「守備も僕の良さ」。マインツの武器になってきた武藤嘉紀
2連勝のマインツと、ここまで1勝1分1敗と調子が出ないシャルケの一戦。立ち上がりから主導権を握ったのはホームのシャルケだった。
試合開始4分にフンテラールがPKを外し、嫌なムードが漂ったが、それでも攻め込み、多くのチャンスを作り続けた。37分に右CKからCBマティプがヘディングで押し込み先制。前半、残り時間わずかのところで追いつかれて折り返すが、61分、相手ディフェンダーのミスを逃さずフンテラールが決めて勝ち越し。試合は2−1でシャルケが白星を収めた。
だが、試合を通して印象的だったのは、マインツの意思疎通の取れた戦いぶりだった。「今日は悪い試合ではなかった」とシュミット監督は語る。主導権を握るタイプのサッカーではないのだが、押し込まれても慌てず、しっかりと守る。奪ってからはカウンターが主体となるが、その切り替えもスムーズで、シーズン前からのトライが形になってきた。
中でもこの日、2トップをマリと組んだ武藤嘉紀のプレーは堂々たるものだった。
32分、シャルケのマティプが足元でのボール扱いに時間がかかっているとみるやプレスをかけて奪い、そのまま速いクロスをゴール前に送った。
42分、同点ゴールにつながったシーン。中盤のラツァからのスルーパスに抜け出すと、ゴールライン際で追いつき折り返す。走り込んだクレメンスのシュートは右ポストに弾かれるが、反応したマリが飛び出してきたGKを尻目に落ち着いてシュート。「打ってもよかったんだけど......」と武藤は振り返ったが、味方との距離感、関係性の良さが光る得点だった。
武藤は「フォワードで出ているからには得点を」と語る一方で「守備も僕の良さ」と言ってはばからない。新加入選手として完全にフィットしただけでなく、今はマインツの武器として機能している。
一方、シャルケは勝ちこそしたものの、今週始まるヨーロッパリーグに向けて厳しい内容だった。攻撃では、ドラクスラーとファルファンの抜けた穴が大きい。両翼でスピードを持ってゴールに向かうことのできるドリブラーがいなくなったことで、迫力はかなり奪われた。
内田篤人が長期離脱中ということもあり、新加入のカイサラが右SBでプレーしているが、こちらは可もなく不可もなくといった印象だ。守備面で穴をあけることはないが、ファルファンと内田のホットラインのように、前線のチュポモティングと縦関係を築けているわけではない。結局のところ、個人の能力でサッカーをする昨季までのシャルケから大きな進歩はない。
最終ラインも再三裏を取られるなど不安定。この日の試合はGKフェアマンに助けられた感も強い。ブライテンライター監督は「前半30分までに多くのチャンスがあり、前半で決めなくてはいけない試合だった」と、振り返った。
それでも勝ちきったことで、シャルケは5位に浮上。結果が出ることで内容も改善されていくのか。一方、内容の良かったマインツは10位に順位を下げた。結果に引っ張られることなく、この内容を追求し続けられるのか。長いリーグ戦はまだ始まったばかりだ。
了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko

