音楽史上最もセクシーなミュージック・ビデオ・トップ30
30位 シェール「ターン・バック・タイム(原題: If I Could Turn Back Time)」
29位 TLC「レッド・ライト・スペシャル」
「クリープ」のセクシーなMVを監督したマシュー・ロルストンが1984年のこのMVのカメラの裏に座っていた。このビデオでは、ボリス・コジョー(映画『ブラウン・シュガー』、テレビシリース『Real Husbands of Hollywood』
など)が勤める売春婦の女主人をレフト・アイが演じている。「最初に思い浮かんだ光景が、赤いストロボライトとストリップをしている人だった」と、ビデオでメンバーのチリとストリップ・ポーカーをやっているT-ボスが、2013年にVibe誌に語っている。そして「なんと言われようと、あれが私のレッド・ライト・スペシャルよ」と。
28位 FKAツィッグス「Papi Pacify」
FKAツィッグスの2013年のシングル「Papi Pacify」のMVは、緊張感あふれるモノクロ映像で、このイギリス人エレクトロ・ソウル・シンガーが恋人と絡みながらカメラ目線で身悶えする。彼女が後に英イブニング・スタンダード紙に語ったところによると、彼が彼女の口に指を入れるシーンでは、”精神的な虐待”を受けていた過去の恋愛関係を表したものだという。「あのときは意思の疎通ができなかった。付き合っていた相手は私が意思表示するのを遮っていたから。それを実際の動きで表したのが、あの口に指を入れる行為だけど、そこにはその状況を嫌っていないという感情もあるの。ほんと、矛盾しているけど、病みつきになるのよ」と。
27位 マイケル・ジャクソン「イン・ザ・クローゼット」
1992年のマイケル・ジャクソンとナオミ・キャンベルのパ・ド・ドゥMVはモノクロームの巨匠ハーブ・リッツが監督し、ジャクソンのデンジャラス時代にカリフォルニアのソルトン湖で撮影された。ジャクソンとニュー・ジャック・スウィングのテディ・ライリーが共同プロデュースしており、曲が進むに連れて、音楽的にも映像的にも、キング・オブ・ポップの新たな側面が露わになってくる。
26位 アッシャー「コンフェッションズ Part II」
アッシャーは2004年のこのMVで過去の恋愛関係の嘆きを告白している。監督はクリス・ロビンソン。アッシャーは二人の女性との情事を恋人に見つかり、彼女から出て行けと言われる。途方に暮れた彼はシャツを脱ぎ捨てて割れた腹筋を見せるのだが、この場面はディアンジェロの「Untitled (How Does It Feel)」を思い出す。こっちの方が後悔の度合いは高いように見えなくもないが。
25位 アン・ヴォーグ「Giving Him Something He Can Feel」
アン・ヴォーグが1976年のアレサ・フランクリンの誘惑曲(カーティス・メイフィールド作)をカバーし、1992年当時最高のビデオ技術で、彼女たちのボーカル・パワーを前面に押し出したビデオが作られた。お揃いの赤いドレスを身にまとい、シュープリームス的なキラキラ感を出しつつ、「フィール」までシミーやため息を続けると、観客の男性陣は刺激され落ち着かなくなり、パフォーマンスが進むにつれて、男たちは自制心(とアクセサリー)をかなぐり捨てる。
24位 ロビー・ウィリアムス「Rock DJ」
人気ボーイズグループTake Thatの元メンバーだったロビー・ウィリアムスは、2000年の「Rock DJ」のMVで”ありのまま”以上を露出することに決めた。ストリップをしながらシャツを脱ぎ捨て、皮膚の剥ぎ取り、筋肉が露わになる。その筋肉を身体から剥がしながら周囲の女たちに投げ与え、最後には骨だけに。このビデオは途中で出てくる血しぶきが問題となり、イギリスの老舗音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』で放送禁止となったが、驚いたことにそれ自体が21世紀的な名声がどんなものかを表したのであった。「肌の下に何があるのか、誰もが知りたいと思うのです。たとえ、それを想像するだけで気分が悪くなるとは言っても」と、当時このビデオのFXを担当したカーター・ホワイトFX社の広報担当サーシャ・カーターが説明した。「”Rock DJ”はリアルな皮膚・肉・血、人間とは何か、名声とは何かを表現する限界を押し広げられた特別なプロジェクトです。人は皆、自分の分け前を欲しがるものなのです」と。
23位 ニッキー・ミナージュ「アナコンダ」
2014年のお尻賛歌「アナコンダ」はサー・ミックス・ア・ロットの「Baby Got Back」をサンプリングしている。ミナージュは自身のダイナマイトボディを存分に見せつけながら、その一方で、さんざん焦らされて終わるドレイク、ターンテーブルの上で回るバナナという摩訶不思議なシーンも満載だ。2014年のGQ誌で「最初はバナナでセクシーな気分になり、その後で『あはは、違う』ってなるの」と、ミナージュが答えている。「キッチンでのシーンを見せるのが重要だったのよ。だって台所は女性のパワーの象徴だもの。相手に媚びたり、面白い人を気取りたいのなら構わないけど、女はいつでもパワー全開で、あらゆるものをコントロールしないとね」と。
22位 エンリケ・イグレシアス「エスケイプ」
2001年の「エスケイプ」は、当時の恋人だったロシア人テニス・プレイヤーのアンナ・クルニコワが登場し、有名人同士の付き合いの大変さを披露している。女子トイレや駐車場での逢瀬はホットだが、鋭い目つきのセキュリティガードに邪魔される。そして、コンサートを終えたイグレシアスがクルニコワに待ち望んだキスをする。「あれが初めてのビデオで、とってもセクシーだったわ。でもエンリケと一緒だったから難しくはなかったわよ」と、当時クルニコワが英ミラー紙に語っていた。
21位 シャキーラft.リアーナ「キャント・リメンバー・トゥ・フォーゲット・ユー」
コロンビア人のパワフル・ディーヴァ、シャキーラとバルバドス島のメガスター、リアーナが登場するこのMVは、二人が静かに立っているだけでもセクシーに違いない。2014年のこのクリップの監督はジョセフ・カーン。豪華な舞台に贅沢なベッド、横に並んで身悶えする二人。「彼女は地球で一番セクシーな女性よ」と、共演したリアーナについてシャキーラはグラマー誌にそう語っていた。「最後には二人ともカリビアンの少女に戻っていたの。ケミストリーがとても良くて、とてもリアルだったわ」と。
20位 ジョージ・マイケル「フリーダム! 90」
1990年のアルバム『リッスン・ウィズアウト・プレジュディスvol.1』のビデオから自分を切り離そうというジョージ・マイケルの決意は、このMVでクールに実現されていた。シンディ・クロフォード、リンダ・エヴァンジェリスタ、ナオミ・キャンベル、クリスティー・ターリントン、タチアナ・パティッツと、当時のスーパーモデルが総出演して、自宅でくつろぎながら解放を歌うダンス曲をリップシンクしている。デヴィッド・フィンチャーが監督したこのビデオ・クリップでは、スーパーモデルの日常を遊び心いっぱいにセクシーさを交えて紹介している。クロフォードはお風呂に入りながらマイケルのソウルフルな曲を歌い、ターリントンは曲のリズムに合わせて床を這い回りながら猫とチャネリングしているのだ。
19位 クリスティーナ・ミリアン「ディップ・イット・ロウ」
目を見張らせる衣装を身にまとい、一緒にブーティーポップしたくなるダンス繰り返しながら、2003年の「ディップ・イット・ロウ」のMVでのミリアンは性悪メギツネの上級テクニックを指南している。「マンネリの彼氏との愛の炎を取り戻す方法を女性に教えているのよ」と、当時ミリアンはニューヨーク・デイリーニュース紙に語っていた。しかし、黒いペンキを塗りつけて白い台の上でクネクネ踊る部分はクールとは言えないかもしれない。
18位 ファウンテインズ・オブ・ウェイン「Stacys Mom」
米ニュージャージー出身のパワーポップ・グループ、ファウンテインズ・オブ・ウェインの2003年のホットなママ賛歌のMVに衝撃を受けた人も多くいた。少年の目に”ホットに見える”ママを演じているのがスーパーモデルのレイチェル・ハンターなのだから。「どういうわけか、レイチェル・ハンターが引き受けてくれたのさ。嬉しかったよ」と、同年ワシントン・ポスト紙に(ベースの)シュレシンジャーが語った。「彼女は僕たちのファンで、あの曲と僕たちが気に入っていたんだって。だから出演してもいいって。それを聞いて僕たちが断るわけがないよね? 彼女はあの役にぴったりだったもの。曲もちゃんと理解していて、最初から僕たちが望む演技をしてくれたよ」と。
17位 ポーラ・アブドゥル「Cold Hearted」
ポーラ・アブドゥルのMVはポップ・カルチャーの伝統に敬意を表することがしばしばあるのだが、1988年の「Cold Hearted 」は、それを次のレベルに押し上げた。ボブ・フォッシーの1979年の『オール・ザット・ジャズ』の官能的なコリオグラフィーを、さらにホットにしたダンスを披露しているこのクリップはデヴィッド・フィンチャーが監督している。2014年のローリングストーン誌の取材で「あの撮影では怪我したダンサーが一番多かったの。ひざで床を滑るとか、建築現場によくある足場を使った群舞とか、振り付けがたくさんあった上に、木材、金属、コンクリートなどの上で踊ったから本当に大変だったの。ほこりっぽいザラザラ感を出したかったから」と、アブドゥルが語った。
16位 ホワイト・ストライプス「アイ・ジャスト・ドント・ノウ・ホワット・トゥ・ドゥ・ウィズ・マイセルフ」
バート・バカラックとハル・デヴィッドが作った嘆きの歌を、2003年にホワイト・ストライプスがカバーし、そのMVが大きな話題となった。ケイト・モスが出演し、映画『ロスト・イン・トランスレーション』公開直前のソフィア・コッポラが監督したからである。ニューヨーク・タイムズ紙によると、コッポラはこのビデオのコンセプトを難なく決めたという。「こう言ったの、『どうしようかしら…そうね、ケイト・モスにポール・ダンスさせるってどう?』って。私が見たいと思ったから言っただけよ。私のやり方ってそんな感じだから。いつも自分が見たいものを想像するのよ」と、コッポラが説明した。
15位 エアロスミス「クレイジー」
アリシア・シルバーストーンとリヴ・タイラーが親友を演じ、二人で暴れまわる1994年のパワー・バラッドのクリップには、不登校、ポール・ダンス、素っ裸での池に入るなどの場面が登場し、父親であるエアロスミスのフロントマン、スティーヴン・タイラーから遺伝したリヴの仕草も披露されている。
14位 シアラft.リュダクリス「Ride」
ミュージックビデオ・ディレクターのダイアン・マーテルが手がけた2010年のこのMVには、ロデオブルに乗ったり、情熱的に腰をグラインドさせたりする場面が登場する。内容がセクシーすぎるとして、BET(ブラック・エンターテインメント・テレビジョン)の平日のカウントダウン番組「106 & Park」から閉め出された。当初は放送禁止と報道されたがBETはそれを否定し、放送できるようにシアラが編集し直すのを待っていると公式発表した。当時、Rap-Up誌に「官能的な場面がいくつかあるのは承知していたけど、BETが安心して放送できるように喜んで編集するわ」と、シアラ本人も語っていた。この頃すでにビデオはテレビだけではなくてオンラインでも公開されていたため、シアラがBETの指針に従って自分の考えを変えられるか、興味津々で様子をうかがっていた人もいたはずだ。
13位 マドンナ「エクスプレス・ユアセルフ」
1989年のマドンナのアルバム『ライク・ア・プレイヤー』からの2枚目のシングルのMV。監督はデヴィッド・フィンチャーでフリッツ・ラングのディストピア映画『メトロポリス』にオマージュを捧げたものだ。とは言え、エロティシズム全開で、大きな建物の地下と思しき作業場で労働者たちが汗を滴らせながら歯車を回している。一方、マドンナは冷酷なディーヴァ、男装の弁士、金持ちの慰み者とコスプレショーを繰り広げる。そしてハッピーエンドが訪れるのだ。地下にいた筋肉質の美しい労働者がマドンナを見つけ、彼女は彼にその身を捧げる。これは束縛からの解放であり、かなりホットな場面だ。そして、性的自由を訴えて、ラングの名言「脳と手の媒介者は心でなくてはならない」で締められている。
12位 セレーナ・ゴメス「ハンズ・トゥ・マイセルフ」
自分の限界を押し広げたいポップ・スターが好んで声をかけるのが監督アレック・ケシシアンだ。マドンナのドキュメンタリー映画『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』(1991年)を手がけたことで有名だが、セリーナ・ゴメスが2015年のシングル「ハンズ・トゥ・マイセルフ」のMVを彼に頼んだのもそれが理由だ。このビデオの中でゴメスが演じるのはストーカー。モデルのクリストファー・メイソンの恋人という妄想にとり憑かれている彼女は彼の家に侵入する。「このビデオでは2つのストーリーを混在させたかったの」と、メイキング映像でゴメスが語っている。「誰でも将来の自分の姿を夢見ることがあると思うの。特に恋する少女の場合、その恋に固執して自分を制御できなくなることがあるわ。だって、その少女にとっては何よりも欲しいものがその恋なのだから」と。
11位 デュラン・デュラン「ガールズ・オン・フィルム」
1981年にモデルの生活を題材にしたこのMVをデュラン・デュランが公開したとき、MTVの基準や規則を決める部門に衝撃が走った。ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームが監督したこのクリップには、様々な衣装を着たモデルが登場する(相撲、カウガール、ナース、など)。このビデオは1981年の夏にMTVが開局する2〜3週間前に公開され、バンドとこのビデオを放送したMTVは論争に巻き込まれることとなった。
10位 ビヨンセ「パーティション」
2013年にリリースされたセルフタイトルのビジュアル・アルバムの中で「パーティション」は群を抜いていた。仏パリにある有名キャバレー、クレイジーホースでビヨンセとジェイ・Zが婚約したという設定で、暇を持て余した主婦ビヨンセの妄想が繰り広げられる。クレイジーホースのステージからジェイを誘惑するダンサーなり、リムジンのバックシートで愛を交わしましょうと歌いながら、彼を凝視して身体をくねらせる。「彼女たちを見て『なんてセクシーなの!』と思ったの。これまで見た中で究極のセクシー・ショーがあれだったから『私もあのステージに立ちたい。夫のためにあのパフォーマンスをしたい』と思ったわけ。だから、それをビデオで実現しただけよ」と、付録のメイキング映像で彼女自身が説明している。
9位 カニエ・ウェスト「Fade」
フラッシュダンスにインスパイアされたテヤーナ・テイラーのワークアウトは、2016年のアルバム『Life of Pablo』収録曲「Fad」のMVの目玉なのだが、彼女がシャワーを浴びるあたりから様子が怪しくなる。突然NBA選手である夫イマン・シャンパートが登場すると動物的な種の保存本能全開に。そんなシャワーでの濃厚なシーンが、なぜかシュールな家族ポートレートへとフェイドインする。そして、テイラーも、子供をあやすシャンパートも、羊の上に掲げられた赤ちゃんも、不気味な輝きを放つのだ。
8位 リアーナ「S&M」
ボンデージ賛歌とも言える「S&M」のビデオ・コンセプトはかなりストレートだ。しかし、監督のメリナ・マトソウカスはもっとわかり易い表現にしたかったという。明るい色使いで間抜けな場面も登場する2011年のこのビデオは、バルバドス出身のリアーナと「メディアの間にあるサドマゾ関係を寓話にしたもので、ムチとチェーンだけじゃない」と、2011年にビルボード誌の取材でマトソウカス本人が説明していた。ラテックスの衣装を着たリアーナがご主人様で、リポーターやゴシップ・コラムニストたちをムチでたたいて支配する場面も出てくる。これはリポーターたちが思っている以上にリアーナ自身が自分のイメージをコントロールしている暗示なのだ。
7位 フィオーナ・アップル「クリミナル」
地下室での何気ない集まりが熱を帯びた絡み合いに変化する1997年のフィオーナ・アップルの「クリミナル」は、1995年にカルヴァン・クラインが発表して物議を呼んだ広告キャンペーンのアマチュア・ポルノ的映像をさらにエロチックにしている。部分照明が当てられたもつれた身体は、後悔の念に取り憑かれている曲の雰囲気にマッチしている。(不快感を助長する照明について、監督のマーク・ロマネックは、彼がカメラに安物のハロゲン・ランプをつけた結果だとニューヨーク・タイムズ紙に語っている。「それが何故か上手く行った」と。これが奏功して「クリミナル」は1998年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで最優秀撮影賞を受賞した。)
6位 ディアンジェロ「Untitled (How Does it Feel)」
ディアンジェロの2000年の傑作アルバム『ブードゥー(Voodoo)』収録の「Untitled (How Does it Feel)」は、もうこれ以上辛抱できないディアンジェロが誘っている曲だ。どんなビデオを作っていても、セクシーさは避けられなかっただろう。ゆっくりと熱を帯びる誘惑は、マーヴィン・ゲイとアル・グリーンからのインスピレーションをディアンジェロのスタイルに焼き直している。シングルショットで撮影されたこのクリップで、ディアンジェロが身につけているのは十字架のネックレスのみ。徐々に上半身を映し出す大胆なショットになると、見る者の思考は完全に停止してしまう。「ディアンジェロは自分が愛している女性と親密な関係になることを歌っている」と、スター・ジョンズが2000年にニューヨーク・タイムズ紙に語っている。「このビデオが声と身体という非常にシンプルなものなのは、愛する者同士が親密な関係を持っているときに存在するものがそれだから。灯りをつけてやっと自分の恋人の姿が見えるから」と。
5位 ジャネット・ジャクソン「Any Time, Any Place」
ジャネット・ジャクソンのファンタジーが1994年の「Any Time, Any Place」のビデオで実現した。とはいえ、歌詞本来の「野外で愛を交わす」アイデアはビデオの中ではインドアになっている。ジャネットと向かいの部屋に住む男性は、イチゴを使ったり、シャワーを浴びたりしながら、気分次第で行うエロティックなプレイを約束をしている。このクリップはセーフセックスは楽しいものだとう広告にもなっていて、ジャクソンの最後のイメージがフェイドアウトしたあとで「いつでも、どこでも……責任を持って」の文字が現れる。
4位 ブリトニー・スピアーズ「Im a Slave 4 U」
2001年にブリトニー・スピアーズは英オブザーバー紙に「違うことをするチャレンジを続けると、人はそれに気付いて、気に入ってくれるの。だから、変化するのは私次第ってこと」と言っている。「Im a Slave 4 U」は、2001年のアルバム「Britney」からのファースト・シングルで、当時人気上昇中のネプチューンズがプロデュースしたレイザーガン的ポップ・ファンク曲で、このビデオはスピアーズの挑戦への覚悟を示しているだろう。サウナのようなダンスクラブで、汗まみれのスピアーズもバックダンサーも、シンプルなビートの虜になって踊っている。
3位 マドンナ「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」
フレンチ・シネマにオマージュを捧げたこの4分間のビデオは、ポップ・チャートを一気に駆け上がったアンニュイな聖歌「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」のモノクロのクリップだ。絵画のような描写で、白日夢的なボンデージ・プレイ、グループセックスが展開される。「コンセプトは一切なかったが、とにかくマドンナが疲れてホテルに戻ってきて、ホテルを出るときには気力も体力も人生もすべて復活しているというイメージだけはあった」と、監督のジャン=バプティスト・モンディーノがローリングストーン誌にかつて語っていた。1990年のマドンナの元気の源があまりにも風変わりなため、MTVはこのビデオの放送を拒否し、ABCのニュース番組「ナイトライン」でマドンナが経緯を説明することになり、ビデオ・シングルという概念が復活することになった。物議が沸き起こったとき、マドンナはニューヨーク・タイムズ紙に「映画館に行って人が粉々に吹き飛ぶ残忍な映画は見るくせに、女同士がキスしていたり、男同士が抱き合っているのは見たくないわけ? あのビデオはロマンチックで、愛情にあふれているし、ユーモアだって入っていると思うわ」と語っていた。
2位 プリンス「Kiss」
多彩な顔を持つ変人プリンスは、彼のビデオだけでセクシー・ビデオ・リストを作れるだろう。マドンナ同様、プリンスも”限界に挑戦ビデオ”を次から次へと制作し、MTVの基準や規則がそれに合わせてどんどん変わることになった。特に1986年のファンキーな誘惑ビデオ「Kiss」は突出している。このビデオでプリンスは踊りを披露し、腹筋を露わにしているのだ。ギタリストのウェンディ・メルヴォインとダンサーのモニーク・マニングも登場するが、彼女たちへの信頼感がプリンスのエロティック・パワーを刺激したのだろう。(2017年9月26日、モーラ・ジョンストン評)
1位 クリス・アイザック「Wicked Game」
クリス・アイザックの1990年のバラッド曲のために作られたMVを構成する要素はとてもシンプルだ。男、女、ビーチの3つだけ。しかし、監督のハーブ・リッツによると、歴代で最もホットなこのビデオに加えられた一番の要素はモノクロ映像らしい。モノクロの世界でアイザックとスーパーモデルのヘレナ・クリステンセンは互いを誘惑するように波打ち際で転がり(クリステンセンはトップレスだが、カメラアングルと編集でヌードを上手く処理する戦略がとられている)、60年代で一番傷ついたポップに触発されたギターラインでアイザックがため息をつく。アイザックとクリステンセンが見せた抑えた情熱は恋愛の脆さを際立たせ、コンセプトのシンプルさゆえに色褪せることなく、今でも目を見張らせる作品に仕上がっている。
