外資系に転職して給与は2倍になったが…43歳妻が駅で目撃した、大学時代からの憧れの夫の「衝撃の姿」
急性アルコール中毒の搬送が増加傾向
2026年5月22日、朝日新聞は急性アルコール中毒で搬送される人の数が、コロナ禍が明けてから増加傾向にあると報道した。東京消防庁によると、都内において急性アルコール中毒で搬送された人は2019年には1万8212人だったが、コロナ禍に入った20年は1万1291人、21年は8951人と減少するも、以降は3年連続で増え続け、2024年は1万4190人だったという。
急性アルコール中毒とは、短時間に多量のお酒を飲むことにより血中アルコール濃度が急上昇して、脳に影響を与える状態をいう。理性の喪失やおう吐、酩酊状態など段階があり、最悪死にいたることもあり、政府も注意喚起している。
限度を超えてアルコールを飲んでしまう背景というと、他者から強要を考えてしまうが、心が疲労していることも考えられる。例えば、仕事の重圧、人間関係の悩み、孤独感、将来への不安などを一時的に忘れようとして、酒に手を出し気づけば酩酊しているという状態になるのだ。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「お酒を飲みすぎ、理性を喪失して浮気をする人は少なくありません。その中には、アルコール依存症になりかけている人もおり、調査でそれがわかることもあります」という。
学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修業に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。
これまで「探偵が見た家族の肖像」として山村さんが調査した家族のことをお伝えしてきたが、この連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは、43歳の契約社員・真帆さん(仮名)だ。「夫が酩酊して朝帰りした。浮気をしているようだ」と連絡をしてきた。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。
大学時代の憧れの先輩
真帆さんから連絡があったのは、金曜日の早朝でした。緊張した声で「今、夫が帰ってきたのですが、アルコール臭いし、女性っぽい臭いもします。もう3回目なんです」と電話がかかってきたのです。
7歳の娘と10歳の息子は土曜授業があるとのことで、ふたりが登校してからすぐにカウンセリングルームに来ると言います。9時にやってきた真帆さんは、Tシャツとデニム姿でほぼノーメイク。慌てて出てきたことがわかります。「夫がまさか浮気をするとは思いませんでした」と手が震えています。背景について伺いましたが、かなり動揺しており落ち着いて話せる状態ではありません。
落ち着いていただき、まずは一問一答で話を聞くと、真帆さんと46歳の夫は結婚15年。夫は優しく家族思いで、夫婦関係も良好だったそうです。
2人の出会いは人気私大のゼミ。容姿端麗で頼れる夫はモテていましたが、地味で目立たない真帆さんをいつも気にかけてくれていたそうです。20歳の誕生日に告白されて嬉しかったこと、25歳のとき些細なケンカで一度別れ、すぐに復縁したことなどを話してくれました。
「私の28歳の誕生日に『やっぱり俺は真帆しかいない』と、プロポーズしてくれて、母校のチャペルで挙式したんです。結婚早々に建売住宅も買い、あの日からずっと幸せが続いていたのに」と泣いている。どうして変わってしまったのか、その背景について伺いました。
ヘッドハンティングで外資に転職
「きっかけは1年前の転職です。夫はそれまで国内の流通大手企業に勤務していたのですが、ヘッドハンティングされて、外資系のコンサルティング関連の企業に転職しました。夫はマネージャー職で、給料は2倍近くになりましたが、常に数値目標や業績が厳しく監視されており、未達が続けば解雇の対象になるそうで、いつも緊張状態にあったのです」
夫はITに詳しく、営業もわかる。社内でも重要な営業関連のチームを統括しており、本国からのプレッシャーもあったそうです。
「夫の異変に気付いたのは、3カ月前です。ある日、私が出勤途中にお腹が痛くなり、途中下車してトイレに行ったのですが、その駅のホームのベンチに夫がいた。なんと手にはストロング系のチューハイを持って、ボーッとしており、声をかけられない雰囲気でした。明らかに朝から飲酒していたんです」
仕事のプレッシャーなどにより、勤務前にもかかわらず、お酒を飲む人の話をよく聞きます。アルコールには中枢神経を抑制する作用があり、不安感を和らげたり、周囲からの攻撃によるダメージを鈍らせることができる。でもこれは、これは依存症の入り口でもあります。
「夫は前からお酒は好きでしたし、強いのですが、あの日から酒量はさらに増えています。それに、私も対応を間違えてしまったんですよ。夫が通勤中に酒を飲む姿があまりにもショックで、私も腫れ物を触るような態度を取ってしまった。夫のことを心配するよりも、住宅ローンの返済、子供達の学費、今の生活水準の維持など、お金が心配になり、『なんで私を不安にさせるんだ』という怒りと共に接するようになってしまったんです」
お酒をたくさん飲んで帰ってくることが増えた
真帆さんも仕事をしていますが、2人目の出産を機に、それまで勤務していたIT関連の企業を辞めていました。3年の育児期間を経て、今は大手企業の子会社の契約社員として社内システムの保全に従事しています。
「夫はすぐにキレる母親と同居する父方の祖母の板挟みになりながら育っている。だからすごく察しがいいんです。私の態度が変わったことがわかったのでしょう。家でも距離を置かれるようになりました。それと同時に、お酒をかなり飲んで帰ってくることが増えたのです」
夫はもともとお酒が強い。いくら飲んでも顔に出ないといいます。
「むしろ、お酒を飲んだ方が明るくなって口数が増える。そのことをよく知っており、昔から“ここ一番”という勝負の時は、少しお酒を口にしていました。でも、今のようになることはありませんでした」
探偵の仕事を続けていて体感しているのは、飲酒の習慣がある人の方が圧倒的に浮気をする数が多いということ。メンタル心理アドバイザーとしてこの背景が気になり調べたところ、心理学の“アルコール・マイオピア理論”に行きつきました。この理論は、アルコールで視野が狭くなり、目の前にあることや、“今この瞬間”にしか意識が向かり、不適切な性交渉のほか、酒気帯び運転や暴力などの問題行動が起こってしまう背景を、科学的に理解する枠組みとして使われているのです。
「夫はもともとそういうところがありました。お酒を飲むといつもより乱暴に私を求めてくる。子供達が起きているからと、車に移動して行ったことも1度や2度ではありません」
転職して収入が増えたのに、家に入れるお金が減った
夫は母親の不安定な感情に晒されながら育ちました。不安になるほど、受け入れてくれる人を求めてしまうのかもしれません。
「確かに、転職してから夫が求めてくる回数は増えたような気がします。あと、家に入れてくれるお金が減りました。それまで、住宅ローンの返済と光熱費、通信費は夫が払い、そのほか15万円をくれていたのですが、転職して収入が増えたにもかかわらず、渡してくれる生活費が5万円になってしまった。『一時的なもので、また戻すから』と言いますが、この状態が3カ月続いています」
3カ月前といえば、真帆さんが駅で酒を飲む夫を見かけた時期と重なります。
「言われてみればその通りです。やはり、夫は浮気をしていますよね。でもこの3カ月間で、私との性交渉の回数は増えています。別の女性と関係を持った後に、私を抱いたってこと? もう信じられない」
大粒の涙をボロボロこぼしている真帆さんには申し訳ないですが、夫が浮気をしている可能性は非常に高いと思いました。今後について聞くと「離婚は考えていません」と言います。
「2人の子供たちにとっては最高の父ですし、私も20歳の頃から一緒にいて離れることは考えられない。今の状況を変えるために、何か動き出したい。ただ、浮気をしているという確証がないと、話し合いさえできないと思うのです」
調査の目的は、夫婦関係の再構築と、安定した生活の再生。早速調べることにしました。
◇学生時代からの関係でずっと仲の良い関係があって結婚15年。大手企業から外資にヘッドハンティングされるような誇らしい夫が、朝の出勤時に駅のホームでお酒を飲んでいたら、ショックなのも当然だ。しかし大切なのは、夫がそうなってしまった原因を替えることのはず。そのためにも現状を知る必要がある。
では本当に浮気なのか。お酒の問題は解決できるのか。調査の結果は後編「大学時代から憧れだった46歳夫が出勤前駅のホームで…もう一つの顔を知った43妻の号泣と決断」にて詳しくお伝えする。
