学生の窓口編集部

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夏の高校野球を舞台にした物語は努力と友情の熱いストーリーが魅力です。夢を追いかけ汗を飛び散らせて戦う高校球児の姿に心を打たれ、高校生ならではの青春に感動できる野球漫画を厳選し、ランキング形式でご紹介します。

■第10位:【キャプテン】ちばあきお

気弱な主人公の谷口タカオは、野球の名門校である青葉学院の野球部に属していました。転校先の墨谷二中野球部にて、名門青葉学院からきたことにより皆の注目を浴びるも、実は谷口はずっと補欠選手だったのです。しかし、タカオは本当のことを言えずにそれにふさわしい力をつけようと前向きに努力します。おとなしい性格ながら真面目で頑固なため、ひたすら努力を続けることでやがて周りを引っ張っていくキャプテンへと変貌していきます。自分だけでなく部員たちにも努力の大切さを伝え続け、チームを導いていくストーリーです。

立場と責任を重んじる谷口のガッツはくじけそうになっている部員すらも引き上げる力を持ち、自らが率先してやってみせる真のリーダーの姿に心を打たれます。あのイチローも小学生のときこの作品に夢中になっていたとか。ドカベンなどに見られるような魔球やカッコイイ天才選手も出てこない地味な漫画だけに、主人公の葛藤がリアルに伝わってきます。地味な野球部員によって奇跡が引き起こされるラストは、涙無しには読めないほどの感動を与えてくれます。人間の在り方すら問われているかのような雰囲気を醸し出している本作は、野球好き以外にもぜひおすすめしたい作品です。

作者:ちばあきお
出版社:集英社
掲載誌:月刊少年ジャンプ

■第9位:【錻力のアーチスト】細川雅巳

中学時代は圧倒的な才能を持つ自分と他のチームメイトとの間に壁を作り、自分1人の活躍だけに目を向けていた主人公の清作雄。大事な試合で故障して名門高校へと進む夢は散ってしまいます。失意のうちに公立高校へ進学した清作の前に現れたのは、清作をも圧倒する力を持つ2年生4番バッターの弐織敏。清作は新しく見つけた輝くような目標に向かって再始動。やがて野球におけるチームメイトの大切さにも気づき、清作は人間的にも大きく成長していきます。

「高校生が言ってるんですよね?」と突っ込みたくなるほど華麗なセリフ回しが特徴の本作。絵に迫力があり試合シーンも見ごたえアリです。余計な恋愛ストーリーを挟まず、とにかく野球に対する情熱が溢れています。中学時代を描いた登場シーンでは嫌なやつにしか見えない清作が、周りに目を向けるようになってからは一皮剥けて好感のもてるキャラクターになります。清作は真剣なのに笑えるシーンがちらほらとあってそれがいい息抜きになります。清作が目標とする弐織以外にも之路や柊などの個性を持ったキャラクターが勢ぞろい。いい意味で古き良きスポ根の精神ががっつり味わえる作品です。

作者:細川 雅巳
出版社:秋田書店
掲載誌:週刊少年チャンピオン

■第8位:【ROOKIES】森田まさのり

熱血教師の川藤は不祥事により退職してから、二子玉川学園へと呼び寄せられます。校長が企むのは同じく不祥事を起こした不良の巣窟である野球部の面々を暴力によってねじ伏せて廃部に追い込むことだったのです。安仁屋をはじめとする野球部の不良たちの反発は半端ではありませんが、やがて川藤の熱意に押されるように野球に熱中していくようになります。怒りを抑え野球に打ち込む不良球児たちが甲子園を目指す風変りな青春ストーリーです。

市原隼人主演でドラマ化された「ROOKIES」。不良たちは不良のままなんですが、全員が川藤により大事なものを取り戻していきます。川藤が赴任して早々に甲子園を諦め退学届を出した小林の、野球部だけは守りたかったという思いを吐露するエピソードはいきなりの感動シーンです。何より感動するのは部に戻った最後の1人、新庄がようやく心を開くシーン。少し情けないようにみえて実は人情に厚く力強い川藤が身体ごとぶつかっていくからこそ、少年たちも自分と向き合えるんです。それぞれが悩みを抱え、純粋な部分を多く持った不良たちと熱血教師との熱いバトルが何よりの見どころ。川藤のような教師が実際にいてくれれば、今の学校も良くなるのにと思わせられます。

作者:森田まさのり
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ

■第7位:【4P田中くん】原作:七三太郎 作画:川三番地

田中球児はちょっとした手違いで高校野球の名門、私立栄興学園野球部に入部してしまいました。鳴物入りで入部した田中くんでしたが、実は同姓同名の人違いで、おまけに運動オンチ。監督は青森から出てきた少年に今さら人違いでしたと言うわけにもいかず、天才佐竹と寮の同室にすることで落ち込ませて、自ら帰りたくなるように仕向けます。しかし前向きで底抜けに明るく自己肯定のカタマリのような田中くんは特別に組まれた厳しい訓練メニューにもめげません。どんどん野球のやり方を吸収し、ついにその才能の片りんを見せ始めます。

田中くんは根性がある反面、生意気でわがままでもあります。読者も若干イラっとするほど、監督や先輩にも思ったことをそのまま口にしてしまいます。しかし、逆に繊細すぎる佐竹はその田中くんの図々しさから自分に自信を持つことを学ぶ結果になります。また、父親に言われた「お前には1%の才能しかないから99%の努力をしろ」という言葉通りに誰よりも懸命に努力する姿は圧巻です。田中くんを追い出そうと画策していた監督すらも、田中くんの野球センスに気づき、自らの指示よりも田中くんの直感を信じる場面もあります。何もないところから努力でのし上がっていく田中くんから目が離せません。

原作:七三太郎 作画:川三番地
出版社:秋田書店
掲載誌:週刊少年チャンピオン

■第6位:【タッチ】あだち充

一卵性双生児の達也と和也は全く違うタイプ。達也がいい加減で適当な生活を送る一方、和也は何事にも真面目に取り組む性格です。隣に住む2人の幼馴染で、恋の三角関係のヒロインでもあるのが浅倉南。甲子園に連れていってもらうという南の夢を叶えるために、和也は高校野球のエースとして目覚ましい活躍をしていました。しかし突然の事故によりその命を奪われてしまいます。双子の弟の後を継いで野球を始める達也。はじめは反発の強かった野球部にも受け入れられ、達也は南と和也の夢のためにエースとなります。

和也の方がいい男だと思うんですけど、南ちゃんは最初から達也のことが好きですよね。でも3人の関係を崩したくなくて幼馴染の関係に甘んじていたところで和也を失ってしまって、2人とももう素直に気持ちを告げられない……不器用さの分だけ切なさ倍増の青春ストーリー。「タッチ」のアニメの主題歌である岩崎良美が歌う「タッチ」は、今でもカラオケで人気のある曲です。同じく今なお名作漫画として作品名のあがる本作は、野球好きは言わずもがな、たとえ野球に興味がなくても日本人なら1度は読んでおきたいところです。

作者:あだち充
出版社:小学館
掲載誌:週刊少年サンデー

■第5位:【おおきく振りかぶって】ひぐちアサ

主人公、三橋廉は中学時代は祖父の経営する学校で投手のポジションにしがみついて試合に負け続け、チームメイトから実力もないのに贔屓でピッチャーができていると疎まれていました。高校は県外へ出ますが、不遇な中学時代を過ごした三橋は自信を失っており、見学で引き込まれた野球部での初顔合わせのときにはオドオドとしています。しかし三島の制球力と癖玉に気づいた捕手の阿部隆也によって、卑屈ながらもピッチャーとして成長していきます。阿部もはじめは自分の統制下に置けると思い、三橋を高校野球の3年間思い通りに動かすつもりでいましたが、彼自身三島とバッテリーを組んで過ごす中で変化していきます。

何と言っても主人公である三島廉のキャラクターが新しい、一風変わった熱血野球漫画。たいていスポーツ漫画の主人公は最初から才能に溢れているか、実力はないうちから自信だけはある明るい人物が多い中、三島は卑屈で臆病といった性格をしています。その三島が監督とチームメイトに恵まれて友情を育んでいく様子には感動を覚えます。甘夏を握力で握りつぶせるほど豪快な女性監督に加えて、力強くも幼いチームメイトたちも個性的で嫌味のない人物ばかり。試合や技術面にばかり執着したストーリーとは一線を画す、高校の部活動の爽やかさが味わえる作品です。

作者:ひぐちアサ
出版社: 講談社
掲載誌:月刊アフタヌーン

■第4位:【ボールミーツガール】

女子だからという理由だけで実力があるのに甲子園を目指せず、野球を諦めた少女、水穂初芽。バッティング場で初芽に助けられた高校の数学教師、藍上彩葉は初芽を甲子園に誘います。同じく彩葉が誘ったのは、河原で抜群のコントロールで小石を空き缶に投げ入れていた大軒源弥。実は源弥と初芽は少年野球でチームメイトでした。過去に自分の球を初芽に思い切り打たれて以来野球から遠ざかっていた源弥ですが、初芽の気持ちを知ってからは彩葉と協力して、初芽を選手として甲子園に連れて行くための部活を発足させようと奮闘します。初芽の魅力に吸い寄せられた男子高校生たちによる全く新しいベースボールストーリー。

いきなり初芽の凄さが分かるのが、バッティングセンターで腰を抜かした彩葉に向かって飛んでくるボールを自らが投げたボールで弾き飛ばすシーン。かわいらしい外見の初芽ですが実力は超高校級です。みんなが彼女を甲子園に連れて行くためだけに高校の3年間を賭けてくれることに感動して、こっそりひとりで泣く場面も。コーチのときは厳しく、普段は控えめでおとなしい初芽の魅力がこの作品最大の見所と言えます。もっと面白くなりそうだったのに、3巻で終わってしまったのが悔やまれます。

作者:綱本将也 作画:たまきちひろ
出版社:集英社
掲載誌:ジャンプ改

■第3位:【H2】あだち充

主人公の国見比呂(くにみひろ)と橘英雄(たちばなひでお)、ヒーローと英雄という2人の対決が熱い高校野球漫画。比呂は中学ではそれなりに活躍していましたが、肘が故障していると医師から止められ野球を断念します。しかしその後、それが誤診だったことが発覚し、再び野球を始めることに。中学では一緒だった天才スラッガーの英雄とは違う高校で凌ぎを削る間柄になります。橘が付き合っているひかりは比呂の幼馴染であり、比呂が密かに心寄せる相手でした。ひかりの方も成長した比呂に複雑な思いを抱いていて、比呂・ひかり・英雄の3人の関係も少しずつ変化していきます。

「タッチ」の作者、あだち充による野球漫画です。野球と恋を絡めたストーリーや、主人公がひょうひょうとした人物であるところ、ヒロインが学校で憧れの美少女というところなどは「タッチ」によく似ています。ただの熱血野球漫画とは違って、相変わらず思い切り感情を出す漫画ではないというのに奥底にあるライバル心という熱がよく見える、あだち充独特の面白さを発揮しています。

作者:あだち充
出版社:小学館
掲載誌:週刊少年サンデー

■第2位:【MAJOR】満田拓也

5歳の茂野吾郎は尊敬するプロ野球選手の父親である本田茂治を、デッドボールの際に転倒したのが原因の頭蓋内血腫により失ってしまいます。身よりのなくなった吾郎は、普段から面倒を見てくれていた幼稚園の先生だった星野桃子に引き取られます。吾郎はやがて三船リトルに入団し、見学に行った先の横浜リトルで生涯の友となる佐藤寿也と再会。その後少年野球で肩を壊し右投げから左投げに転向します。その後も降りかかるさまざまな困難を乗り越えて戦う吾郎の野球人生を描き切った名作です。

「MAJOR」は全78巻にも及び、さらに吾郎の息子である茂野大吾を主人公とした「MAJOR 2nd」まで始まっています。少し乱暴だけど根がまっすぐで明るい主人公の吾郎。幼い頃父親を失ったとき、病院に顔を出したギブソンに対して「おとさんを返して」と泣きながらぶつかっていくシーンは思わず涙を誘われます。どんな困難にも立ち向かう主人公である吾郎が魅力的なのは当然のことですが、吾郎の親友となる冷静で優しい寿也の人格も素晴らしく、2人の熱い友情はこのマンガの第二の見どころと言っていいのではないでしょうか。

作者:満田拓也
出版社:小学館
掲載誌:週刊少年サンデー

■第1位:【ダイヤのA】寺嶋裕二

中学最後の試合に負けて闘魂注入しようと全員にビンタを張る熱い主人公、沢村栄純(さわむらえいじゅん)は東京の名門、青道高校野球部からスカウトされます。全国レベルの練習風景を見学に来た沢村は、青道の救世主と呼ばれる天才捕手・御幸一也(みゆきかずや)の助けもあって、高校通算42本塁打を誇る怪物でドラフト候補生でもある東清国を打ち取ってしまいます。しかし入学後は思ったようにいかず、エースポジションを狙うライバル・降谷暁(ふるやさとる)に一軍入りで先を越されてしまいます。

アニメ化され、漫画は第一部が終わったあと第二部が開始されるなど人気ぶりがうかがえる本作。天才捕手・御幸や怪物ルーキー・降谷など個性的な選手のプレーが目立つ中、序盤ではなかなか活躍の場がない沢村の力がどこで花開くかウズウズします。寮で暮らす選手たちの先輩後輩の人間関係も詳しく描かれているところが、ストーリーに厚みを与えています。万人受けしやすい絵柄でルールの解説もわかりやすいので、野球に詳しくない人にも入りやすい漫画です。

作者:寺嶋裕二
出版社:講談社
掲載誌:週刊少年マガジン

同じように何かに打ち込んだ高校時代を送った人も、ここまで真剣に部活動には取り組まなかった人も、全ての人の心を掴む球児たちの物語。まるで自分がその場にいるような臨場感を味わうことのできる、胸の熱くなる作品ばかりです!