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半世紀前はひと駅に1〜2軒ありました

昨今はミニカーやプラモデルを買うとなると、大手量販店に行くかネットの通信販売か……みたいな状況が当たり前になっていますが、もちろんかつてはそうじゃありませんでした。

【画像】1960年代の希少モデルも!筆者が訪れた、『閉店を決意した町の模型屋さん』 全8枚

今から半世紀も前の話ですが、自分が小学生の頃、自宅の近所にはミニカーやプラモデルを扱っているお店がたくさんありました。自宅は23区の西端で、最寄り駅には駄菓子屋さんと玩具店と模型店が1軒ずつ、そのお隣の駅には玩具店と、輸入ミニカーなども扱っていた文具店。


今回は『町の模型屋さん』がテーマ。新潟の『クリヤマモケイ』さんを訪れた時の話です。    長尾循

その先の駅からさらに線路沿いにどんどん東に向かい、スタート地点の駅から8番目の駅となる隣の区の駅にかけて、だいたいひと駅に1〜2軒は玩具店か模型店がありました。

もちろん休みの日には、自転車で半日をかけてそれらのお店をハシゴです。小学校高学年になってくるとさらに行動半径は広くなり、別の私鉄沿線の模型屋さんも回るようになっていきました。

今でも模型屋さん巡りをする夢を見ます

そんな少年時代をすごしていたものですから、今でも時折模型屋さん巡りをする夢を見ることがあります。その内容は『どこかの街で模型屋さんを見つけて入ってみると店内には懐かしいプラモデルやミニカーで溢れていて、喜び勇んでそれらを買おうとすると目が覚める』というもの。まぁ、いかにも儚い夢なわけです。ところが……。

新潟県は三条市に、戦後間もない1951年に創業した『クリヤマモケイ』という老舗模型店があります。地元三条市はもとより新潟界隈ではかなりなの知られたお店で、かつて自分が携わっていた模型誌に広告を出していただくなどのお付き合いもあったのですが、実はお店にお邪魔したことは一度もありません。


クリヤマモケイさんは新潟県三条市にある、戦後間もない1951年に創業した老舗模型店です。    長尾循

ただ、新潟エリアはヒストリックカーのイベントが盛んな土地柄。そちらの取材でこの界隈にお邪魔することも少なくないので、いずれ機会を見つけて……と思っていました。

そんな中、確か昨年の秋頃でしたか。ヒストリックカーを通じて知己を得た三条市の知人から「あのクリヤマモケイさんが閉店しちゃうんですよ!」という知らせを聞いたのです。久々に耳にしたお店の名前に懐かしさを覚えると同時に、その閉店という知らせにたいへん驚きました。

新潟県三条市のクリヤマモケイさんへ

以来、そのことがずっと気になっていたところ、さる4月12日、まさに新潟県三条市で『20世紀ミーティング2026春季クラシックカー&バイクの集いinミズベリング三条』というイベントの取材に出かけることとなり、そのタイミングでついにクリヤマモケイさんを訪ねることが叶ったのです。

今回の取材はスケジュールの関係で鉄道を利用しましたので、クリヤマモケイさんへの訪問も電車で。上越新幹線の燕三条駅から在来線のJR弥彦線に乗り換え、ひとつめの北三条駅で下車。駅から徒歩10分ほどで、写真でしか見たことのなかったあのお店に到着しました。


ショーケースの中には1970〜1990年代の絶版モデルが並びます。    長尾循

現在の私はすでに模型雑誌編集部のスタッフではないので、全くのアポなし、ひとりの模型好きとしてふらりと訪れるつもりでしたが、やっぱり改めて氏素性を名乗って改めてご挨拶することに。

「あぁ、モデル・カーズさんには広告を出していたこともありましたねぇ」と、古巣の雑誌のことをしっかり覚えていた2代目店主のクリヤマさん。「私も今年で70歳。後継者もいないので、まだ元気なうちにお店の整理しようと思いまして」と、惜しまれつつも閉店を決意されたそうです。

すでに全品30%オフの閉店セールが始まって久しいのですが、「新規の仕入れや注文を受けるのは止めたのですが、倉庫の方には在庫がたくさんあるので、あと2〜3年はお店は開いているんじゃないかな」と、ファンにとっては嬉しいお言葉。

『昔気質の町の模型屋』としての矜持

私がお邪魔したのはイベント前日、4月11日でしたが、その時点ではミニチャンプスやエブロ、トミカなど近年のミニカーから、1960年代のスロットレーシングカーやスーパーカーブームの頃のプラモデル、さらにスピードホイール以前のマッチボックスまで残っていました。

ただし、これらビンテージモノに関しては、当時の定価ではなく、相応のプレミアム価格が付けられています。そして買い物は現金払い。商品の取置きや通販もやっていません。それは「直接お店に足を運んでいただいたお客様に、一期一会の模型との出会いを味わってほしい」という『昔気質の町の模型屋』としての矜持からでしょう。


筆者の買い物、トミーの1/32ポルシェ356のプラモと古いマッチボックス。    長尾循

そんなクリヤマさんのお話を伺いながら、ついつい私もいくつかの絶版モノを購入してしまいました。それはまさに夢で見た、『どこかの街で模型屋さんを見つけて入ってみると、店内には懐かしいプラモデルやミニカーで溢れていて……』というシチュエーションそのもの。そして、これは夢ではなく現実なのです。

実は今年の秋にも実車のイベント取材で新潟エリアにお邪魔する予定があるので、その際には再びクリヤマモケイさんにも立ち寄ろうと思っています。