タンパク質不足は健康にも美容にもNG! 管理栄養士に聞く、手軽に安くて低カロリーなタンパク質をとる方法
ダイエットをするにもカロリー制限に徹するのではなく、内臓や筋肉、皮ふ、髪の成分となるタンパク質を食べる必要があることが知られています。そこで、一人暮らしで自炊は苦手だし、市販のサプリメントは高価だし……と悩む人に向けて、糖尿病クリニックで患者さんの食事指導にあたる管理栄養士の西山和子さんに、「安くて自炊しやすくてタンパク質が豊富な食事はないですか」と尋ねてみました。
■タンパク質が不足すると基礎代謝が下がる
まずは、タンパク質の役割について、西山さんは次のように説明します。
「肉や魚などの栄養成分であるタンパク質は、糖質、脂質と並ぶ三大栄養素の一つです。タンパク質を食べると、消化の過程でアミノ酸にまで分解され、小腸から体内に吸収されます。血液に乗っていったん肝臓に蓄えられ、体に必要なタンパク質成分に作り変えられます。その後、肝臓から体の各組織に運ばれて、筋肉や内臓、血管、皮ふ、髪、爪、それにホルモンや酵素などの体の大部分の器官の主成分となります」
では、タンパク質が不足すると体はどうなるのでしょうか。
「体を構成する栄養素が不足するので、筋肉の量が減る、体力が低下する、疲れやすくなる、体がたるむ、髪のコシ・ツヤがなくなって抜ける、肌が荒れる、爪がもろくなる、骨そしょう症になりやすくなるなどの悪影響が出ます。また、筋肉が減ると基礎代謝が下がるので、運動をしても脂肪が燃焼しにくくなってダイエットの効果は弱まります」と西山さん。
それほどに影響があるとは……。タンパク質不足は健康にも美容にもダメージを与えるということです。
■ローストビーフ、鶏ササミ、卵、イカ、タコ、エビ
次に、タンパク質が多く含まれる食品を教えてください。
「多くの食品に含まれますが、特にタンパク質が豊富なのは肉類や魚介類、卵、大豆製品、乳製品です。肉や魚などの動物性タンパク質のほうが、植物性タンパク質より良質のタンパク質の含有量は多い傾向にあります」(西山さん)
ただ、大豆製品などの植物性タンパク質の多い食品のほうがカロリーは低いようです。
「たしかに、植物性タンパク質の多い食品は動物性に比べるとカロリーは低いのですが、アミノ酸に分解されたとき、動物性より筋肉になりにくいのです」
ヒトにとって1日に必要なタンパク質の量はどのぐらいなのでしょうか。
「厚生労働省が5年に1度発表する『日本人の食事摂取基準2015年版』では、タンパク質の推奨量が18歳以上の成人女性で1日50g、男性で1日60gとなっています。成長期の12歳〜18歳やスポーツをする、体を使う業種の人は運動の質や量に応じて、多めに必要になります」
「高タンパクで低カロリー」な素材やレシピはあるのでしょうか。
「次の数字をチェックしてください。イカ、タコ、エビ、ローストビーフ、卵がおすすめです」(西山さん)
<「日本食品標準成分表 2010」より、食べられる部分100gあたりのカロリー(kcal)・タンパク質含有量(g)>
・和牛肩ロース(脂身つき・生) 411 kcal・13.8g
・和牛ヒレ(生) 223 kcal・19.1g
・ローストビーフ 196 kcal・21.7g
・豚肩ロース(脂身つき・生) 253 kcal・17.1g
・ベーコン 196 kcal・16.5g
・鶏むね肉(皮つき・生) 244 kcal・19.5g
・鶏ササミ(生) 114 kcal・23.0g
・卵(全卵) 151 kcal・12.3g
・卵(ゆで・白身のみ) 50 kcal・11.3g
・イカ(するめイカ・水煮・内臓除く) 103 kcal・21.2g
・乾燥するめイカ 334 kcal・69.2g
・タコ(まだこ・ゆで・内臓除く) 99 kcal・21.7g
・エビ(ブラックタイガー・生・無頭・殻つき) 82 kcal・18.4g
・サバ(生) 202 kcal・20.7g
・アジ(生 121 kcal・20.7g
・木綿豆腐 72 kcal・6.6 g
・納豆 200 kcal・16.5g
・牛乳 67 kcal・3.3g
・プロセスチーズ 339 kcal・22.7g
■学生や単身者には、低価格でさっと作れるイカ料理がおすすめ
ここで西山さんに、高タンパク・低カロリーの簡単レシピを一つ挙げてもらいました。
「イカを使った料理は、学生や一人暮らしの人にとって、超低カロリーな上に価格が安い、自炊が手軽、噛(か)みごたえがあって『よく噛むダイエット』にもなります。
『イカのしょうゆ焼き・わさび風味』はどうでしょう。イカを1匹買って内臓と固い部分を取り、キッチンハサミでひと口大に切って、フライパンで炒めます。火が通ったら、『しょうゆ小さじ1杯弱、みりん大さじ1杯、わさびチューブ1センチの合わせ調味料』を回しかけてできあがりです(2人分)。約10分で仕上がります。イカ1人分は約100gで、この料理のカロリーは136kcal、タンパク質は28gになります。
ほかに、イカの刺身、丸焼きなどもお勧めですが、唐揚げやマヨネーズを付けると高カロリーになるので控えてください。
イカは、肝臓の働きを高めるタウリンという成分も多く含まれています。ただし、食べ過ぎると体質によっては、痛風の危険性があるので注意しましょう」
イカがこれほど使えるとは、意外でした。さっそく自炊をしたところ、あっという間にできあがり、主菜にもおつまみにもなる一品となりました。ダイエット中は低カロリーで高タンパクな素材を意識し、タンパク質不足にならないように心がけたいものです。
※撮影/鈴木康浩 『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(著・福田正博 監修・西山和子 洋泉社より)
(品川緑/ユンブル)
取材協力・監修 西山和子氏。糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。
