ノーベル賞受賞 大隅 良典氏の「オートファジー」の活用が、なぜ注目されているの?

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先日、2016年のノーベル賞受賞者が発表され、日本人の大隈氏が生理学・医学賞を受賞した。
日本人研究者は、2014年から3年連続でノーベル賞を獲得している。
・2014年 物理学賞 青色ダイオードの発明
赤崎勇(あかさき・いさむ) 名城大終身教授
 天野浩(あまの・ひろし)名古屋大教授
 中村修二(なかむら・しゅうじ)氏 米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授

・2015年 物理学賞 ニュートリノ振動の発見
梶田隆章(かじた・たかあき)氏 東京大教授

・2015年生理学・医学賞 感染症に関する発見
大村智(おおむら・さとし)氏 北里大特別栄誉教授

・2016年 生理学・医学賞 オートファジーの仕組みを解明
 大隅 良典 (おおすみ・よしのり)氏 東京工業大学栄誉教授

といった具合だ。

ダイオードや、ニュートリノは聞いたことがあるが、「オートファジーって何?」という人は多だろう。
それもそのはず、この単語を耳にするようになったのは近年だからなのだ。

●細胞内でたんぱく質を分解
オートファジーというのは、
・オート(自己)
・ファジー(食べる)
という意味のギリシャ語で構成されている。

簡単に言うと、「細胞が自分を食べる」というような意味となりそうだ。

しかし、それだけではない。

・不要となったたんぱく質を分解
・たんぱく質の材料を構成

という2つの大きな役割があるそうだ。

極めて簡単に言うと細胞内で、筋肉や体を作るために必要な「たんぱく質」のリサイクルが行われているようなものだ。

このオートファジーは、医学界に大きな影響を与えるようになると見られおり、注目度が近年になって上がっている。

●ガンの治療にも役立つ可能性がある?
細胞内のリサイクルシステムとも言える「オートファジー」。
それを抑制することで、
・細胞内の不要なたんぱく質を分解させない
・必要な栄養を補給させない
という効果が得られるそうだ。

そのため、栄養補給が行われるとなかなか減らせないガン細胞の抑制にも効果があるのではないかと期待されているのだ。
海外での試験では、特定のガンが小さくなったという報告もあるそうだ。

また、逆に「オートファジー」を促進することで、細胞を活性化する効果も期待できる。
こちらは細胞を増やすよう制御することで、アルツハイマーなど症状の改善に役立つそうだ。

細胞の「抑制」と「促進」を促すことができるかもしれない「オートファジー」。
これからの発展にぜひ期待したいところだ。


布施 繁樹