中国を叩いて英国と手を組む…見えてきた「タカイチノミクス2.0」の青写真《韓国経済誌の視点》
日本銀行(BOJ)は先日、政策金利を年0.75%から1.0%に引き上げた。1995年9月以来、31年ぶりの高水準だ。
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奇しくも同じ日、高市早苗首相はイギリス・イタリア・フランスの歴訪とフランスのエビアンでの初のG7サミットを終え、帰国の途についた。
一角では日本銀行が金融政策の正常化に向けてブレーキを踏み、もう一角では総理が「経済安全保障の同盟外交」のアクセルを踏んだ。
この妙な同時性こそ、今年2月の衆議院選挙での圧勝により再信任を得た高市政権の第2期、いわゆる「タカイチノミクス2.0」の自画像だ。中国を正面から牽制し、イギリスや欧州と手を結び、国内では「責任ある積極財政」で経済成長を図る。
ただ、この3つの柱が互いを支え合うのか、それとも足を引っ張り合うのかは未知数だ。
高市政権と北京(中国政府)の関係はスタートから凍りついた。
2025年11月、高市総理は衆議院予算委員会の質疑で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と言明した。アメリカの国家情報長官室(ODNI)すら、2026年の年次脅威評価報告書でこれを「現職総理として大きな転換」と評価した。
中国はこの発言を、「一つの中国」原則を盛り込んだ1972年の日中共同声明や1978年の平和友好条約の違反と受け止めた。外交的な撤回要求はもちろん、自国民への日本旅行自粛勧告、日本産水産物の輸入禁止、台湾全域を包囲する大規模な軍事演習「正義使命-2025」へとつながった。
台湾問題で露わになった高市外交の本質しかし、高市総理は「最悪の事態を想定して具体的に答弁しただけであり、政府の従来の見解と矛盾しない」という立場を崩さなかった。
北京の「日本批判」への同調要求に公然と応じた国は多くなかった。むしろ日本は昨年12月、中国への依存度が高い中央アジア5カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)との初の首脳会議(CA+JAD)を通じて、経済協力の合意を取り付けた。
高市政権は「経済安全保障」を最優先課題に掲げており、対中強硬姿勢もこの政策の枠組みと連動している。
高市総理は2月の施政方針演説で、リスクを減らす「危機管理投資」とAI・半導体・造船などの先端技術を育成する「成長投資」を成長戦略の2大柱として提示し、AIや半導体など17の戦略分野を指定した。希少金属(レアアース)分野では、アメリカとの「投資イニシアチブ」を通じて中国への依存度を低減させる取り組みを進めている。
再編の核心的なパートナーとして高市総理が指名したのが、イギリスと欧州だ。
6月14日にロンドンで行われたキア・スターマー英国首相との首脳会談で、両首脳は経済安全保障分野の共同宣言を発表し、希少金属の備蓄協力、洋上風力や高温ガス炉(HTGR)などの先端技術、防衛協力を明文化した。
両国はすでに「強化されたグローバルな戦略的パートナー」に格上げされており、今年1월の「戦略的サイバー・パートナーシップ」共同声明や、次期戦闘機の共同開発(GCAP:日本、イギリス、イタリア)によって、安全保障と産業の結束を固めてきた。
イギリスだけではない。今年1月にはイタリアとの関係を「特別な戦略的パートナーシップ」に引き上げ、今回の歴訪でAI、量子、宇宙、半導体、洋上風力へと協力の範囲を広げた。
初のG7デビューの舞台となったフランス・エビアンのサミットでは、中東情勢を背景にエネルギー安全保障、重要鉱物のサプライチェーン強化、自由貿易と法の支配の守護を議題に挙げた。こうした外交的アプローチは、「価値を共有する国々」とサプライチェーン、技術、安全保障を一体化させ、中国をその枠外に置こうとする構想と読み取れる。
タカイチノミクス2.0の核心は「責任ある積極財政」だ。高市政権は2025年度の約18兆円の補正予算に続き、史上最大となる122兆円規模の2026年度本予算を成立させた。
ガソリン・軽油の暫定税率廃止や、2年間の期限付きでの食料品消費税ゼロといった物価対策を打ち出したが、財源の相当部分は約12兆円の新規国債発行で賄った。政府が財政のアクセルを踏む一方で、日本銀行は金利を1.0%に引き上げた。

円安を警戒する政権が今回の利上げに公然と反対しなかったことで、「財政拡張vs金融引き締め」の緊張はひとまず繕われた。
2日間にわたり日本の主要5大紙の社説を通じて分析した日本メディアの評価は、派閥や政治的スタンスを超えて一つの方向へと収束した。読売、産経、日本経済、毎日、朝日の各紙は、いずれも今回の利上げを、中東危機に端を発する原油高や1ドル=160円台の円安の中でインフレの上振れリスクに対応した「適切な決定」と評価した。
ただ、追加利上げのペースを巡っては温度差が見られた。
読売は住宅ローンや中小企業への負担を挙げ、まず影響の分析を求めた。産経は時期やペースを「柔軟に」判断すべきだとした。一方、毎日は「今回の利上げだけでは効果は限定的だ」とし、朝日と日経は日本銀行の金利水準が中立金利に達していないとして「後手に回ってはならない」と主張した。
5紙が声を揃えたのは、政府への警告だった。各紙は最近の長期金利の急騰を、高市政権の積極財政に対する市場の警戒感の表れと捉え、政府に対して財政規律の遵守と日本銀行の独立性の尊重を求めた。
韓国は「タカイチノミクス2.0」をどう捉えるべきかタカイチノミクス2.0の成否は、結局のところポリシーミックス(政策配合)の持続可能性にかかっている。
6月の利上げは始まりに過ぎず、市場や専門家は年内の追加利上げや2027年の利上げをメインシナリオと見ている。日本政府が円安防衛のために利上げを「容認」する構図が崩れる瞬間が、大きな分水嶺となるはずだ。
その波紋は、韓国にも3つのルートで及ぶとみられる。
1つ目は、日本の金利と円相場の行方だ。利上げは円高要因だが、積極財政に伴う財政持続可能性への懸念がそれを上回れば、むしろ円安が一段と進む恐れがある。その場合、自動車や鉄鋼、機械などの分野で韓国との輸出・価格競争が激化することになる。
2つ目は、サプライチェーンの再編だ。日本がイギリス、欧州、米国と「価値共有」のサプライチェーンを構築し、希少金属や半導体、素材を中国外へとシフトさせる動きは、同じ分野で競う韓国にとって、競争であると同時に協力の変数としても機能する。
3つ目は、東アジアの緊張だ。台湾や中国を巡る強硬路線が地域の安全保障コストを押し上げれば、その請求書の一部は韓国にも回ってくる。高市総理は総選挙の圧勝で強固な政治基盤を確保したものの、積極財政と金融引き締めが同時に進むマクロ環境は不確実性が高い。
日本の金利、円相場、サプライチェーン再編は韓国経済に直結するだけに、韓国としても注視せざるを得ない。
(記事提供=時事ジャーナル)
