銀座の一等地に誕生した奇跡の空間を「空中公園」に!廃止された首都高速KK線の利活用イベント「Roof Park Fes & Walk 2026」潜入レポート

首都高速KK線を知っていますか?東京中心部の高速道路網の一部として重要な役割を担い、銀座コリドー街の上や数寄屋橋交差点横を走っていた高速道路というと分かる方もいらっしゃるかもしれません。そんなKK線は、2025年4月5日に日本橋周辺の首都高地下化に伴い廃止されました。
日本屈指の大都会・銀座の一等地に生まれた元高速道路だったオープンスペースの利活用にあたっては、「Roof Park Project(ルーフパークプロジェクト)」という名称で、様々な分野の専門家などが参加できる共創プラットフォームを作り、意見が交わされることとなりました。地主である東京都とKK線を運営する東京首都高速は、こういった意見を参考にして、この場所を歩行者中心の空間へ再生し、世界から注目される観光拠点とすることを目指します。
今回の記事では、2026年4月25日・26日に行われた、かつての高速道路を歩いて“未来の歩行者空間”を体感するイベント「Roof Park Fes & Walk」の様子と、今後のKK線の展望などをお届けします。

銀座にできる新たな空間「ルーフパークプロジェクト」とは?
「Roof Park Project(ルーフパークプロジェクト)」は、首都高速KK線の廃止に伴い銀座上空にできた新たなスペースを、歩行者中心の空中公園(パブリックスペース)へ再生するプロジェクトです。
既存施設を活用した「歩行者中心の公共的空間」を整備するために、様々なジャンルの専門家が参加をする“共創プットフォーム”で議論が交わされ、それを集約する形で事業推進者へ提案を行いながら整備が進められていきます。
約2kmにわたる全区間の整備完了目標は、2030年代から2040年代とゆっくりとしたスケジュールで進められ、東京の新たな価値や魅力を創出できるような、世界に注目される観光拠点を目指すとされています。段階的に整備を進めることで、一部区間は早期の解放を目指すとされています。

このウォーカブルなまちづくりを進めるにあたり、まずは沿道の地域の様々な人々や企業などとの対話や試行等を行う「先行実証実験」が行われていくことになります。
その一環として、2026年4月25・26日には「Roof Park Fes & Walk 2026」が開催されました。
「Roof Park Fes & Walk 2026」参加レポート
都心のど真ん中にある約2kmの旧東京高速道路(KK線)を歩き、参加者が思い思いに過ごすことができる2日限りのウォーキングイベントです。2025年春に続いて、2回目の開催となります。

早朝の時間帯には、澄んだ朝の空気の中で高速道路だった空間を走るRUNイベントや、この場所で心身を整えるヨガ体験のイベントが行われ、夜には夜景を眺めながらのライブやシネマ上映が行われました。
そして昼間には、約2kmの元高速道路だったコース上を歩き、道路上での思い思いの様々な過ごし方をするウォーキングイベントが開催されました今回は、このイベントを、入り口となる京橋側(ZONE1側)から、出口となる新橋側(ZONE5)に向けての道に沿い、このイベントをレポートしていきます。

今回のイベントでは、約2kmの区間を以下のような5つのゾーンに分けて、様々なイベントが開催されました。

入口となるZONE1は、北側・京橋側に位置しています。このエリアは、スケボーやダブルダッチなどアーバンスポーツを行うアクティビティゾーンになっており。様々なスポーツ体験ができる場所になっていました。

有楽町駅前の交通会館の建物も、いつもとは異なる、高速道路上だった高架上の目線から眺めることになります。

高速道路だったころの名残が感じられる「料金所」も残っています。

こちら側の料金所跡には建物や高速料金表も残り、記念撮影の場所として活躍していました。

ZONE2にはマルシェやキッチンカーなどが集合
ZONE1に続くZONE2は、ちょうど有楽町駅に近辺に位置するエリアで、全国の物産が集まるマルシェやキッチンカーなどが集まるマーケットゾーンとして賑わいが演出されていました。

マルシェのテント内では、東京都内にある各県のサテライトショップなどが、地元の名産品を販売しています。

道路の上にはキッチンカーも出店。参加者は道路上にある休憩スペースなどで、食事を楽しめるようになっています。

このようにZONE2は、にぎわいの場所となっており、ステージも設けられていました。
ステージでのセレモニーには東京都知事も登場!KK線の未来を語る
ZONE2にあるステージでは、様々なイベントが行われましたが、オープニングセレモニーには小池百合子 東京都知事も登壇しました。

同セレモニーであいさつをした小池都知事は、「KK線は、昨年4月に車が通らなくなり、都会のど真ん中にできた奇跡の空間です。昨年、東京で開催されたデフリンピックでは、マラソンランナー達が新幹線と並走するという光景も見られました。地域の人たちと一緒になり、この歩行者中心の約2kmを、人々が集い歩き楽しむウォーカブルな空間として整備していきます。東京に来たなら、まずはKK線を目指すというような楽しい街づくりを進めていきます。」と話しました。

また、東京高速道路の加藤浩社長は、「このKK線は、ほとんどの建設費と運営費を、道路の下の多くのテナント料で賄っていたという画期的なものでした。現在は、かつての道路を壊すのではなく、そのまま再生して歩行者空間に変えていくという、今までに例のない事業を進めています。東京都の土地の上にあるという公共性の高い事業でもあるので、多くの専門家の方の意見を取り入れて進めていきたい。世界から注目される観光地にすることを目指し、全力を尽くしていきます。」と話しました。

このステージでは、セレモニーの他にも、新橋芸者衆による踊りの披露や、銀座中学校吹奏楽部の演奏など、様々なライブやトークセッションが開催されました。
ZONE3はワークショップの場やプレイグランドに
ZONE2には、道路上に絵が描けたりする場所が設けられた他、様々なワークショップが開催されていました。

子供たちを中心にしたファミリー層をはじめ、様々な年齢層の人たちが、各ワークショップに参加をして学んだり、元高速道路の上での活動を楽しんでいました。

見慣れた有楽町マリオンの建物ですが、元高速道路上からゆっくりと歩いて眺めるのは初めての体験です。

このZONE3には大道芸人がいる場所もあり、路上パフォーマンスを楽しむお客さんが集まる空間もできていました。

有楽町駅近くの大きな交差点、数寄屋橋交差点もいつもと違う少し上の視点から眺めることができました。

銀座 KK線跡に”空中”の休憩スペース、新幹線が良く見える場所も
元首都圏KK線だった道路上には、色々な形をしたベンチ・椅子などの休憩スペースも多数用意されています。自分たちのペースに合わせて、休憩をしながら、ゆっくりと楽しむことができるようになっていました。

小さな子供たちが楽しめるような遊具が置かれている場所もあり、子供連れのファミリーでも散歩を楽しむことができます。

歩き疲れた人たちは、寝そべったり座って休憩時間を過ごしています。

ZONE3の南側付近で、KK線はJRの線路に近づき左へ向かってカーブします。この先はほぼ並行して新橋側に向かって歩いていくことになります。

新橋駅の少し北にあたるこの場所には、東海道新幹線のの他に、在来線の東海道線、京浜東北線、山手線の線路が並んでいますので、複数の車両が並んで走る姿も見られます。
空や景色を楽しむZONE4
この辺りからは、ZONE4です。地図を見ると、すでに半分以上は歩いてきたかという場所です

このZONE4は、特に何かを設置せずに広い空を楽しむためのゾーンとなっており、皆ゆっくりと景色を見ながら進みます。

右はJRの線路、左はコリドー通りです。

高架の道路を歩いているので、街の様子を少し上から眺めることができます。

右側を走る列車を眺め歩いていると、新橋も近づいてきました。

カーブ付近には、景色を眺めるための台も設置されていて、走る列車の様子を多くの人が撮影していました。

台の上から後ろを振り返ると、カーブのところはこのような眺めです。

出口があるZONE5は未来体験の体験ができる場所に
最後のZONE5は、未来のXR体験や次世代モビリティ市場などができる未来体験のゾーンです。この辺りにも、キッチンカーの出店や休憩場所が並んでいます。


高速道路の時の降り口などの道路の文字標示が残ります。

このエリアにも展示や体験ができるテントが設置されていました。ここはクラフト体験ができるテントです。

道路上での小型農園、アーバンファーミングなどは、KK線上に緑を作るために役立つかもしれません。

高速道路と交差する銀座通り(中央通り)を見ると、歩行者天国になっているようです。

この辺りの道路上にも、かつての高速道路の名残の道路標識がありました。羽田方面へつながっていた道でした。

そしてこのエリアのテーマとなる次世代体験の展示として、VR体験ができるスペースが設けられていました。

近未来のモビリティの試乗には多くの人が参加してにぎわっていました。

この先を少し歩くと、いよいよこのイベントの終点です。かつてのKK線は、この辺りの新橋出口の先、汐留JCTにつながっていました。

少し戻り高架から降りて、このイベント散策は終了です。

下から見ると、高架下の店舗は今も変わらず営業を続けており、今でも高速道路として使われているような感覚です。今後はこの上が徐々に歩行者空間に生まれ変わることになります。

Roof Park Fes & Walk2026に参加をしてみて
2026年春のイベントでは、先着順有料で2日間合計で約1万人(事前の主催者見込み)参加の規模で行われました。参加者それぞれの感想などをアンケートなどを通じて集め、それらもこの新しいエリアの開発に活かしていくという事になるのでしょう。
全体を歩いてみると、何かを見て楽しむところ、体験するところ、食べるところ、休むところなどがバランスよく揃っていて、疲れることなく楽しみながら歩ける空間になっていると感じました。特に休憩をする場所がいろいろな形で設けられていたので、参加者がうまく休みながら参加できていたように思います。
ZONE5にあった未来を体験できる催しなどは、多くの人が並んで参加をしており、このように期間を限定して「ここならでは体験」ができる場所があれば、訪れてみたい人も増えそうです。

「緑に囲まれた歩行者中心の公共的空間」を目指しているこのプロジェクトですが、今回のイベントでは道路上に人工芝のマットを敷いて緑を演出している空間がほとんどでした。座ってくつろぐにはこの人工芝マットでも非常に快適なのですが、本物の緑も恋しくなりました。本物の芝生空間が設けられるのか、プランターなどでの植栽が設置されるのか、小さな農園などが並ぶのか、この緑の部分がどのようになっていくのかは、今後に注目です。

今回のイベントは春先の涼しい時期の開催でしたが、夏には涼むための場所や、日陰・木陰などが多く設置されないと、長く滞在するのもは厳しくなるかもしれません。
今回は京橋側から新橋側の2kmの区間全てを通して参加をするというイベントでしたが、実際に公園として利用されるには、数百メートルごと高架下のお店や地上、近隣の建物などと行き来ができる連絡通路が整備されることになり、短時間であっても手軽に訪れることのできる空間となるのでしょう。

また、東京都としては、この銀座という日本有数の大都会に誕生した新しい空間を、世界中から人が集まる観光地として育てていきたいという思惑があるようですので、国内だけではなく世界の人を楽しますことができるような何かを、発信していく場所としても活用されそうです。
今後も、このKK線を活用したイベントは色々と実施されそうな気がしますので、是非、ご自分の目で見て体験をしてみるのが良いかと思います。銀座にできる新しい「公共空間」の完成を、楽しみに待ちましょう。
文・写真:鎌田啓吾
旅とおでかけ 鉄道チャンネル
