野良AIが世界を席捲する日がやってくる…世界中で話題の「OpenClaw」の本質とは一体なにか

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オープンソースのAIエージェント「OpenClaw(オープンクロー)」が米国や中国、インド、日本をはじめ世界的に普及し始めた。

ChatGPTに代表される従来の生成AIは基本的に「質問に答える」だけだったが、OpenClawはパソコンの操作権限を持ち、ユーザーに代わって実際の作業(各種ファイルやブラウザの操作等)を完結させるのが最大の特徴だ。

たとえば「メールを要約してカレンダーに登録して」という指示を出すと、OpenClawは「ブラウザを開く」「ログインする」「情報を抽出する」「カレンダーアプリを開く」「情報を記入する」という一連の動作を自ら判断して行う。

OpenClawはオーストリア出身のフリーランスのソフトウエア技術者ピーター・スタインバーガー氏が開発し、2025年11月に最初のプロトタイプを公開した。当初は全く違う名称だったが、商標権などを理由に呼び方が変遷して最終的に今の名称に落ち着いた。

誰が使っているのか?

OpenClawは2026年2月頃から急速な普及期に突入したが、これはChatGPTとは対照的に「誰でも使える」という代物ではない。セットアップの段階からIT分野の専門知識やスキルが求められるため、コアのユーザーは「ソフトウエア技術者」や「ビジネス・プロフェッショナル」などのパワーユーザーに限定されている。

基本的には、自分の仕事に対して少ない労力で成果を最大化したい先進的なユーザー層が「24時間働くことのできるデジタル従業員」としてOpenClawを活用している。

ただしOpenClawはパソコンへの強力なアクセス権限を有するため、「プロンプト・インジェクション(第三者による悪意ある指示)」によって自分の仕事に関する秘密情報などが外部に漏洩するリスクが指摘されている(実際にそのような被害も報告されている)。

このため多くのユーザーは、OpenClaw専用に廉価な専用パソコンを別途購入するなどして使っているとされる。特にアップルの「Mac Mini」(ディスプレーを持たないパソコン)が専用端末として人気があるらしく、そのせいで最近、この廉価パソコンが品薄になっていると言われるほどだ。

OpenClawは当初、アメリカで人気に火が付いたが、その後はインド、中国などへと飛び火して、2026年3月頃から日本でも爆発的な普及期に入ったと見られている。この頃、開発者のスタインバーガー氏が来日して東京で大型イベントが開催された。これが大盛況となって一気に注目度が高まったとされる。

野良AIが次世代の有望市場を制覇する

興味深いのは、OpenClawが誰でも自由に使えるオープンソースとして提供されていることだ。

2024年頃から世界的にAIエージェント、つまり「働くAI」への関心が高まり、OpenAIやアンソロピック、グーグルをはじめ大手AI企業が次々とAIエージェントを開発・リリースしたが、それらの人気はいま一つで、お世辞にも普及しているとは言えなかった。

これに対しOpenClawは当初アンソロピックの生成AI「Claude」をベースに開発されたとはいえ、現在は特定のモデルに縛られない設計へと変化を遂げており、基本的には(ある程度の技術力さえあれば)誰でも自由に使えるようになっている。

つまり当初はOpenAIやグーグルのような資本力のある巨大企業がAIエージェントの分野も牛耳ると見られていたのに、実際にはOpenClawのような元来得体のしれない言わば「野良AI」がその分野を制覇してしまう皮肉な現象となっている。

またOpenClawの開発者スタインバーガー氏は2026年2月、OpenAIに雇用されて同社製AIエージェントの開発に当たるなど、OpenAI自身が野良AIの実力を認めた感もある。

つづく、後編の「「調整だけが上手い普通の会社員」はもう生き残れない…日本でも急拡大するAIエージェント『OpenClaw』の衝撃では、そのパフォーマンスについて解説するとともに、生き残るための戦略についてもお伝えします。

【つづきを読む】「調整だけが上手い普通の会社員」はもう生き残れない…日本でも急拡大するAIエージェント『OpenClaw』の衝撃