前を走る車を透過して前方の映像を確認できる車両映像伝送システム

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 2020年に商用化する次世代通信規格「第5世代通信」(5G)を用いた自動車向けサービスが具現化し始めている。29日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた「ワイヤレスジャパン」ではNTTドコモが、前を走る車を透過して前方の映像を確認できる車両映像伝送システム、外観を損なわずに車の窓ガラスに設置できる5Gガラスアンテナを展示した。自動運転にも応用できる5Gサービスが20年代に続々と生まれそうだ。(文=編集委員・水嶋真人)

 NTTドコモがフランスのヴァレオと開発した車両映像伝送システムは、5Gの高速・低遅延性能を生かし、前を走る車のカメラが収録した前方映像を後方車両へリアルタイムに伝送する。後方車両のカメラ映像と合成することで前の車両を透過する映像を作り、前を走るトラックの前方にある横断歩道を歩く小学生の映像がトラックを透過して見えるようになる仕組みだ。

 日産自動車と開発した乗車共有体験サービスは、遠隔地にいる友人が3次元のアバター(仮想空間上の分身キャラクター)として車内に現れ、会話できる。観光ガイドがアバターとなれば目的地の観光地の説明を受けながらドライブできるようになる。バーチャルのキャラクター(Vチューバー)とドライブを楽しむことも可能になる。

 5Gは高精細な映像や音声を遅延なく伝送できる半面、高周波数帯のため、電波の直進性が高く減衰しやすい。建物などの遮蔽(しゃへい)物があると電波が届きにくく車内でも電波が弱まってしまう傾向にある。この5Gの欠点を補うのが、AGC、エリクソン・ジャパンと開発した「ガラス一体型5Gアンテナ」だ。

 数ミリメートル四方のアンテナを合成石英基板に複数配置。フロントガラスやリアガラスに多数設置することで外観を損なうことなく、さまざまな方向から到来する28ギガヘルツ帯(ギガは10億)の電波を安定した強度で受信できるようになる。東京都墨田区の市街地で行った実証では、時速30キロメートルで走行中の車両で毎秒3・8ギガビットの最大通信速度を記録した。

 NTTドコモが5Gの技術や仕様に関する情報提供などを行う「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の参加企業は、2600社を超えた。20年の5G商用化に向け自動車以外の分野でも協業企業と連携したサービスの創出を急ぐ。