阿刀田高さんが薦める3冊 「読書好きと嫌いを除いた6割は……」

各界の皆さんにお薦めの本を紹介していただく特集「あなたに贈る本」は今回、作家の阿刀田高さんに3冊を選んでもらいました。
阿刀田高さんからのメッセージもともと読書の好きな人は20%。もともと読書を好きになれない人は20%。あとの60%は、これから読書に親しめば一生が楽しく有益に過ごせるのです。あなたは、どれ?
阿刀田高さんお薦めの本舟を編む三浦しをん 光文社文庫 880円
私たちの思考は言葉によって成り立つ。海のように広大な言葉の群れに分け入って意味を広く明らかにする小舟が国語辞書だ。それを編む仕事……。NHKのドラマになったが、原典は少し異なり、軽やかで深い。現在に問いかけている。
文車(ふぐるま)日記―私の古典散歩―田辺聖子 新潮文庫 737円
日本の古典文学は世界に冠たるものだ。その六十数編に触れ、ユニークな感想を網羅している。少しひねった筆致がおもしろい。文学は発表されてしまえば読者のものだ。いろいろな解釈や感想があってよいだろう。
赤毛のレドメイン家【新訳版】イーデン・フィルポッツ 武藤崇恵訳 創元推理文庫 1320円
読書には“ためになる読書”と“おもしろい読書”の2種類がある。ミステリーは後者の代表だ。これに親しむと一生が楽しい。少し長い作品だが味わいは深い。江戸川乱歩も絶賛している一大偉作だ。
お話を聞いた人阿刀田高(あとうだ・たかし)1935年、東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務の後、文筆業へ。79年に日本推理作家協会賞と直木賞を、95年に吉川英治文学賞を受ける。日本ペンクラブの15代会長を務めた。2018年には文化功労者に選ばれた。
=朝日新聞2026年6月11日掲載
お知らせ ◆特集「あなたに贈る本」は、新聞や出版、書店業界の情報紙などを発行している文化通信社(東京都千代田区神田錦町)と協力して作成しています。各界のみなさんが薦める本をまとめた「先輩の本棚」「読書のススメ」、子ども向けの絵本などを紹介した「ボクニキミニ」という同社発行の冊子から選んで、毎月第3木曜日にお届けします。著名人が本への思いなどを語るロングインタビューは随時掲載します。
本の価格は税込みです。
文化通信社は、本欄で紹介している著名人が選んだ本や絵本を並べた私設図書室「ほんのもり 駒込本家」を東京都豊島区駒込で運営しています。築65年の古民家を改装し、コーヒーを楽しみながら森の音に包まれて黙読するための空間です(100分間入れ替え制・ウェブ予約が必要)。同社が運営するオンラインコミュニティー「ほんのもり」の会員は無料または割引料金で利用できます。このコミュニティーでは、読書好きが交流するイベントや「駒込本家」で開催される読書会にも参加できます。いずれも詳細はこちらのURLでご確認ください。
