自分じゃなくてもできるタスクは手放せる?「属人化」された仕事こそ集中すべきと2万人を見てきたビジネスコーチが語る理由
日々忙しく働きタスクに追われていると「時間が足りない」と叫びたくなる。そんなとき、立ち止まって考えたいのが、あなたの仕事はあなたがしなければならないのか、ということ。
ビジネスコーチの吉川ゆりさんは、「属人化された仕事」こそあなたの価値を高めるため、本当に集中すべき仕事を見極めてほしいという。
その理由を『なぜ、あなたは時間に追われているのか』(日経BP)から一部抜粋・再編集して紹介する。
本当にあなたがすべき仕事?
さて、ここで1つ、大事なことを質問させてください。
今、あなたが「しなければいけない」と思っているその仕事。それは本当に、あなたがするべき仕事なのでしょうか?
私も長く会社員として働いてきたので分かります。「これまでもやっていたから」「誰々さんが言っているから」といった理由で、本当は必要ないかもしれないのに、なぜかやらなければいけない仕事がありますよね。
あなたの専門性やミッションから見て、優先順位が低いと感じる仕事。あるいは、チーム全体の視点で見た時に、必ずしもあなたが担当する必要のない業務。
これらは、一度手放すことを検討してみませんか。なぜなら「重要かもしれないけれど、自分じゃなくてもできる仕事」は、あなたの生産性を下げてしまう可能性があるからです。
「属人化した仕事」こそ集中しよう
組織には2種類の仕事があります。「属人化された仕事」と「属人化されていない仕事」です。
「属人化」とは、仕事がある特定の人に任されている状態を指します。
例えば、重要な顧客とのやり取りや高度なデータ分析などが、社内の誰か1人の肩にかかっているような状態です。
その人が休んだ場合に重要な業務がストップしてしまうため、組織全体の効率性や持続性の観点からはリスクと見なされ、敬遠される傾向にあります。
一方で、属人化によって、任された人の専門性や創造性が高まり、その人にしかできない価値が生み出されることもあります。
あなたがその会社やチームにいる意味。それはやはり、あなたにしかできない仕事や価値があるからです。アイデア創出、プロセス作り、チームビルディング、高度なデータ分析…本当に生産性高く働きたいなら、こうした「属人化された仕事」にこそ、力を注ぐべきなのです。
ただし、いきなり「属人化された仕事」に集中しようとしても、現実には雑務やルーティン業務に追われてしまう人がほとんどでしょう。だからこそ最初の一歩は、「自分じゃなくてもできる仕事」を見極め、手放すことから始める必要があります。
例えば、チーム全員が交代で回している業務、AIで代替できる業務などは、多くの場合、属人化されていない仕事です。それらは思い切って「やめる」「省力化する」ことをおすすめします。そうして生まれた時間を、より価値の高い仕事に振り分けるのです。
自分がいなければ…は思い込み
私自身もそうでしたし、コーチングでお会いするお客様にも「自分がいなければ回らない」と思っている人は少なくありません。
しかし、申し訳ないのですが、それは思い込みだと断言できます。会社というのは、誰かが休んでも、いなくなっても、回り続けるような仕組みになっているからです。
特に管理職として働く人は、「人が足りないから」「任せるのが不安だから」といった理由で、雑務を抱え込んでしまいがちです。
その人が本来生み出せる価値はもっと高いはずなのに、非常にもったいない状況です。「自分じゃなくてもできる仕事」は、メンバーを信頼して任せましょう。そして、自分は別の価値を生み出す仕事に時間を費やせる人になるのだと、決めてしまうのです。
現在、私は会社を経営していますが、顧客対応、カレンダー管理、ウェブサイトの保守などは私でなくてもできる仕事なので、ほかの人にお願いしています。
もし、自分以外の人でもできるはずの仕事がうまく回らないのなら、それは仕事のやり方がきちんと決まっていないか、チームに共有されていないからです。
まずは誰でも簡単にできるように「仕組み化」しましょう。そうすれば、あなたはもっとほかの価値を生み出す仕事に集中できます。
そして、その新しい大切な仕事にも慣れたら、また仕組みを整えて誰かに渡し、より難しい次の仕事に挑戦します。この繰り返しこそが、本来のキャリアアップなのです。
吉川ゆり
Mental Breakthrough Coaching(TM)スクール代表。社会を変える土台としての「人の変化の構造」を体系化し、経営者・リーダー・医療者・教育者・芸術家など変化を起こす人材を育てている
