全体をしっかり押し伸ばす。




【揚げ】低温でじっくり揚げて海老の甘みを引き出す

牛乳を加えた卵液、粗めの生パン粉をつけて揚げる。1本揚げるのに140℃で10分ほどかかる。コーン油で揚げるので、驚くほど衣が軽く、香りも良い。




【火入れ】ゆっくり育てるように芯までしっかり火を通す

身が太く大きいので、芯まで火が通るようにゆっくりと揚げる。レアではないが、身がしっとりしてジューシーさを損なわないタイミングで火入れを止める。




【タルタル】まろやかでクリーミーな自家製マヨネーズが決め手

辛子やレモン汁、ビネガーを加えた手作りマヨネーズの優しい味わいが軽やかな海老フライとよく合う。具はオーソドックスに茹で卵、玉ねぎ、ピクルス。


― 名物のとんかつも、もちろん技あり!―

岩中ヒレとんかつ定食(¥2,540)


一番人気は、ヒレ。衣はざくざくと食感が楽しく食べ応えがあるが、さっぱりとしたヒレだから重すぎない。

低温であげるのが特徴で、食べていくうちに次第に火が通っていくのを計算した、絶妙の火入れだ。




ほっこりと、気兼ねなく過ごせる雰囲気の店内。

白金という立地ゆえ、近隣に住む大人たちのランチの場として、行列がなされることもしばしば。


海老のミソまで楽しめる海老フライがあった!




丸ごと味わい尽くす海老フライは概念を覆す
『あげづき』の「車海老フライ」

この店の海老フライは他と一線を画している。使われるのは海老フライには珍しい“才巻”と呼ばれる種類。

小ぶりだが、旨みがぎゅっと凝縮されている。有頭の海老は、頭からかぶりつくとその旨みが口いっぱいに溶け出す仕掛けだ(4本¥2,220)。

とんかつにおいても、宮崎のブランド豚「南の島豚」を使う点や、低温揚げによる白い衣に、店主の研究とこだわりが伺える。




【素材】鮨や天ぷら店が好む繊細な“才巻”海老

車海老の中でも鮨や天ぷらの職人が好んで使う小ぶりな“才巻”を使う。これは海老フライではかなり珍しい。注文を受けてから塩水で解凍して殻をむく。




【揚げ】肉の香りが移らないよう、とんかつとは鍋を変える

肉の香りがつくのを避け、とんかつとは別の揚げ鍋を用意する。油もとんかつと配合が異なり、キャノーラ油をベースにオリーブオイルとごま油をブレンド。




【火入れ】高温の油にくぐらせる。後は余熱でじんわり

海老フライとしては小ぶりな才巻海老は180℃の高温で、数秒間サッと油をくぐらせる程度。揚げたては芯がロゼ色のレアだが、徐々に余熱で火が通る。




【タルタル】どの店も真似できない門外不出の濃厚ソース

具だくさんの濃厚なタルタルはそのまま食べても美味。茹で卵、玉ねぎ、ピクルスのほか『あげづき』ならではの秘密のひと工夫を加えた、ここだけの味だ。


― 名物のとんかつも、もちろん技あり!―

南の島豚特上ロースかつ定食(¥2,760)


あまり見かけることのないブランド豚“南の島豚”を、使用しているのが最大の特徴。

「美味しく揚げるコツは触らないこと」と話す店主。15分以上じっくり見守る。




店の一番奥にあるカウンター席は、絶品のとんかつや海老フライの揚げ場が見られる特等席。ひとり客の姿も多い。

もちろん、テーブル席もあり。