憲法改正に反対するデモの様子

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19日、国会前や大阪など全国各地で、憲法9条改正などに反対するデモが行われた。日曜の昼に多くの人が集まり、声を上げる――だが、その風景は、かつての「デモ」とは少し違っていた。

ライブ会場を彷彿(ほうふつ)とさせる“ペンライト”に、ユニークな主張や肩書きを記した“のぼり旗”。取材を進めると、そこには、新たな参加層を引きつける「抗議のあり方の変化」が見えてきた。

今回、各地の現場を彩り、“新たなデモグッズの定番”ともいえる存在感を放っていたペンライト。その広がりの背景について、都内のデモに参加していた30歳の女性は、こう語る。

「ペンライトを使ったデモ自体は、以前からありました。一気に広がったのは、今年2月の衆院選で高市首相が勝った頃だったと思います。なぜペンライトなのかといえば、日本での“推し活”ブームによる影響でペンライトが身近なアイテムになっていたことが大きいかもしれません」

韓国で“民主主義の灯火”として使われたことがきっかけ

こうした“光る抗議”の広がりには、韓国で起きたデモの影響もあるようだ。

「もともとは、2024年12月に韓国内の戒厳令をめぐるデモの中で、ろうそくの代わりにK-POPアイドルの応援用ペンライトが“民主主義の灯火”として使われたことがきっかけです。軍事政権や警察による妨害の中で、デモ参加者が水をかけられることもあったと聞きます。そうした状況の中でで、デモを弾圧する口実を与えにくい“平和的な表現”としてペンライトが広がった。日本では今も、デモに対して“怖いもの”というイメージを持つ人が少なくないと思いますが、ペンライトには、そうした印象をやわらげ、気軽に参加しやすい空気をつくる効果があるのではないかと思います」(同)

もう一つ、今回の現場で目を引いたのが、“政権批判”や“政策への異議申し立て”だけではない、一見すると政治と無関係にも見える文言を掲げるユニークなのぼり旗の存在だ。

 去年からデモに参加しているという25歳の女性は、のぼり旗の魅力についてこう語る。

「のぼり旗に書かれているメッセージは、それぞれが思い思いに選んだ言葉です。『本当は家で寝ていたい』という本音もあれば、『犬や猫と遊びたい』といった願望もある。中には、いかにも実在する組織のように見える架空の団体名を掲げる人もいます。こうした表現が増えてきたのは、自分たちがどこにも所属していないという意思表示でもあるんです。面白いものや、ひねりの利いたメッセージが多いので、現場で見て回ることも、一つの楽しみになっています」

デモは本来、社会や政治に対する異議申し立ての場だ。その本質は変わらずとも、向き合い方や表現方法は確実に変化を遂げている。令和のデモは今、親しみやすさとユーモアをまといながら、新たな顔ぶれを呼び込む場へと変わりつつあるようだ。