露呈した個のクオリティ不足…宇津木瑠美がなでしこJの危機的状況を語る
なでしこジャパンこと日本女子代表は12月15日、E-1選手権の第3戦で北朝鮮に敗れ、惜しくも優勝を逃した。互いに中国と韓国から連勝しており、事実上の決勝戦となった北朝鮮との試合。0-2というスコア以上に、両者の間には明らかな力量差があった。
「厳しい試合になることはチーム全員が分かっていた」
この試合でキャプテンマークを巻き、左SBでフル出場した宇津木瑠美がそう振り返る。その言葉通り、チームは相当な危機感を持ってゲームに臨んだはずだ。
2戦を終えた時点で勝点6で並んでいたものの、日本は北朝鮮より得失点差で1ポイント劣っていた。つまり優勝するためには勝利が絶対条件だった。
「“結果第一”で臨んだ。引き分けでは優勝できない。勝点を獲りに行きたいという強い気持ちがあった」(宇津木)
たしかに前半は丁寧な試合運びで互角の戦いを披露し、スコアレスドローで折り返した。だが後半の体たらくは予想外だった。ギアを上げた相手に65分に先制点を決められると、その後は圧力に屈して攻守に精彩を欠き、まさに成す術なし。終盤に追加点を奪われ、敗北を喫したのだ。
「この結果がすべて。これが今、自分たちの現状。個人がどれだけ足りてないのかの表われだったのかなと。代表として、自分たちに足りないものを本当にもっと真摯になって考えなきゃいけない。そういうタイミング。遅いと言えば遅いんですけど、一人ひとりが個人として成長するためには意味のある試合だったのかなと思います」
宇津木が言うように、目を覚ますには十分な完敗だったに違いない。参加23人の平均年齢が21.0歳という若き北朝鮮のエネルギッシュなプレッシングに晒され、球際で後手に回ると、みるみるうちにリズムを崩していった。個々の力量不足を露呈したのである。
今大会のなでしこジャパンにおいて、116試合の阪口夢穂に次いで2番目のキャップ数(103試合)を誇る経験豊富な宇津木。彼女にとってもまた、進化の必要性を感じた試合だった。
「個人的にアジアの相手と試合をやるのは、久しぶりだった。もしかしたら自分は欧米の選手とやることに慣れすぎていたのかもしれない。なでしこの苦手な欧米対策は何年もかけてやってきた。けれど、最後のところで勝ち切る強さ、90分を走り抜けることなどアジアの選手のメンタリティには凄いものがある。そういう刺激を受けた」
アメリカのシアトル・レインに所属する宇津木は、今大会で唯一の海外組。日常的に欧米人を相手にしている一方で、アジアの国を相手にしたのは、2014年5月のアジアカップ以来だった。
ワールドカップ本大会に駒を進めるためには当然、アジアでの予選を突破する必要がある。その意味では今回、宇津木がアジアの戦いを久しぶりに経験し、感覚を取り戻せたことは大きかったのかもしれない。
2019年フランス・ワールドカップの出場権を懸けた来年4月のアジアカップで、その真価が改めて問われそうだ。
【なでしこPHOTO】北朝鮮に攻守で圧倒され、3大会ぶりの優勝逃す…
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWeb)
