愛知県に自宅出産をサポートする2人の助産師がいます。いま、助産所や自宅でのお産の数は1%未満。その選択をした家族と、寄り添う助産師の思いに迫ります。

愛知県北名古屋市にある「すこやか助産院」は、愛知県内でも数少ない、お産ができる助産所です。

助産師歴40年の平野陽子さん(63)と娘の智子さん(37)が2人で運営していて、2000年の開院以来、500人近い赤ちゃんが誕生しました。

愛知県では年200人ほどが助産所で生まれる

娘2人を「すこやか助産院」で産んだ未夢さん(25)。

そのきっかけは…

「(最初の出産が)コロナ禍の時だった。産院だと(出産の)立ち会いが夫のみで、時間も決まっていて不安だった。立ち会い自由な所を探して、ここで生んだ」(未夢さん)

コロナ禍で知った、助産所の存在。

不安だった初めてのお産は、夫や母親に付き添ってもらい、家族みんなで乗り越えました。

「(平野さんの)腰のさすり方で、本当にすごく楽になって。ずっと付き添ってくれて、それが心強くて」(未夢さん)

助産所とは?

分娩室には家族で泊まることができ、お産は座ったり横になったり、自由な姿勢で進みます。

「『助産院まだあるの?』『そこでお産できるの?』という人は多いと思う。“絶滅危惧種”みたいに言われて寂しいし、自然なお産を守っていくなら助産院の存在は大事」(助産師・平野陽子さん)

愛知県では、年間200人ほどが助産所で生まれています。

医師が立ち会わないため、出産できるのは妊娠の経過に問題がなく、正常分娩が見通せる場合のみ。

安全対策として、緊急時に連携する医療機関も決まっているんです。

お産は「夫婦一緒に」

2月、妊婦健診に夫婦そろってやってきたのは、愛知県岩倉市に住む加藤采那さん(当時33)と夫の雅也さん(当時33)。

采那さんは、病院に勤める現役の助産師。

予定日間近。赤ちゃんは順調に育っていました。

「推定体重2929g」(平野さん)

「どのくらいの大きさで産みたいの?」(雅也さん)

「3kg」(采那さん)

「子宮口が2cmくらい開いてきている。本格的な陣痛がきたら進みやすい」(平野さん)

結婚3年目で授かった第1子。なぜ「すこやか助産院」に?

「お産の時だけじゃなく、助産院は家族みんなが集まる場所というイメージ。自分の身体の声に耳を傾けて、自由なお産ができるといいなと思って」(采那さん)

「 痛みを分け合うことはできないので、一緒に乗り越えられたらいいな」(雅也さん)

動きがあったのは、予定日から1週間後。

「痛みの間隔は変わらない?遠のいた?」(平野さん)

痛みで眠れず、助産院へ。本格的な陣痛を待っています。

「無駄に待つんじゃなくて、何かお産を進める方法がないか。エネルギーがないといけないからご飯を食べるのも大事だし、動かずにじっとするより、どんどん動いて刺激した方がいい」(平野さん)

お産の兆しはあるものの、半日が経っても本格的な陣痛が来ません。

そこで…。

「『産まれるかも』とドキドキでいる。家に帰ってリラックスして」(助産師・平野智子さん)

通院に切り替え、さらに3日経過。

采那さんは、不規則な痛みに耐え続けていました。

「(本格的な陣痛を)待っている間に赤ちゃんの元気がなくなって、お産に耐えられそうもない。だから陣痛も来ていないとすると、病院へ行かなきゃいけない。そこの見極めは誤らないように」(平野陽子さん)

「幸せのおすそわけ」

この翌日、平野さんが付き添い、提携する総合病院へ。

薬で陣痛を促し、病院で産むことが決まりました。

約4時間の陣痛に耐え、無事産まれた待望の男の子!

「やっと出てきてくれた! みんなで出会えて過ごせて幸せ」(采那さん)

翌日には助産院に戻り、産後ケアで5日間を過ごしました。

新米パパは、育休をとって奮闘!

「育休を半年とりました。この子中心に世界が回りますね」(雅也さん)

26年前、平野陽子さんが自宅で始めた助産院。

お産の時には、夫が家事や子育てを担い、専念できる環境をつくってきました。

「(助産院で)子供が産まれれば、幸せを少しおすそわけいただける。(赤ちゃんの)泣き声が聞こえるとうれしく思っちゃいます」(平野陽子さんの夫・孝行さん)

「自宅出産」もサポート

娘の智子さんは、「親子の絆を深める わらべうた」を毎月開催するなど、親子で参加できるイベントにも力を入れています。

智子さんは、6人の子育てにも奮闘中。だからこそ、こんな思いが…

「困った時に相談できるような場所や存在でありたい」(平野智子さん)

お産のサポートは、助産院以外の場所でも。

愛知県北名古屋市の社本みなみさん(28)はこの春、住み慣れた実家でのお産を望んでいました。

「すこやか助産院」は自宅出産について、車で30分以内の距離にあり、産後にママをサポートする人がいる場合に限って応じています。

平野さんは下見を兼ねて健診に。

「お腹のはりが多くなってきたかな」

ポータブルエコーで赤ちゃんの状態を確かめた後、産後に使うお手洗いや沐浴の場所が遠くないかチェックしました。

「ベビーバスが洗面台にはまれば、ご家族が沐浴させても楽かな」(平野陽子さん)

みなみさんは3年前、長男の輝空くんも自宅で出産。

「一番はリラックス、落ち着ける。実家というだけで。まっすー(NEWS・増田貴久さん)のDVDをかけるかで悩んでいます」(みなみさん)

前回は、大好きなNEWSのDVDを見ながら出産。

立ち会ったパパは…?

「(自宅出産に)多少の怖さはあったんですけど、助産師さんたちと話すなかで安心できた。出産ってきついじゃなくて、楽しんでもらえることが一番」(夫の一輝さん)

出産は突然に…

5月10日未明、みなみさんに陣痛が。

なんとお手洗いで、連絡から15分後にスピード出産。

直後に到着した平野さんが無事を確認しました。

「よくがんばった。NEWSのライブを楽しむ前に産まれちゃった」(夫・一輝さん)

母の日に産まれた、3686gのビッグな女の子。

翌朝、お兄ちゃんが起きてきました。

「妹、触っていいよ」(一輝さん)

初めて4人一緒。この日を、家族みんなが待っていました。

助産師の喜びとは

命の誕生に寄り添う2人の助産師。

「ママがやりたいって思っていることを無事にサポートできた時、幸せ・うれしいと思っていただけることが助産師としての喜びですね」(平野陽子さん)

(2026年5月28日メ~テレ「ドデスカ+」)