ロンドン五輪:メダルラッシュのカギ・体操の追い風になるもの
間もなく開幕するロンドン五輪。4年に一度の祭典、ひとつでも多くのメダルの獲得が期待されるが、獲得数でいえば、銀、銅合わせて実に37個ものメダルラッシュに沸いたアテネ五輪が記憶に新しい。このアテネ五輪で印象的だったのが、猛烈なスタートダッシュだった。
アテネでは初日に女子柔道で谷亮子が金メダル、男子柔道で野村忠宏も同じく金メダルを獲得。それぞれ連覇を飾るという幸先のいいスタートをきった。それを皮切りに2日目には競泳の北村康介が「ちょー気持ちいい」の名言とともに金メダル、そして3日目には男子体操団体が28年ぶりの団体優勝となり、日本中を沸かせた。
そしてロンドン五輪でも金メダルへの期待がかかるのが男子体操だ。特にエースの内村航平に関しては、世界のトップ選手からも金メダルが確実視されるほどの実力がある。日本選手団の流れを盛り上げる意味でも重要になってくる、男子体操の展望を読んだ。
今回もっとも金メダルが有力視されるのが、内村の個人総合。世界選手権3連覇という実績もさることながら、抜群の空中感覚、着地の安定感、そしてそれを本番で出し切る勝負強さと、体操選手としてのポテンシャルの高さには定評がある。五輪前に行われたNHK杯での「プレッシャーは感じたことがない」「期待は倍にして返す」などの頼もしい発言も、信頼していいだろう。
その内村が今大会でもっとも重視しているのが、団体での金メダル獲得だ。男子体操は大会初日に予選があり3日目に決勝を迎えるため、これは日本がメダル獲得の流れにのるためにも重要なものとなる。
団体で日本とのメダル争いが予想されるのが、中国と米国だ。中国はDスコア(難度)の高さに定評があり、特に鉄棒や平行棒で強さを見せている。一方、米国は若手選手が増え勢いを増しており、ゆか、跳馬を得意とする。
そんな中、日本の武器になるのが「総合力」。こういうと漠然としているように感じられるが、この総合力、今回の五輪では追い風になりそうなのだ。
それは今大会から採用された「5人エントリー」というルールのためだ。これまで団体には6人エントリーすることができたのだが、ロンドン五輪の団体では最大5人までのエントリーとなる。決勝ではうち3人が演技をし、その3人の得点の合計で優勝を争う。
エントリー人数が減ることによって、一人あたりが複数種目をこなす機会が増える。これは、ひとつの種目だけで特化したのではなく、総合力に長(た)けた選手の多い日本にとっては好材料となる。これに「美しい体操」と評されるEスコア(完成度、美しさ)の高い演技で、日本は勝負をかける。
さらにDスコアに関しても、内村は鉄棒でアドラーひねりから(D難度)からリューキン(F難度)の高難度の組み合わせ技などで強化を図っている。また他の選手では、内村とともに長年しのぎを削ってきた山室光史がつり輪と跳馬を得意種目としており、昨年の世界選手権ではつり輪で銅メダルを獲得。NHK杯では跳馬で16.600の高得点をたたき出した。今回が初の五輪で、チームでも最年少の加藤凌平は、ゆかでのひねり技に定評がある。まだ大学1年ながらひねりのスピードでは内村にひけをとらないほどで、その実力には内村も「あの年であのレベルはありえない」と舌を巻く。
内村はすでに、予選で跳馬に出場をしないことを表明している。これには団体のために負担を軽減させる狙いがあり、内村の団体優勝にかける思いが伝わってくる。内村の団体にかける思い、オールラウンダー育成を目指してきた日本の体操、そしてアテネで見せつけた「体操日本」の強さ。ロンドン五輪はそれらの真価が問われる大会となりそうだ。日本選手団を勢いづけるためにも、活躍に期待したい。(編集担当:藤間涼)
