[6.20 W杯F組第2節 日本 4-0 チュニジア モンテレイ]

 ボランチ不安説を一蹴するかのような大車輪のパフォーマンスだった。日本代表MF田中碧(リーズ)は初戦オランダ戦に出番がなく、第2戦チュニジア戦で今大会初先発初出場。それでも前半4分、持ち味のボックス内への走り込みで先制点の起点を担うと、後半24分には鮮やかな縦パスで3点目を演出し、際立つ存在感を見せた。

「それなりに緊張感はあったし、僕と(板倉)滉くんは前回出てもないのでボールを触るのにも緊張するのはもちろんW杯だからあった」。試合後、そんな思いを口にした田中だったが、試合に入るまでに時間はかからなかった。

 前半4分、FW上田綺世のポストプレーに呼応すると、猛烈なスプリントで敵陣ペナルティエリア内に侵入。「つなぎの中で綺世だったり、前の選手が落ちた時に前に出ていくのは自分の特徴」。うまくボールを引き出して左に展開すると、そこからMF中村敬斗のクロスにつながり、MF鎌田大地のゴールが生まれた。

 田中自身は「最初の1点が自分たちにとってどれだけ大きかったかは見ていても思うし、やっていても思った。相手が5-4-1で早い段階で点を取れて、無理に攻めなくていい状況になったので、そこはチームとしてすごく大きかった」「下からつなぐという意味で理想的な、右から左まで行って最後に中というシーンで点を取れてすごく良かった」とチームの機能性に焦点を当てたが、個人としてもハイクオリティーなお膳立てだった。

 さらに後半24分、最終ラインまで降りてボール保持を安定させるかと思いきや、鋭い縦パスを上田の足元にピタリ。これを上田がワンタッチでフリックしたことでMF伊東純也のゴールが生まれた。

 このシーンについても田中は「前半は相手が閉じていたのでなかなか刺せないと思いながらやっていたけど、後半は空くかなと思っていた。うまく綺世が流してくれた。綺世の素晴らしいポストプレーだなと思う」と味方を称える言葉を続けたが、MF遠藤航の離脱で人数不足が懸念されていたボランチでいかんなく持ち味を発揮した。

 注目が集まりがちな得点関与だけでなく、この日の田中は何気ない局面のデュエルでもハイレベルなところを表現していた。プレミアリーグで過ごしてきた日常への適応は紛れもなく、4年前のカタールW杯からの大きな成長だ。

「4年間やってきたものがあるので、対相手というよりは対自分と向き合って大会に挑めていると感じている。どんな相手だろうとそんなに関係ないというか、自分が自分のできることにベストを尽くせれば(相手が)どこでもできる自信がある。そこは前回からの大きな変化だと思う」

 そんな頼もしい田中ですら先発の座が安泰ではない日本代表のボランチ争い。田中は「別に何かを成し遂げたわけではない」と先を見据えることも忘れず、「ここからよりもっと総力戦になるし、今日の試合を見ていても暑さ含めてタフだなと感じる。誰が出てもチームとしていいパフォーマンスをするのが改めて重要だなと思う」とチーム一丸でのパフォーマンス継続を誓った。

(取材・文 竹内達也)